澤野弘之 SawanoHiroyuki [nzk] Live「2V-ALK」@Zepp Divercity Tokyo(2018/02/05-06)

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昨年リリースされたSawanoHiroyuki [nzk]名義のオリジナルアルバム第二弾『2V-ALK』、そのライブが遅まきながら先日あったので観にいってきた。

基本、タイトルアルバムの曲を中心に女性ボーカルゲスト日のWALK-A-LINE、男性ボーカルゲスト日のWALK-B-LINEという、内容の差別化はあったものの、両日バランスよく良曲が配分されていて、いい内容のライブだった。

またこのアルバム前後でボーカリストの面子の方もやや世代交代・・・というか互いに気心の知れた感じも出てきて、ボーカルプロジェクトのイベント的なライブというより、いい意味でより”普通のライブ”的な側面も出てきて、よりドライブ感に拍車がかかってきた。各ボーカリストのMCやアドリブによる”参加”によってより理想的な場としての空気感ができ上がりつつあるのは非常に歓迎すべき変化だろう。

2日とも行ってきたので、通しで全体的な印象などを。

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SawanoHiroyuki[nZk]
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初日が女性ボーカルゲストとして Aimee(エイミー)さん、2日目が男性ボーカルゲストとしてのmpi氏。それ以外はタイトルアルバムの曲を中心に各シンガーそれぞれの持ち歌を両日で入れ替えてきた感じ。

例によってセットリストはオフィシャルサイトで出してくれているので曲順詳細興味のある方はどうぞ。

両日ともトップバッターはtielle&Gemie組の「Gravitywall」→「Sh0Ut」からスタート。そしてそのままどちらか片方が残りそれぞれソロ曲パートにという構成。初日はGemieさん、2日目tielleさんが担当。

個人的にはGemieさんは以前から切り込み隊長的な役ができる人というイメージなのでなにげに貢献度大きいという印象がある。tielleさんは今回でようやくわかってきたんだが、この方、ものすごくメンタル的な振幅に左右されるタイプのシンガーさんなんだな、なのでそれがビタっとシンクロしたときの声の伸びというのは素晴らしい(今回も非常にいい感じだった)。お二人ともいいシンガーだと思うのでぜひがんばってほしい。

つづいてMizukiさんパート。この方はちゃんとご自身の活動としてUNIDOTSというユニットで活躍されていることもあってか、クオリティは申し分なし。加えて「e of s」あたりで確立されたと思うんだが、曲間ブレイクからのハイトーンシャウトによるサビへという武器となる”型”ができあがっている。これが非常に耳に心地よくて素晴らしい。

今回はカップリング曲でアルバムには入っていなかった「oldToday」も聴けたので大満足。「e of s」は初日だけだったが、ここは先行配信バージョンでのシンガロングなしのバージョン。アルバムでのシンガロングありのバージョンはライブ用に作ったのかと思っていたのでちょっと意外であった(笑)。※なしバージョンのほうが個人的にも好きだが。

続いてYoshさんパート。すっかり決め台詞となりつつある「生きてるかー!TOKYOォォォ!!」の煽りでスタート(笑)。

サバプロ(Survive Said The Prophet )のボーカリストでもあるこの方がnZkのライブにもたらしたものは非常に大きかった、というのは今回のライブでより一層はっきりしたと思う。こういうラウド・ミクスチャー系のサウンド、そのライブの文法というのは縁がない人にはなかなか直接体験することないと思うが、それを客層を考えつつ持ち込んでくれた感じで、ウルサイ系好きな自分としては大歓迎(笑)。澤野氏ご自身もこの変化は歓迎されてるのではないか。Yoshさん含め前述のtielle&Gemie組は今回のライブパンフレットで対談しているんだが、この内容が非常にいい内容で、音楽やってる人たちにはぜひ機会があれば読んでおいてほしいような内容。なれ合う感じでない、けど一緒にライブをする「仲間」というのはこういうもんなんだろう。余談になるが澤野氏とYoshさんのMCでのやり取りも面白かった、よりによってYosh子てw(このあたりはもうほとんど男子校とかああいうとこのガキンチョのノリw)

続いてはAimerさん。ここしばらく澤野作品とのコラボがないのでやや短めの出番だったが、逆にそれで最近のレベルアップが顕著にわかるという結果に・・・。
どういうことかというと、「アクセルベタ手踏み感は全然ないのにきっちりパワフルかつ細やかにコントロール」された歌声、穏やかなたたずまいなのに声が通る通る。(このあたりここまでの皆さん決して下手じゃないけど声域ギリギリの音をブッこまれてるサビ前後だとやはりふりしぼってる感はあるわけで―それがAimerさんには全くない!)こう書くといやらしいがここ最近のコラボアルバム~ベストアルバムリリース~武道館までの一連の流れで一つ階梯あがってる感じ(某FSS的に言うと騎士と天位騎士の違いみたいな)。ただこのあたりよく考えてみると当たり前の話で、彼女がおそらくこのメンツの中ではいちばんずっと歌い続けている人であるという単純な結論なのかもしれない。しかし歌ではそういう凄みを感じさせつつもMCは例によってすごくフレンドリー。ひとつこれまでのとの違いがあるとすれば―ご自身の活動の積み重ねによってポジティブな自信が生まれているんだろうな―いい意味ですごく堂々とされていたこと。それでいてちゃんと和やかで心優しい感じのお人柄は相変わらずという。なにはともあれ澤野氏は早く彼女に新曲提供すべき、それも至急にw(お二人のMCタイムでも観客からはそれを望む声がしっかりあがってた)
個人的には今回ずっと生で聴きたかった「Through my blood<AM>」が聴けて感激でございました!

ここまで終えて両日でゲストシンガー登場→初日はエイミーさん、2日目はmpi氏
それぞれライブでは初披露の曲をやったのかな。(ここではそれぞれ1曲だけで引き揚げたんだけども、ご両人はまたアンコールで登場)

ここで特筆しておくべきはmpi氏の歌唱力その脅威のレベルアップだろう。前回のライブでも努力されてるのをすごく感じたが今回のレベルアップぶりには驚愕、音源よりはるかに歌のレベルあがってるんですけど!?素晴らしすぎる(メチャかっちょいい)正直脱帽!?そしてその素晴らしさは2日目の大ラスのアンコールでさらに実感することに(後述)。

そしてライブは本編最終パートへ。ここでまたtielle&Gemie組がそれぞれの後半(両日入れ替えて各ソロ曲)パートを。面白いのは両日ラストパート担当と逆のほうが1曲だけスパン!と歌っているところ、いや歌うほうは瞬発力必要とされるので大変でしょうが(苦笑)。ここでも面白いんだがtielleさんはこういう〆に近いパートのほうが向いてる感じ(別の言い方でいうとスロースタータ)、Gemieさんのほうは先行逃げ切りのほうが向いているのかな?と感じたこと。このあたりは曲調がそれぞれ異なるので一概にいえないんだが。Gemieさんのほうは後半アッパーな曲の比率多かったからかも。(バラードの「Saving Us」は文句なしに素晴らしかったので)ちゅうか何気にブレスきつそうな曲ばっかりよな、サビはおそらく音域ギリギリまでフラれてるだろうし(苦笑)。

そして両日とも観客の拍手とともにわきおこる「ノッザッワ!」コール(苦笑)。
初日はエイミーさんでの「DOA」!やっぱりこれはライブでの盛り上がり定番ですな。つづいてAimerさんによる「s-AVE」で〆。大ラスが澤野氏本人によるピアノソロなんだが、ここで「今日はちょっとほかの人の曲を」といっておそらく小室哲哉曲をふくめたピアノソロが!これまでもUnChildライブでの「beyond the time」やったりご自身のアーティストブックでの対談相手に小室氏選んでいたりつどつどその影響を公言されていたが、小室氏の一連の事件のあったこのタイミングでこういう形でのリスペクトを表現されたのにはすごく漢気を感じた。あのお笑い芸人かと見まごうばかりのMCの裏にあるこういったシリアスな部分のアンビバレンツがほんとこの方の魅力よなあ・・・。ピアノメドレーは2日目大ラスでもやったが、この日も(自分が間違えてなければ)小室曲フレーズは含まれていた(ほかRE:I AMも)。

で個人的には2日目のアンコールが一番楽しかった。こちらではmpi氏メインで「Warcry」からのGemie&Yoshのご両人呼び込んでの「Barricades」キターー!!

この曲は絶対ライブ映えすると初めに聴いた時からずっと思ってたし、なによりも昨年ずーっと聴き倒してた曲の一つだったのでもう願ったりかなったりですよ!?そしてこのアンコールパートでよりはっきりわかるmpi氏のボーカルの素晴らしいまでのレベルアップ・安定感!澤野曲のむつかしいところは高音もそうなんだが実は低音―Lowボイスなパートのほうがむつかしいと思うんだけども、そこをしっかりと芯のある声で歌いとおされていた、すげええええええ!?

ということで両日とも―特に2日目は自分の好きな曲の比率高かったということもあってより一層―楽しませていただきました。ふはー満足。

で、当日MCで発表+当日のフライヤーで先行予約発表されたが今年の5月にLive[nZk]005のライブ開催決定しているとのこと(2/14~HP先行ある模様)。今度はこれまでで最大規模であるパシフィコ横浜の国立大ホール!大丈夫か!?ここけっこう収容人数多いぞ!?と思ったけども、平日のライブで今回ぐらいきっちりお客さん入ってるし、なにしろ日程が日曜日!(5/13)おまけにUCのフィルムライブのファイナルやった会場なので、客層もいつもより少し広い感じになりそう。

ということで興味のある方は澤野氏のMC聴くだけで一見の価値あるので(!?)ぜひいちど脚を運んでみてほしい。良質の楽曲聴けてなによりたのしいライブ。なかなかこういう独特の空気感を持ったライブというのはあるようでないと思うので。

(以下前回までのライブダイジェスト映像)

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