今月の月初に発売になっていて、先行発売分で手に入れていた。
一部先行でYoutubeで発表されていた『引力』などを含む約5年ぶり?になるフルアルバム。
ここのところバタバタしていたので遅くなったがレビューしておく。
インディーズ・メーカー (2017-11-10)
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まず前作の『BROOCh』がものすごく良いアルバムだったということが大前提。
おそらくこの『BROOCh』というアルバムはことクオリティという面で見れば、本来もっと評価されるべきアルバムかと思うんだが、知る人ぞ知るみたいな感じになってしまっているのが非常に残念だ。
(正直日本の女性シンガーソングライター史とでもいうべきものがあるならぜひ載せておきたいと思うぐらいの一枚)
nanno records (2012-06-08)
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で、そういうアルバムが前作としてあるので今回の『ホシノモト』は非常にハードルを上げて聴いてしまったので、1回目回したときは「いいアルバムだけど、前作に比べるとちょっと地味かな~」という印象であった。
しかしここがいいアルバム、いいアーティストならではの特徴というか、ついつい回して聴いちゃう。そういうタイプの良アルバムだった。
一つ言えるとすれば、前作で上がったハードルということもあると思うが、このアルバムがひとつ損しているのは曲順―というかアルバム全体で大きな流れを感じさせる風にはなっていなかったところ。ここが少しもったいなかったように思う。
全体的にアッパーな感じの曲よりもミッドテンポの腰を据えて歌うタイプの曲やバラード中心のアルバムなので不可抗力でもあるんだが、この方のライブご覧になった方はご存知のようにアッパーテンポの明るい曲もレパートリーにあって、それもすごく魅力的なのだ。本作でいえば4曲目の「スター」などがそうなのだが、こういう曲でのってきたところで、ミッドテンポの曲に戻ってしまうのが少しもどかしいとでもいえばよいか。
収録曲全体のバランスから考えると妥当な位置ではあるんだが、もう1曲ぐらい同等のアッパーな感じの曲があればぐっとアルバム全体の演出はつけやすかったかもしれない。
ただ、ご本人の言ではレコーディングに関してはこれまでずっと引っかかっていた部分をクリアして非常に満足のいく仕上がりであったとのことなので、これはこれで良しとということだろう。1曲1曲のクオリティは文句なし。非常に素晴らしいと思う。
最初は先にYoutubeで聴いていてそのライブテイクの印象が強かった前述の『引力』も繰り返し聞いてみると、アルバム収録であればこのアレンジも納得だし、曲の良さという点ではいささかもゆるぎない。全曲そういう聴けば聴くほどしっくりときて耳に残り、いつの間にかもう一度リピートしているそういうタイプのアルバムである。
以前から思っているのだが、もう少しこの方は世間的な知名度・認知度あってしかるべきだろうと思うのだが、インディーズ的な立ち位置のほうが「アーティスト」としては動きやすいということなのだろうかなあ。
この拝郷さんといい小林未郁さんといい、実力のあるシンガーソングライターのみなさんがけっこうそういう立ち位置を自発的に取っているというのは、少し考えさせられるものはある。
インディーズ・メーカー (2017-11-10)
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