【レビュー】『 この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説』/金崎貴臣 監督

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TVシリーズ以来、すっかりファンになってしまったこのすば。映画版がこのほど公開ということで先日観に行ってきた。
TV版と制作スタジオ変わってたり映画版ということでどういう違いが出るかという点は少し気にはなっていたが、蓋を開けてみると予想通りいつもの「このすば」。しかし映画用にいろいろとマシマシになってる部分もあってお祭り的に楽しめる一本だった。

物語としてはTVシリーズからの続きで、原作5巻目に当たる「紅魔の里」編部分を丸々やった感じ(自分はBOOKWALKERのセール時に原作を購入、読了済み)。

ストーリーとしては原作と基本的には変わらない展開だが、尺が90分程のため原作の「のんびり感あるからこその緩急」という面はやや減っていて、次から次へと休むまもなくエピソードが転がっていく感じ。この点原作準拠というところからはややもったいなくも感じる部分もあるのだが、原作未読でアニメ版のみ視聴ならいつものテンポが更に加速されてて笑ってる間にあっという間の90分とも言える。なので、映画という興行形態考えるとこのアレンジは非常に正解だと思う。
(パンフレットでも監督と脚本の方の対談で「俺達の戦いは時間という概念との戦い」とおっしゃられてたし─事実冒頭のアバン部、300カット近いのが3カットに圧縮されたらしいw)

基本原作準拠ではあるが、映画ならではの部分として実は若干クライマックス部分は変更・・・というか追加されている感じで、見どころはタイトルにもなってる紅魔族の二人。だがカズマさん他主役陣+αにもそれぞれ魅せ場がちゃんと作ってある感じで、ここはお祭り感というか東映まんがまつり的なオールスター感があって良かった。(個人的にはダクネスのあのバージョンがもう一度見れるとは思ってなかったので嬉しい誤算)紅魔の二人は最後決めてくれてここは例によっていちばん豪華できらびやか。「紅伝説」の看板に偽りなし。ただ一点だけ希望言うならダブルアタック式ではなくバトン式の方が盛り上がったかも・・・とは思う(ネタバレになるので詳細ははぶくがそれのほうが回想シーンの回収というか強化になった気はする)。

あとこのすばといえばアドリブ、アドリブといえばキャスト陣の熱演なわけだが、今回カズマさん(福島潤 氏)は演技が熱量・物量ともにめちゃくちゃ凄くてこの現場体力いるとか記憶飛ぶというキャスト陣のコメントも納得。確かにあるモンスターに追いかけられるシーンは男性客は同じ恐怖を味わうのでは(笑)。なにせ今回カズマさん「モテ期、入りました!」とドヤってる割にトラウマ植え付けられるシーンの連続で、ある意味ギャグシーン最大のヤマ場「当ててんのよ」など最大のトラウマシーン(笑)。このあたり敵幹部のシルビアとの掛け合い含めキャストの演技素晴らしかった。

ほか個人的におすすめシーンとしては
・「あるモンスター」の絶滅を知って転がるダクネス
・オークの皆様の熱演(笑)ぶり
・めぐみん母の挙動各種
・紅魔族のチートぶり・・・というかオーバーキルっぷりw
(ほとんどギャグで殺される魔王軍の皆様に同情するw)
・めぐみんと事後(・・・)翌朝、パーティーメンバーとの朝食シーンw
・カズマさんお約束のなめらかな手の動き
・起きてくるアクアの寝ぼけ眼(あんたほんとに女神かw)
・カズマさん激昂からの捕縛→華麗な掌返しw(シルビアとの掛け合いシーン)
・上上下下左右左右ほほほいほい
・「字幕」の出るシーン(これはお皿が出たらヘッドホンで聞いてみたいw)
・カッコいいゆんゆん
・魔性の妹による「どーん」後の各自の表情w
・「こっち来いよ」「石鹸洗剤石鹸洗剤」(映画版でも出るんかw)
・カズマさんが「相棒」と呼びかけるシーン
・バニルさんとウィズの「本来の」実力が見れるシーン
・剣の当たるどMクルセイダー
・真っ赤なエフェクトきれいw
・「ス・キ」w(「隙き」なのねw)
・エリス様のゲ□w
・本映画最後の爆裂魔法のシーン

こんなとこか、というかほぼ全部?(笑)

公開以来ニュース見ると興行収入も順調に行っているようだしこれだけビックタイトルになってきているので、どんな形であれ続編は来ると思う─なによりキャスト・スタッフ陣がこれだけ「この現場がずっと続いてほしい」と熱望している作品というのは非常に稀有だろう。ファンならともかくキャスト自体から「このすばロス」という言葉が出ている事自体がそのいい証明かと思う。

原作は現在16巻目まで出ていてもうじきクライマックスのようだが、アニメ版は本作でようやくその1/3ほどを消化したことになる。原作読んでいて気づいたのは基本巻をまたいでのエピソードは少なく、巻ごとでいちおう完結する感じになっているので、あと10期ぐらいはやれるはず!(違)ただ1巻1エピソードというのが発表媒体を選ぶ形にはなるかも(次巻以降は正統派の「最強の妹」キャラ出てくることもあるし)。

この作品「原作あっての話」というのはもちろん承知しているんだが、個人的にはキャスト陣によるアドリブ的な演技が最大の魅力であり、会話劇というか演劇に近い部分が一番の魅力だと感じている(アニメという媒体の性質を考えるにかなり貴重な例かと思う)。なのでぜひこのキャスト・スタッフで続編を創り続けていってほしい。

未見の方はAmazonPrimeで本作品の公開に合わせてまたTVシリーズが公開されているようなので(プライム会員なら無料)一度ご覧になってみることをおすすめする。クソミソに書かれることの多いAmazonレビューでこれだけ評価ついているというのもちゃんと理由があるのだ。

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