ガンダムUC関連アイテム3点

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この9月でTV再編集版であった「RE:0096」が放送を終えたこともあってか、関連商品がここのところいくつか出ていたのでチェックしてみた。

基本的にはファンアイテムで一般層にお勧めできる感じではないが、あれだけの高品質な作品を作り上げたプロダクションワークの一端を見れるという意味での資料も含まれていて、個人的にはけっこう勉強になるものもあった。

■機動戦士ガンダムUC RE:0096 メカニック・コンプリートブック

「機動戦士ガンダムUC RE:0096 メカニック・コンプリートブック (双葉社MOOK)
双葉社
双葉社 (2016-10-18)
売り上げランキング: 3,334

メカ視点を中心にRE:0096を振り返るといった体裁の1冊である。モビルスーツのカラー設定を中心に線画や細かなプロップの設定等が収録されている。ただ詳細に網羅というわけではなく一通り紹介してあるという感じなので、そこは期待されないほうが良いと思うが、ガンプラなどを作る際のちょっとした資料としては使えるだろう。美術設定なども一部収録されている。

むしろ本書の見どころは小形プロデューサー、メカ作監玄馬氏、ディスプレイデザイン佐山氏、総監督古橋氏、原作福井氏各氏へのインタービューやそれぞれの口から語られるプロダクションワークに関してのテキスト類だろう。

TV放送としてのRE:0096が決まった時に劇場・ビデオで本編をすでに見ていた多くのファンは一部の追加や作り直しを期待したと思うが、このテキスト類を読むとそれはとてもじゃないができる話ではなかったというのはよくわかる。どういうことかというと、そこにかけられている手間や考証・考察の量が半端じゃないのだ。本書のテキスト類を読むと(ここで言及されているのは断片的ではあるが)それがとてもよくわかる、そらこんなレベルの手間かけて作られていたモノなら簡単に追加や変更なんぞできんわ。

そういう意味ではRE:0096におけるOP/EDそして特殊OP/EDがあの体裁になったこと、そしてそれを実現させたのが作画作業ではなく撮影作業-その技術力の向上によるものだというのは興味深かった。そういった作品の裏側―プロダクションワークに興味のあった方は読んで損のない一冊かと思う。逆に純粋な設定資料集的なものを求められる方にはあまりお勧めしない。ただトータルとしていうなら非常に良い一冊かと思う。

■プルFile ~エルピー・プル/プルツー/マリーダ・クルスから見る宇宙世紀~

当初購入予定ではなかったが勢いで(苦笑)。ただ予想に反してというか予想通りというか、あまり立ち位置の見えてこない一冊ではあった。
UCでのマリーダという重要な登場人物=プルシリーズを軸に宇宙世紀をまとめてみようという一冊かと思う。ただそうすると当然ガンダムシリーズで唯一新規作画でのリメイクがされていないZZを取り上げざる得ないわけで、そのビジュアルの落差が少々きつい。加えて本書はそのZZの解説・設定的なところに結構なページ数を割いている。またそういったところを補足するためか宇宙世紀シリーズにおける強化人間の系譜に関して1セクション設けられている。

個人的にはZZは嫌いではない―というかひょっとすると個人的にはZよりも好きかもしれないのだが、ほかの各シリーズがリメイク・リブートされている中で比較されるとやはりその落差は厳しいものがある。ただUCをきっかけとしてZZが再評価されることはこちらとしても望ましいことではあるので、編者側の志は買う。前述のような厳しさはあるとおもうがUCをきっかけにZZに興味を持たれた方にはZZへ興味を持ってもらうための呼び水となるだろうし。

で、やはり本書もおっさんの読者として読みごたえがあるのは関係者へのインタビュー類のテキストである。鬼子鬼子となかったことにされているZZに関しての福井氏へのインタビューが巻末にあるが、氏の認識は非常にフェアだと思う。曰く「自分は特別ZZが好きなわけではない、しかしこれまでの作品世界の経緯から考えるとどう考えても無視できる作品ではないし、むしろこれまで製作者側がなかったことにし過ぎ・不遇にしすぎて(自分のように)普通に取り扱っただけでそういう風にとらえられることのほうがおかしい」(大意を勝手に要約)というのは非常にうなづける。

あとプル役・本多知恵子さんは若くして先年亡くなられているが、そのことを含めルー・ルカ役の松井菜桜子さんのインタビューも収録されている。個人的にも本多さんは特徴的な声で記憶に残っている方であったので、こういった形でスポットを当てるのは追悼の意味でよかったと思う。

■機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096 COMPLETE BEST

機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096 COMPLETE BEST(期間生産限定盤)
ヴァリアス
SME (2016-10-26)
売り上げランキング: 77

UC関連の主題歌集の新規盤である。以前にも作中の挿入歌を含めたCOMPLETE BESTが出ていたようだが、RE:0096放映にあたって追加された『IntoTheSky』などの新曲を含めた新規編集盤である。前作から劇中挿入歌(『EGO』等)がオミットされていて、新曲だけを追加したモノというわけでもない模様。収録時間の関係もあるだろうが中途半端ではある。

で、なぜそんな状態なのに手を出したかというと、今年の夏に行われたRE:UnChild Liveの模様を収録したライブ盤がボーナスディスクについてくるため。これはなかなかお得だと思う。
そのライブ盤についてだが、当日観にいったものの感想としては「意外と音だけ聴くと落ち着いた感じだな」という印象。現場では非常にノリもよくて普通のロック系のコンサートに近い感じであったが、この盤に収録されている音源は―ミックスがそういう方向性ということもあるんだろうが―非常にシックでいい意味で静かに聴ける一枚となっているのには驚きだった、曲に集中できるというか。

元となった『UnChild』は非常に良いアルバムで、全編英詞ということもあって、普通のロック好き・ポップス好きの方にもお勧めできる一枚なんだが、それらの曲がライブではどう演奏されるのかという興味のある方は手を出してみてもよいのではないだろうか。言及する順番が逆になってしまったが、本来メインのディスクである主題歌集も良質のポップソングばかり+けっこうビッグネームも歌ってたりもする(ケミストリー、栗山千明etc)ので損のない一枚かと思う。

前述のプル本では本多知恵子さんのことに言及したが、このディスクにおいてはBOOM BOOM SATELLITES川島さんのことも書いておかねばならない。

UC本編時のEP5主題歌はBOOM BOOM SATELLITESによる『BROKEN MIRROR』だった。が、それを歌っていた川島道行さんが長く闘病されていた脳腫瘍のために先月亡くなられている。もしこのCDを手に取られた方がいれば少しそのことに思いを馳せていただければ、ささやかではあるが追悼になるのではないだろうか。






「機動戦士ガンダムUC RE:0096 メカニック・コンプリートブック (双葉社MOOK)
双葉社
双葉社 (2016-10-18)
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