【レビュー】『METAL GALAXY』/BABYMETAL

事前にリリース？されていた楽曲がどれもいい感じだったので、とりあえず予約→購入していたんだが、一聴するとなかなか混沌とした作品。ただこの混沌はこのアーティスト（のプロデューサー）がこれまでずっと意図的に組み込んできた要素なのも事実だ。

問題はその混沌がもたらすインパクトが前作2枚に比べると弱いかな、と思える点か─こちらの慣れも当然あるとは思うのだが。

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まず真っ先に「？」と思ったのは、なぜこの尺（トータル60分）で2枚に分けてあるのか、という点─十分1枚に収まる尺なわけである。ただこの点は聴いて納得。要は楽曲の方向性の違いで2枚に分けてあるということらしい。で、2枚目のほうは海外の反応系のファンサイト見てても「これは納得」「名盤」というコメントが多くあったように前作（『METAL RESISTANCE』）のハード路線寄りの一枚。それに対して賛否がまっぷたつだったのが1枚目の方で、こちらの方に今回の混沌の原因とも言えるバラエティ豊かな楽曲群が並んでいるー要は一つ間違えれば「コレ、メタルじゃなくてポップスじゃね？」という感じの曲が多い。

自分も聴いていて「うーん、別にコレはこのユニットでやらんでもええのでは？」という曲がいくつかあった（曲としてのインパクトも薄い）。ただし2枚通しての印象が1stアルバムのそれと似ているようにも感じたので、案外古参のファンの皆様からするといいバランスなのかもしれない。ただこの1枚目（のポップスよりの作品を）聴いて一番感じたのは「このボーカルの地力を魅せつける作品にはなってないよな」というのは強く感じた。
（このユニットは欧米で延々とツアーをやってるのでけっこう会場で携帯から撮ったファンカムが上がるが、歌唱力ぐんぐん伸びてってるのがありありとわかるんですよ）

で、自分も当初は（シングル的な曲は別として）1枚目はあまり聴かず2枚目のほうばかりローテーションしてたんだが、ある程度してからトータルで回してみると「コレはコレでありなバランスなのか・・・」というふうに印象が変わった（ただしやはり1曲1曲個別で聴くと疑問符は残る感じ）。まあしかしTAK松本をああいう二まわりほど古いフォーマットの楽曲で使うというのは驚きではある（苦笑）※ただしこの曲海外のファンには受けがよい模様

以下公式に見れる動画をいくつか貼っておく。この中ででいちばんの収穫というと『PA PA YA!』ですかね。また「これポップスじゃね？」的な側面もあるが『Elevator Girl』も悪くない（個人的にはこの英詞Verのほうがいい気がするが、海外のファンは日本詞のほうが圧倒的に受けている模様）。

あとここにはないが本アルバムで一番これまでのこのユニットらしいぶっ飛び具合を見せてくれたのは『BxMxC』ラップとメタルリフの混ぜるな危険！感がすごくカッコいい（ラップが純粋なラップの系譜ではないことが重要なポイント）。さらに『Kagerou』のようなブルージーさを感じさせる楽曲が出てきたのも特筆しておくべき点か（こういうバタ臭い要素のある曲はたぶんいわゆる普通のアイドルグループでは成立しないと思う）。

ということで改めて書いてみると楽曲もバラエティ豊かだしいいアルバムなのよね。ただしやはりなにか今ひとつ物足りなさを感じるのは、このユニットがコレまで見せてきた「ぶっ飛び具合」＝こちらの予想を上回る混沌があまり見えなかったことにあるように思う。そういった混沌でリスナーを混乱に陥れるも、ライブの力で予定調和の中に落とし込む。それがおそらくこのユニットの持つ唯一無二のアーティスト性だと思うので、次回作にはぜひそれを期待したいと思う。なんせ次は「四枚目」だしな。

あと今回はオリジナルメンバーが途中で抜けてからのいびつな体制から（サポートメンバーであるとはいえ）オリジナルの「3人」でのフォーメーションでのライブが復活しているというのが注目すべき点でしょうかね、いやライブ行ったことないんすけどもｗ

出身母体のアイドルグループからのメンバーや、元モー娘。の方などがサポートされているようだ。個人的みたライブ映像だと元モー娘。の方がやはり華やかさがあっていい感じだったのだが、えげつないなと思ったのは十分細いであろうこの元モー娘。の方が太めに見えるほどオリジナルメンバー2人の細いこと細いこと！？（たぶん現物見たらかなり華奢で細すぎるぐらいに細いのでは）そらこの2人よりさらに細く見えてた脱退されたメンバーも辞めて正解だわな、という。（たぶん健康面で異常出てて当然の細さだったんだなと今にして実感をともなって理解できた感じ）ただやはりこの3人体制のフォーメーションが一番しっくりくるのは事実なので、サポートと言わずどなたか一人新規加入という形になった方が今後の踏ん張りはきくのではないか（2人だとやはり歪さが目立つ）。

昨今では欧米のマーケットで勝負できるアーティストもぼちぼち出てきてはいるが、意外と愚直に”真っ向勝負”を挑んでいる感じのアーティストではあるので、内輪の混乱をくぐり抜けてアーティスティックな面のみに注力できる状態に早くしてあげてほしいと思う。ある意味ここが一つの正念場かも。