月初に出たシングルで非常に遅くなったが一応レビューしておく。
ご本人いわく「ボーカルプロジェクトである[nZk]の本質を意識した」とのことだが非常にそれがよく分かる一枚。
アニメ作品のタイアップ曲(「Tranquility」)とオリジナルのボーカル曲x2、そしてタイアップ作品の関連曲のリアレンジ曲ふくむ全4曲を収録。
あと先日のファンクラブライブも合わせてレポートしておく。
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先述の「nZkの本質」云々というのは以下のインタビューを参照されたし。というか現在一番勢いのあるコンポーザーの一人とはいえ劇伴・アニメ畑出身の作家にここまでちゃんとインタビューしてくれるというのは時代が変わったとはいえ凄くいい傾向。ナタリーはいま一番ちゃんと音楽ジャーナリズムの機能を果たしている媒体の一つではないか。
SawanoHiroyuki[nZk]「Tranquility / Trollz」インタビュー 「[nZk]の本質を浮き彫りにする両A面シングル」
[nZk]の本質はアーティストありきではなく、サウンドに対してもっともマッチするボーカリストと一緒に表現を突き詰めていくことですからね。だからダブルAサイドとして、もう一方にはこれまでご一緒したことのあるシンガーの方に参加してもらい、今の[nZK]としてやりたいサウンドを追求した曲を入れたいなと思ってノンタイアップの「Trollz」を作ったんです。
(上記記事より引用)
まあこれっすよね、という。
文中にもあるようにそういうスタンスで作られたことを一番体現しているのが最近起用率高めのLacoさんボーカルの『Trollz』だろう。
個人的にも本シングルの中ではこの曲が一番ぐっときた。ミッドテンポのノシノシとしたグルーブ感でゴリゴリ押してくる感じ、アダルト感満載のボーカル、加えて全英詞ということもあってほとんど洋楽といっても遜色ないというか、2010年代末の(広い意味での)ユニバーサルな楽曲というかね。
(なのでYoutubeでのコメント欄もびっくりするほど英語コメントが多い)
片やタイアップ曲の『Tranquility 』は個人的にはちょっともったいなさを感じる一曲だった。クオリティとしてはもちろん全く問題ないのだが、なぜかシンプルなバックのアレンジにも関わらずメロディの良さがあまり目立たない印象を受けた(本曲ボーカルのAnlyさんがご自身のTwitterで弾き語りスタイルで短い動画を上げてらっしゃったが、そちらのほうがよりメロディの魅力が伝わった感じ)。
『Felidae』はおなじみGemie&Tielle組のツインボーカル曲。これもアダルトコンテンポラリーな一曲でシングル曲のような華やかさはないが逆にシックなアレンジが格好良い佳曲。ちなみにGemie(R!N)ちゃんは女性メタルバンドALDIOUSにボーカルとして正式加入されたそうだ。非常に努力の人という印象があったのでこれはすごく良かったと思う、おめでとう!
※ちなみにご祝儀代わりにそのあたりのことを詳しくインタビューしているBurrn!誌の別冊METALLION(メタリオン)を買って読んでみたんだが、このALDIOUSのリーダーの方のインタビューがいい意味でちょっとした中小企業の女性社長さん並の責任感とご苦労が感じられてそっちのほうが面白かった。この時代でもみんな機材車で全国ツアーするっていうのは変わってないんだなあ。そういう苦労をしながら音楽を届けているということに非常に好感度アップですよ。
最後の『Binary Star_moll』は『Binary Star』のりアレンジ。ボーカルトラックそのままでバックをよりダウナーな感じへとリアレンジしている。
あと先日澤野弘之ファンクラブの会員限定ライブの初回があったので観にいってきたので簡単にレポートしておく。
会場は恵比寿のリキッドルーム。リキッドルームは個人的に非常に好印象のハコなのだがなぜかあまり行く機会がなくて寂しい思いをしてたんだが、今回久々にいってやはりその印象は変わらなかった(客数が多かったの入場整理はあまり関心しなかったのはいつものことだが/苦笑)。
リキッドルームのキャパは900人とのことだが、当然満員・・・というか1000人ほど入ってたような気がしないでもない。しかしそれぐらいの規模というのが幸いして非常にいい距離感のライブとなり、ファンクラブイベントということもあってか、奏者側もいい意味でゆるめ。例の下手な芸人なみに面白い澤野氏のトークや、メンバー各位のトークも通常よりもしっかり聞けた(自分が女の立場だったらメンバーの誰と付き合うか─などQ&Aコーナーも面白かった)。
ボーカルのメンツはmpi氏を筆頭にBenjamin氏,mica氏、女性ボーカルにmizukiさんという非常に絞った感じの面々。男性諸氏はmpi氏を除いて立ち上がりに苦労されていたようだが、しり上がりに調子をあげて特にバラード曲などは非常に聴かせるステージングを披露してくれた。mizukiさんに関してはご自身のバンドUNIDOTSでコンスタントに活動されていることもあって非常に安定の仕上がり(若干リラックスして緩んでいるように見える箇所もあったがライブの性格からしてこれはアリでしょう)。やっぱりこの方の清涼感のあるハイトーンは耳に心地いい。トータルで非常にいい意味でのアットホームな感じがあって、ファンクラブイベントならではの良さが出ていたライブだったと思う。
当日は例の巨大台風を前にした木曜の夜だったんだが、開場までは曇天、降るとしたら深夜からかな・・・と思ったらさすが雨男の澤野氏。ライブ終わったらしっかり降り始めてますわ、ワハハハ(笑)。これだけ徹底しているとむしろこれからは毎回ちゃんと傘常備していけばいいというわけでむしろすがすがしいですな!(違)
その雨の原因かも……と言われていたファンクラブマスコットキャラ「ぬずーくん」。Tシャツほしかったんだけど合うサイズは売り切れでございました。野澤会タンブラーもまだ買ってないし次回は買えるといいな。
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