【レビュー】『iv/SawanoHiroyuki[nZk]』

標準

今月月初に出ていたSawano Hiroyuki[nZk]の新譜『iv』、少し聴き込んだ上での簡単なレビューを。


4枚目のフルアルバムで、例によってボーカル陣はおなじみのメンバーには1曲づつ程度でほかは皆新たな組み合わせ。ここにきてこれまであったAimerさん曲は完全になくなるが、まあこれはある意味予想の範囲内(Aimerさんのほうも新たに梶浦由記先生とがっぷり組んだ曲が4月のアルバムに収録されるようだし)。

全収録曲は上記ダイジェストムービーでおわかりいただけると思うがフルアルバム+コロナ期間中の企画であったYOUTUBEで公開された遠隔での既存曲のセッションをボーナス・トラックとして収録している。

全体的によりダンサブルというかグルーブ感の強調された曲が多く、かつエレクトリカルな音色の比重が高く耳に心地よい。といってもEDMという感じはまったくなく、意外とこの立ち位置の楽曲というのは独自路線と言えるのではないだろうか。そのせいもあってか今回はより女性ボーカルの存在感が際立つ。特に今回のアルバムで初披露になったアイナ・ジ・エンドやReoNaの楽曲は本アルバムのカラーを体現している楽曲だと言う印象。
※どちらか一方だけ代表曲としてあげろと言われると2曲目の『FAVE』(Vo.アイナ・ジ・エンド)となると思うが、残念ながらこの曲はPV的なものがないので実際に聞いてみていただくしかない

とはいえこの『time』(Vo.ReoNa)も物凄くサウンドが耳に心地よく、いなたい感じのグルーブと相まってすごくカッコいい。

今回男性ボーカルは常連のサバプロYoshさん、MAN WITH A MISSIONのJean-Ken Johnny氏、同じSONY所属ということからか新人?の優里氏、そして独特の存在感で異彩を放つ岡崎体育氏。

特に以下の岡崎体育氏担当の『膏(あぶら』のPVCはエンディングロールが岡崎・澤野両氏の持っている独特の明るさを感じさせてくれる傑作(?)なのでぜひともご覧いただきたい。こういうノリが澤野氏のライブの持っている明るい雰囲気に一番近く、自分などは毎回せっせと足を運ぶ理由の一つになっている。

で、ライブの話が出たのでついでに備忘録的に書いておくと、2月に行われた澤野氏のサントラ中心のライブ【emU】もかなり迷ったが観に行ってきた。

自粛期間ということでかなり迷ったのだが、ちょうどその前後の諸条件(感染者数や天候)もそろっていたのでそれに押されるように観に行ってきたが、やはりそういう時期でのコンサートは楽しかった反面どこか心底楽しめない部分もあったりで、そういう意味でも記憶に残るライブにはなった。ただこういうご時世ということもあって、感染対策は検温・消毒、検知アプリのチェックそしておそらく座席を市松模様のように空白を設けるなど、かなり徹底した対策が取られていた。その点ではかなり安心して観れる工夫がされていたことはしっかりと書いておきたい。要はこちらのメンタルの話としてやはり「どこか落ち着かないな」ということだった、と。

ただお目当てであった以下のメドレーをちゃんと聞けたのはやはり楽しかった。

※↑興味のある方はぜひYoutubeのほうでご覧になってみていただきたいのだがこのメドレー、該当作品の放映期間+一番盛り上がるシーズン内容ということもあったんだろうが、この手の動画にしては異色の再生数+外国語のコメントの多さが特徴的だ

そして最後になったが、本アルバムの初回限定版には昨年夏─お盆の頃おこなわれた配信ライブ(2日目)の内容が収録されているディスクが特典で付属する。特にこの2日目をご覧になった方は印象に残ったと思うが、澤野氏はじめバンドの面々が手にマジックで「M」の字を書き込んで臨んでいた─そしてその意味は最後の澤野氏のMCで分かるようになっている。ほんとこれ以上ない追悼だったと思う。そういう意味でもある意味澤野弘之という作家のアーティスト史的に大きな意味を持つパッケージなので、興味を持たれた方はぜひ手元において置かれることをおすすめする。そういうことを抜きにしてもフルアルバム+ボーナストラック+ライブBDと非常に満足感のあるパッケージでおすすめできる。

さてまだまだコロナ禍はつづき、この3月末の時点でまた感染者数が増加傾向にあるが、いつまたこういう楽しいライブを心の底から楽しめる時期が戻ってくるのか─なんともスッキリとしない不安ばかり募るが、まあ予防を徹底しつつ耐えるしかないんでしょうね。

コメントを残す