先にアナウンスのあったPVのクラウドファンディングに参加してたので、先日先行でアルバムが届いたのでレビュー。
この「Mika Type ~」シリーズの2作目。例によって2枚組で、オリジナル曲収録の「アナタサガシ」と澤野曲を中心とした中華圏ライブ録音盤の「ウタウワタシ ろ」の2枚組。
SPACE SHOWER MUSIC (2018-01-10)
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もう基本的にこの方の作品はなにも言うことがない!というか安定のクオリティ。前作もそうだったがまず素の声でズバッと切り込んでくるのがいつ聴いてもぞくっときて素晴らしいよなあ。
ピアノの弾き語りベースなのは相変わらずなのだが、今回はややほかの楽器の比重・・・というか比率も変わってきていて、そのあたりは面白い。
ご自身はどういう意識でいらっしゃるのかは存じ上げないのだが、基本的にこのかたはある種のブルースシンガーの系譜にあるような気がする。もちろんそれだけではないし、この方独自の世界観というものが確固として存在しているのだが、その根底に流れるスピリッツというかメンタリティというのはそこに極めて近いような気がする。ちょっと意外に思われるかもしれないが、浅川マキとかあのあたりにも地下水脈ではつながってそうというか。
そのうえで澤野作品にみられるようなポップスのスタイルも自然に歌いこなされているので、ご自身の世界観のままもっといろんな切り口を今後見せてくれそうな気もするので今後はそこにも期待したいところ。(もちろん今のスタイルを貫き通されるのもアリなんだが)
あと毎回面白いなと思うのが、これだけ独特の存在感・世界観を持ってらっしゃるアーティストなのに、その音の鳴りはすごく正統派というかものすごく王道な感じという(ある意味FSSのヨーンくんみたいw)。そのあたりが実はすごくよくわかるのが今回の中華圏でのライブを収録した「ウタウワタシ ろ」。
このライブ盤はその場で一発取りの音源をほぼそのまま持ってきた―ほとんど修正的なものが入っていない―と思われる生々しいテイクなのだが、その”生(ライブ)”ならではの揺れやラフさの部分がはっきりと収録されているが故に、よりその素の部分の正統派さがよりわかるというか(ある意味このアンビバレンツさがこの方の魅力のひとつでもある)。なのでこのライブ盤はある意味音源としての完成度よりも、そういう素材のレア(生)さを堪能するための盤といえるので、非常に良い組み合わせといえる、うまい。
※ただ前作の『MikaTypeい』の時にも書いたが、こういう少しスタンダードから外れる方向性の音源は、昨今のカチッとした音源だけしか聴いてない若い層に対しては少しリスキーな側面もあるかも。ただそれを含めて”本物”とはこういうモンだというのを体験していただくしかないのですが(笑)。
先に記事にした拝郷メイコさんもそうだが、昨今はこういう実力派のシンガーは大手の傘下に入らず、インディーズ的なスタンスでガンガン活躍されている。そのほうがアーティストとしての自身のビジョンに忠実に活動できるということだろうし、こちらとしてもそれは大歓迎。ただ一転、広報や興行の面でやはり個人事務所ならではの限界はあるように感じるのがなんとも痛しかゆしではあるな。
そういうこともあって、今回も少しでも助太刀になればと思いクラウドファンディングに参加し、1月のライブのチケットも購入済みなワケですが、まあなんにせよもう少し世間的にも大きく知られるべき存在ではあると思うのですよ。
望むのは”人気者”が満ちる世界ではなく、”本物”が満ちる世界であってほしいといいましょうか。
miccabose label (2016-06-22)
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