『DEAD OR ALIVE 6』/コーエーテクモゲームズ

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前作の『DEAD OR ALIVE 5 LastRound』をなんだかんだでずっと遊ばせてもらったので、今回はお礼の意味かねて最初から買っとくか、ということで予約注文で購入(物理版)。

e-sportsと一部盛り上がる割には格闘ゲームというジャンル自体は冬の時代で、なかなかビジネスとして、むつかしいところにあると思う。自分ももともと格闘ゲームというよりもバーチャファイターシリーズ自体が好きでこのジャンルに入ったが、その元祖3D 格闘ゲームとでもいうべきバーチャも今は亡きタイトル。

そんななかできらびやかなビジュアルとセクシーな美女がウリだったこのシリーズは、衰退気味の格ゲーというジャンルの入口にはもってこいの作品だと思うんだが、本バージョンではさらにe-sportsを意識した作風に変更されている。そのため前作に比べて大胆な露出や露骨なセクシー表現は大きく抑えられ(格ゲーとして楽しんでる自分のような人間にはどちらかというとありがたい変更なのだが)従来の一部ユーザーからは不満も出ているようだ。

ただ今回はシステムの変更によって、おそらくこれまでではいちばん万人向けのよいバランスに仕上がっていて、格闘ゲームとして楽しく間口が広いチューニングになっていると思う。個人的にはこの変更は大歓迎だ。

DEAD OR ALIVE 6 - PS4
DEAD OR ALIVE 6 – PS4

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発売からざっと二週間弱ほど遊んでみて感じるのは、今回の新キャラであるNiCOというキャラクターがいろんな意味でゲーム全体を象徴するキャラになっているということ。

これは「がっつりした濃いめのチューニングでなくいい意味で軽快・派手で、動かしていてそれなりに楽しめる」ということ。単語ひとことで言うと「軽い」とでも表現すべきか。これは決して悪い意味でいうのではなく、これまでの複雑なやりこみ要素(ここが楽しいのも事実だが)が軽減し「軽く」なったことでかなり間口の広い仕上がりになっている。(なにかと話題になる声優さん使ってるのもそのあたりを象徴しているような感もある)

ただしこのチューニングはパッケージを一人でやりこむという性格のものではなく、あくまでもネットをはじめとした「対人戦」ありきのチューニングだ。以下もそのつもりでのレビューとなる。

■格闘ゲームとして

もともとこのシリーズは上記トレーラーを見てもらってもわかるように相手の打撃をさばける「ホールド」という機能を明示的にシステムに組み込んでいることに特徴があった。これのおかげで格ゲーで一番つらい「一方的なラッシュをもらう」状態から抜け出しやすくこの点が魅力の一つといってもいいだろう。これが「打撃」と「投げ」とあわせて三すくみとして設計されており、この点はシリーズ通して変わらない。

本作はそこに「ブレイクブロー」「ブレイクホールド」という新規の「Sボタン」を使ったシステムが加えられた。
これは対戦中にたまるゲージ(ブレイクゲージ)によって強制的に攻撃したり攻撃をさばいたりできるシステム。これによって相手有利時の攻撃を強制的に突き抜けて攻撃できたり、ラッシュから脱出できるという一発逆転的なシステム。もちろんある程度使いどころにコツがいるが、いまのところ非常に面白い感じで使えている。

たとえば自分は相手のダウンとって有利時に相手の起き上がり攻撃によく有利をつぶされていたんだけど、この起き上がりの攻防のときに「ブレイクブロー」をにおわせることで相手との読みあいの択がひろがって仕掛けやすくなった。また追い込まれ気味のときに相手のスキをついて出すことでイーブンぐらいにまでひっくりかえせることも。これは「ブレイクホールド」でもおなじだ(これまでのホールドは上中下の攻撃属性にあったコマンド入れなければならなかったが「ブレイクホールド」は基本ほぼ全部とれる/投げには負ける)

またこの「Sボタン」を使った「フェイタルラッシュ」も初心者向けで面白い。最初が上段攻撃なのでそこだけ当てるのがむつかしいが、当てると基本ガード・ホールド不能でゲージがフルだと最終弾が自動的に「ブレイクブロー」となる。初心者同士ガチャガチャやる分には楽しいだろう。

そして今回はこれまでとかなり回避―サイドステップの性能が変わっている。特に回避後の攻撃=サイドアタックがめちゃくちゃ強くなっている。ただし以前はこのあたり各キャラごとにいろいろと回避後の攻撃にバリエーションがあったのだが、今回は同一仕様に統一されているので、そういったところの複雑さは減って単純化されたともいえるだろう。要は上述の「ブレイク〇〇」システムとともに、一方的なゲーム展開で終わることを避け、仕切りなおせることを重視している設計のようだ。これまでの格ゲーの最大のストレスはコンボやラッシュを喰らっているときに受けてる側は何もすることができないことがあったと思うが、それを考えるとこの設計は正解かと思う。ただ上位に行くにつれ、このサイドアタックがかなり猛威を振るっているらしいので―結果的にゲームが単調にもなっている―いずれここは修正入るだろう。

ステージギミックはいろいろと健在+一部はよりハデになっている。ただこのあたり諸刃の剣で、派手なギミックの分、ゲーム機本体への負担も大きいらしくファン回りっぱなし+場合によっては処理落ちに伴う操作ラグが発生する(それを考えるとちょっと複雑)。またほぼ全部のステージに爆破や電撃あるのはどうか(シンプルに戦いたい時もある)。ただ新規導入のまわりの観衆キャラに押し返される「ランブルデンジャー」はけっこう面白い。特にブレイクホールド出せる状態だと「ランブル発生→追撃→相手ブレイクホールド→相手が追撃→こちらがブレイクホールド」と読み合いの攻防が発生してすこぶる楽しい。

そのほか全体的に一発のダメージが減っているので、読み合いの機会増えてより頭脳戦な部分が増えたことや、レバガチャ回復廃止のおかげでより直接的な打撃戦の割合は増えた(なにもできずにはめられっぱなし的なことは減った気がする)。キャラクターバランスもキャラごとに得手不得手のキャラがやや変わったが、いまのところまんべんなく戦えるのでは(いわゆる強キャラ・キャラ格差的なものも比較的少ない感じ)。ただし新キャラのNiCOは今のところけっこう強いチューニング(まあこのあたりはリリース初期ならではのお約束か)

一点だけ要望があるとすると、各キャラ均等に「回避をかねたタメ技」は残しておいてほしかった。この手の技は相手の攻撃タイミングをずらす際に非常に有効なのだが、持ってるキャラと持ってないキャラとでは立ち回りが雲泥の差。これはこの「タメ技」系が前作での必殺技である「パワーブロー」の発動技のことが多かったので、「パワーブロー」の廃止に伴い削除されたんだろう。パワーブロー自体は廃止でいいが、この点だけは可能なら戻してほしい。

そのほか連戦が最大3戦までなのはよく考えたと思うし、いわゆる死体蹴り(KO後の攻撃可能)廃止は英断だと思うが、相手によっては蹴りたい時もあるのは正直なところwまた入り・勝ちポーズのバリエーション少ないので可能であれば増やしてほしい。

ただ基本的には格闘ゲームとして非常にバランスよく仕上がっていると思う。

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