久々のSawanoHiroyuki[nZk]ニューアルバム。ライブが3/6、7とあったんだが前もって予約していたので前日の3/5には届いてた。
(しかし本作はビッグネームとのコラボばかりの豪華アルバムなので、ライブ自体はいい意味でいつものnZkだったという:笑)
今回はSUGIZO、ポルノグラフィティ、スキマスイッチ、LiSA、西川貴教、Uruほかかなり豪華なメンツでの曲が大半を占めるというなんとも贅沢なつくり。しかし本作の最大のポイントは実はこれまでの二作と異なり非常に「歌モノ」的なアルバムに仕上がっているところだろうか。
SACRA MUSIC (2019-03-06)
売り上げランキング: 21
「歌モノ」云々というのはご本人のインタビューにあった「日本語詞を意識した」というところが大きいのかも。個人的にはこれまでの英詞多めの無国籍感がより曲の良さを目立たせていたと思うのだが、アルバム一聴してみてこれはこれで新鮮な感動があるというか。
とはいってもご存知のように澤野作品は非常に歌詞に対する譜割が独特なので、ふつうのポップソングを主に聴いておられる層には「なんじゃこりゃ」とはなるかも(苦笑)。あと面白いのは日本語詞の比率上がったことで、よりそのテーマ性が浮かびあがったというか。
元々これまでの作品も歌詞に注目してみると意外なほど「怒り」がテーマになっていることに気づくが、今回は日本語詞が多くなったことでよりそれが表に出てきている。自身のおかれている環境の理不尽さへの怒りだったり、それに流される自分に対して子供のころの気持ちを忘れるな的な非常に共感できる気分が羅列されているように思う。
参考:音楽ナタリーSawanoHiroyuki[nZk]「R∃/MEMBER」インタビュー
アーティストページ:澤野弘之
自分などはサウンドとして面白いのが最優先なので歌詞は二の次みたいなところもあるのだが、歌詞世界が何よりも重要という方の層も世の中には多い―というかむしろそちらが主流か―ので、そういった層にもこのアルバムはアプローチしやすくなっているのではないか。
そこへメジャーな名の知れたアーティストがこれだけコラボしているということであれば、このアルバムを機に(多くはないだろうにしても)新規のお客さんはついてくると思う。そしてなによりこのコラボの多くは澤野氏側からでなくこれ以前に参加アーティスト側から声がかかって縁ができたケースが多いというのも重要だろう。やはりそれだけ注目されるサウンドメーカーであるという認識が広がってきてるとみてよいと思う。
今回の曲は全曲いいのだが、個人的に印象に残ったのは『Gloly-in to the RM-』『EVERCHiLD』『never gonnna change』『i-mage』『Unti-L』『REMENBER』。
1曲目の『Gloly-in to the RM-』はやはりカッコいいし、『EVERCHiLD』は本作中ポップソングとしては一番完成度が高いのでは。この点ポルノの岡野氏の声の力が大きいのは言うまでもない。逆に本来の持ち味とは別の意味でのカッコよさが出たのはスキマスイッチ大橋氏ボーカルの『never gonnna change』。初聴のときは「無茶させてるな~(苦笑)」という感じだったが、繰り返し聞いているとこの疾走感が凄くクセになる。Aimerさんの『i-mage』は”怒り”が表に出ている感のある本アルバムで一服の清涼剤ということもあるが、優しげなこの曲はなにげに新機軸なのではないか、一見地味で目立たないかもしれないがすごく聴く人をほっとさせる一曲だ。『Unti-L』はこのASCAというボーカルの方が発見だった。この方はなにげに今後次第では存在感のあるボーカルになられるのではないか。そしてタイトル曲『REMENBER』はライブの記事のほうでも書いたが、全員参加感というか皆で前に進もうというかある種少年マンガ的な世界観がいい―曲自体はかなり複雑な感じなんだが(笑)。(それでもこういうポップ感に仕上げてくるのはさすが)
ということでなにげに「歌モノ」のほうが好きという方や、これまでサウンド重視のときには「似たような感じに聴こえる」とおっしゃる向きの方にはおススメしやすいアルバムかと思う。特にSawanoHiroyuki[nZk]をこれまでご存じなかった方には入口としてはもってこいの一枚ではないかと。興味を持たれた方はぜひどうぞ。
SACRA MUSIC (2019-03-06)
売り上げランキング: 21