そろそろ年末なので例によって今年2025年に見たコンテンツの備忘録を。
まずは映画──今年はコロナ以降では比較的映画館へ足運んだ感じ。とはいえそれでも見れたのは実質三本だけ(そのうち一本はリバイバル上映)。
『トロン』とか『教皇選挙』とか見に行きたかったんだけど、気がつくと上映期間終わってた(泣)。
なので結局見に行けたのはアニメのビッグタイトルと「これは流石に見逃してはいかん」と注意してたリバイバル作品の3本のみ。
■『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 』第一章 猗窩座再来』
一本目は言わずとしれた『鬼滅の刃・無限城編』
(とりあえず映像の派手さが分かるのでこの予告を選んでみた)
本作は国内のみならず海外でも膨大な興行収入もたらした本年度一と言ってもいいビッグタイトルですな、自分に限らず多くの方がご覧になったと思う。
それに耐えられるだけのクオリティ持っていたし、(良くも悪くも)原作に忠実─昨今の勘違いした実写TVドラマ・映画のような制作陣の思い上がりからくる意味不明な改変もなく安心して観られた。
ただその分、多くの人が指摘しているように回想シーンの按分がバランス良くない部分があるのも事実─しかしトータルで見たとき、意外とバランス悪いのは猗窩座パートのみだったことは指摘しておきたい(他のパートは比較的常識的なバランスだったと思う)
これは下記のチェンソーマンと同じく、珍しく2回観に行った事もあってよりはっきり分かった。(特に鬼滅に関しては2回観に行ったのは長すぎてディティール追いきれてない懸念あったため)
猗窩座パートは回想シーンのウェイトが内容的に重いのもあるが、そこに炭治郎の父との熊退治(”透き通る世界”の説明)パートがあり、更にそこに加えて、猗窩座とのバトルシーンとしての決着がトドメの一振りのみ─にも関わらず、それできちっと決まった感が薄かったことも大きな理由だろう。
とはいえ、これは原作通り非常に忠実にフィルムとして再現した結果なのである意味不可抗力─事実原作コミックでこの部分を見てもさほど冗長には感じない。
なので贅沢を言うならば、ここを敢えて再構築し映像ならではのバランスとして流れを整えるべきだったかと思うが、あの情報量を下手にいじるのは怖いというのもよく分かる。よってここは不可抗力的な最大公約数として「原作未改変」で乗り切らざるを得なかったんだろう─それは肯定せざるを得ない。
総じてそういう歯痒さはあるが、それ込みでもあれだけ壮大かつ見ていて生理的に気持ちのいいアニメーションの連続は十分お釣りが来るだろう。個人的には「鬼滅・上弦戦のベストバウト」と信じてやまない「胡蝶三姉妹VS童磨」戦が構造上分割にならざるを得ないのが(仕方ないと納得しつつもw)ぐぬぬ・・・な感じではある(苦笑)。あと一点だけ些細な違和感としては獪岳の技のエフェクトが思ってたより細かったことくらいか(もっとゴン太だと原作読んだときは思っていた)
いずれにせよ、現時点では考えられる最上の映像化といっていいのは間違いないと思う─このクオリティでまだ2本も見せてもらえるなんて!?という期待の反面、三本目に関しては見てる間息が持つだろうか!?というのは真剣に心配せざるを得ないw(ずーっと途切れなく戦闘シーンになると思われるので)
■劇場版『チェンソーマン レゼ篇』
二本目は『チェンソーマン レゼ篇』
これはTVシリーズが監督の暴走で大失速し、シリーズの存続自体が危ぶまれていた『チェンソーマン』という作品にとって起死回生の特大ホームランとなったと言っていいだろう。
戦略としてはある意味バクチだったと思うが、公開直前に問題のTVシリーズを今回の劇場版スタッフ(監督も当然交代)によって再編集─というかほとんどリメイクのレベルで再構築した『チェンソーマン 総集編』を出したことが功を奏した。これによってTVシリーズを酷評していた中心層だろう原作ファンからも熱烈に好意的な反応を引き出し、一気に期待感を高めることに成功→そしてそれを裏切らないどころか遥かに上を行く映像を出してきたことで、今回のチェンソーマン制作スタッフはかなり不利だった勝負に大逆転したと言っていいだろう─それもこれもクオリティに対する自信があったからに違いない、とにかく見事だったと言っていいと思う。
本作はストーリー自体は比較的普遍的ないわゆる「女スパイモノ」といっていいと思うんだが、上記添付のOP映像見てもらっても分かるように構図やカット割りのリズム感が完璧、ひょっとするとこの2025年秋の時点での実写・アニメ問わず最高峰のレベルの一本と言ってもいい出来に仕上がっていた、作品単体の完成度としてみるなら、(どちらも本編中の1EPでしかないというハンデがある上で)この「レゼ篇」のほうが圧倒的に上だったといっていいだろう。
特にOPから前半の日常シーン(マキマさんとの映画デートのシーン)という一つ間違えれば退屈なシーンになるパートをまったく緊張感切らさずに繋いでいたのは見事だった。そのあとレゼが出てきてからは映像の力はもちろん、「やべー女」(笑)をやらせると定評があるというレゼ役・上田麗奈さんの演技もバッチリハマり、SNSではレゼに脳を焼かれて幻覚見る人が続出(笑)、もうここまできたら勝ち確間違いなしという絶対の布陣。作中のリリカルさあふれる描写といい、ラストの悲恋としてのエンディングといい、近年稀に見る「めちゃくちゃ磨きに磨き抜かれた佳作」だったと言ってもいい。(ここで「傑作」としないのは不可抗力とはいえ原作の中の1エピソードということでスケール面での限界があるから─これが単独の恋愛映画というのなら文字通り「大傑作」だったと言えるだろう)
前述のように鬼滅と本作、ともに2回見たが、鬼滅は尺長すぎて再度見ないと全体像が把握できなかったというのもあるが、本作に関しては上映形態の違いを確認したかったということもあり2回目を観に行った。
1回目はIMAX、2回目はDollbyAtomosで見たんだけども、実は期待したほどの差は本作に関しては感じられなかった─逆に鬼滅の方はおなじくIMAX→Atomosでみたんだが、こちらはAtomosの音響効果の違いがはっきりと分かった。
思うに、おそらく録音作業の段階での空間設計や予算の違いが大きく出ていたんだろうかと。チェンソーマンのほうに音響を期待していたのはご覧になった方はご存知のように、非常に大画面でこそ見ごたえのある迫力ある構図での戦闘シーンがメインディッシュであったため。
次に劇場でかかるプログラムとなる可能性がどの程度あるのかはわからないが、これだけの大ヒット(おそらく制作側の想定をかなり超えたヒットになっていると思う)となったので、次回はその音響周りについても期待したいところだ。
とはいえ本作はフィルムスコアリングということもあって音楽周りも臨場感バッチリで素晴らしかった。そしてOP/ED担当の米津玄師も例によって非常にいい仕事をしている。両A面相当の『IRIS OUT / JANE DOE (IRIS OUT盤)』を記念グッズ代わりに購入したが、これ洒落てるのは特典ポーチがレゼのチョーカを模したデザインになっていること。『KickBack』の時はチェンソーのチェーンを模したネックレスになっていたので、このあたりも対になる感じでなかなか遊び心のあるいい企画だったと思う。
■『落下の王国 4Kデジタルリマスター』
三本目は『The Fall 落下の王国』
石岡瑛子の衣装で有名な前作『ザ・セル』をうけての同じくターセム作品の4Kリマスター記念上映。
自分は公開当時この作品のことは知らず後からDVDでみて感銘を受け、強く記憶に残る一作だったので今回は是非スクリーンで見たいと思っていた。やっと念願かなった感じである。
ストーリーについては公式サイトご覧いただくとして、やはりこの作品は前述の石岡瑛子の衣装を始めその色彩設計、そのきらびやかさを堪能するための映画だろう。
エンディングテロップ見ても分かるが、なにせ今では考えられないくらい膨大な数のロケ地で撮影している─そしてそれがまた絶景ばかりなのだ!
そして今回あらためて見直してみて「エグぅ!?」と思ったのはそのターセムのカメラワーク─とにかく構図のとり方がエグいw、どのカット取り出しても絵になるぐらい緻密に構築されている。
一番「頭おかしいw」と思ったのは、各主役キャラクターたちが荒野にある岩だらけの場所に散らばって立っているところをやや上下に振りつつ横にパンしていくシーンがあるんだが、そこがどことっても構図としてビタッと成立しているところ─くり返しいうが頭おかしいw
ただこういう狂気の構図や色彩設計も石岡瑛子の「ド派手」かつ「傾いた」大胆な衣装デザインがないと、映えなかったろう。作中一部原住民というか土民が呪術的に出てくるシーンが一見唐突に出てくるが、衣装の力を借りないのであれば、これぐらいプリミティブなキャラクター造形にしないとおそらく構図設計に負けてキャラクターがキャラクターとして機能しなかっただろう。それぐらい精緻な画面設計だったんだな、というのが今回再見して本当に良く分かった(これはその間自分も少しカメラに関して勉強したから分かるようになったんだろうと思う)
そしてそういう緻密な画面設計にも関わらず、そこで物語られるのはとても優しい「再生」の物語─これはここまで未見の方は、いい意味で期待せずにぜひご自身でご覧になって確かめてみてほしい。
そういう意味で今回「あ、ひょっとしてこれは」と思ったのは、実は本作が『ガンダムUC』での名台詞
「心に従え」
の元ネタだったのかもしれないな、ということ。そう、本作もある意味「擬似親子(父娘)」の物語であるからだ。
本作はこれまでメディアの入手性が悪かったこともあり「幻の名作」的扱いだったせいか、今回もけっこう盛況で、映画館の座席を取るのに苦労した(苦笑)。
そのせいか、11月中旬からの上映にも関わらず、まだぼちぼちの映画館でかかってるようではあるので大したもんだと思う(だいたいリバイバル上映でここまで長い期間かかるのは珍しい)
4Kリマスターということでおそらくこの後メディアも発売されると思うので、今度はそれを待ちたいと思う。とにかくいろいろと目に保養というか眼福というか、美しさにあふれる映画なので、チャンスがある方はぜひ劇場の大きな画面でご覧になっていただければと思う。

