UnChild /SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer

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先日のライブをみてこりゃ鉄板な組みあわせは間違いない!と思ったので即予約⇒konozamaをくらい発売日翌日に入手。

UnChild 【通常盤】
UnChild 【通常盤】

posted with amazlet at 14.06.27
SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer
DefSTAR RECORDS (2014-06-25)
売り上げランキング: 317

本作は基本的にガンダムUCのサントラに劇伴としての原曲があり、それを歌モノにリアレンジした作品である。(名義としてはコンポーザーである澤野弘之氏の個人プロジェクト)
しかしそのボーカルにAimerという強力な”声”の持ち主を全曲において起用した点で非常にカラーのはっきりした、ひとつのアーティストアルバムとなった。これは言ってもよいと思う。


Liveの時のレポートでも書いたと思うが、本作品に収録されている楽曲は劇伴が原曲と思えないほど歌モノとしても曲がよい―特にそのメロディが。

各曲のイメージ・印象とかいろいろ書こうとも思ったが、もうとにかく近年まれにみる捨て曲なしの良いアルバム!この一言でいいような気がしてきた(笑)。
一つ不満があるとするならもっと聴きたいのに尺が短いことだ(笑)。

全曲英詞とはいえスタートと〆がシングル曲でがっちり固めてあり、打ち込みと生モノのバランスも絶妙。
これも前回書いたがリフやサウンドメイキングがもっとヘビィに寄せたなら女性Vo系のゴシックメタルとかにも近くなるが、ここがAimer嬢のボーカルの力かある種アメリカンポップスのようにも聞こえる。

このライブ版映像を見ると人によってはボーカルの揺れが気になる向きもあると思うが、生で見た自分としては会場では全く感じず、むしろエア通してる分、現場では非常に情感豊かに聴こえた。
アルバムではスタジオ録音ならではのかっちりした仕上がりだが―ここがAimer嬢独特の声の強さかと思うのだが―そのかっちりした仕上がりの中にもその情感がしっかりと楽曲の中心にある。
この”声”があるからこそ、原曲を別ボーカルの方がとっている曲も、あえてAimer嬢で統一したのだろう。
これは英断だ。(*)
(それでまた曲の音域の設定がこの”声”のおいしいところををばっちり引き出すようにあつらえてあるのだ―ほんといい仕事するなあ・・・)

本来確固たる自分の世界観を持った一アーティストであるAimer嬢も、いい意味でボーカルに徹しており、両者の持ち味がポジティブに溶け合って作品世界を見事に構築している。

”音としての聞こえ方”の方を優先して作詞したと澤野氏が述べていることからもわかると思うが、けっこう符割としては歌いにくいだろう英詞をよくここまで自然に歌いこなしているなあ、ほんと感心する。

本アルバムのamazonのレビューでは(若い方か音楽を聴いている絶対量が少ない方なんだろうなぁ・・・)このボーカルスタイルに対してネガティブなことを書いている方が幾人かいらっしゃったが、ここまで30年以上音楽を聴いてきて―たぶん比率で言うと英詞の洋楽のほうを多く聴いてきた自分としては―ここまでナチュラルに英語詞を歌える世代になってきたんだな、と素直に感動する。

なのでそういう方々には次の言葉を贈りましょう。

「その生真面目な心が、他人も自分も傷つける 落ち着いて周りを見渡せばいい。世界は広い。こんなにたくさんの人が響き合っている」

そういったレビューがとんちんかんな事はこのインタビューを読めばわかると思うが、明らかに本プロジェクトはAimerというアーティストにインスパイアされた結果として出てきた側面があることは間違いない。
そしてその結果できあがったものは、非常にすばらしい幸運な結果を伴ったアルバムだったと思う。

個人的には作曲家としての澤野弘之、アーティストAimer、この両者のファンだけでなくここに収められている楽曲の数々は、もっと世間一般にも普遍的なニーズのある素晴らしい作品群だと思う。

機会があればぜひ一人でも多くの人が手にとって聴いてみてほしいと思う。






(*)
たとえばオリジナルではこれまた強力な歌い手である小林未郁嬢の歌っていたEGOやREMINDYOUなども本作ではAimerバージョンで収録されているが、1曲単体の完成度、ということで言えばオリジナルの方に軍配が上がる。
しかしアルバムのトータリティ、カラーの統一、ということではこの判断は間違っていない。

惜しむらくはもっとアレンジをアコースティックに思いっきり振ってしまうなどもありだったかと思うが、澤野氏の仕事量から考えるとこのアルバムをこれだけのレベルで作ってなおかつライブもやりほか作品の劇伴の仕事なども当然あっただろうことを考えると超人的な仕事ぶりだと思う(正直凄過ぎて開いた口ふさがらんわw)、なのでこのあたりはさすがにある種の不可抗力といっていいだろう。

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