機動戦士ガンダムUC FILM&LIVE the FINAL“A mon seul desir” [Blu-ray]

標準

Aimer嬢のパート未収録でAmazonレビューでは発売前から大酷評されていたパッケージ(苦笑)だが、実際に観に行った者としてはまあ一応持っておくかということと、もう一つ理由があって購入。

機動戦士ガンダムUC FILM&LIVE the FINAL“A mon seul desir
バンダイビジュアル (2015-04-24)
売り上げランキング: 291

昨年7月、UC完結を受けて行われたパシフィコ横浜でのコンサートライブのパッケージ化。当日おこなわれたオーケストラライブを中心にトークショーの様子や昼夜公演でそれぞれ異なっていた朗読パートを収録。ただしEP6、EP7の主題歌を担当したAimerの歌唱パートは未収録。


内容については以前レビューしたので今回はパッケージとして、というか全体的な位置づけからの評を。

まずAimerパート未収録にもかかわらず本パッケージを買おうという決断に至ったのは、おそらくこのパッケージに収録されている部分を含めて初めてUCは完結すると思ったから。

それは言うまでもなくミネバ役藤村さんによる朗読パート。

これをもういちど・・・というか作品の一部として手元に置いておきたい、と考えたのでパッケージ化アナウンスがあり、Aimerパート抜きという事を聞いても「まあしょうがないか」と思い購入しようと判断していた。

それぐらい―本編の主要なヒロインの一人であるにもかかわらずその立場的な性格から、個人的な感情の吐露が少なかったミネバの―このパートによる補完は作品的に大きなウェイトを占めていると生で見た時から思っていたので。

※このパートは内容的にもそうだが朗読としての演技も素晴らしい―そのためある意味本パッケージの特典映像の目玉的な意味合いをもつバナージ役の内田さんのパートがあまり特典の意味をなしてないような気配すらある(苦笑)

加えて当日聴いた演奏も非常にCD音源に対しての再現度も高く、かつ生演奏ならではの揺らぎや空気感もほどよく残っていて非常によいバランス。(ただ若干よい音響で聴かないとオケならではの音の広がり感じにくいかも)当日感じた若干の進行のぎこちなさというのも編集でうまく刈り込んであり流れを殺がない工夫もされている。また歌モノとしてもCyua嬢のA Letter、Sternengesang、”歩く人間ハイレゾ音源(笑)”小林未郁嬢のEGO、Remind Youとちゃんとバランス良く収録されているので、そういう意味ではサントラを手元にお持ちでない方には総集編的な意味でオススメできる。(小林嬢はおそらく本来は担当していなかったであろう曲のコーラスパートも担当された模様)

逆にいうと、本パッケージは当日のLiveを完全収録するという性格のものではなく、当日のLiveをベースにしたUC音楽映像ベスト盤と考えるのが一番自然なのかもしれない。

で、Aimer嬢パート未収録についてである。

じつはこれ、なんとなく当日の構成からある程度予測はついていて、未収録との発表あった時も

「あー、やっぱりな~」

という感じで実はあまり意外な感じはしなかった(苦笑)。
なぜかというと、当日のレビューでも書いたがAimer嬢のパートはこのパッケージになっているLive本編部分を最初と最後で挟み込むような形になっていて、いわゆる本編相当の部分ときれいに切り離されていたという印象が当時からあったので。つまりこのLiveのプログラム進行の構成時点でAimerパートは未収録にするということをある程度前提としてもともと構成されていたという事だろう。そこから考えると今回のパッケージ未収録というのはある意味予測の範囲内だった。

ではなぜそういう形にせざるを得なかったのか?
いろいろ理由は考えられるが、その最大の理由はAimer嬢マネージメント側のプロモーション方針にあるだろうというのが自分の予想だ。

もちろん所属レコード会社の違いなどもあると思うが、それだけならこんな面倒なことをせず最初から参加しなければ良いわけで、説得力に欠ける。加えて澤野氏とは本作品をモチーフに別途『UnChild』という素晴らしいコラボでパッケージ作品はおろかLiveまでやっているのである。

で、ここまで考えて見えてくるのがAimerマネージメント側の”映像”に対する方針のようなモノだ。

それはどうも「ライブ映像は”配信”はしても”パッケージ”としては残さない」とでもいったものではないか?というのが自分の予測。

なぜなら実はAimer嬢はインターネットライブ等は良くやられているようだし、ということはそこではカメラは入れている、という事でもある。加えて上述『Unchild』ライブの時も実際カメラは入っていたし、もっといえばどうも本パッケージとほぼ同内容をAnimaxで放送した際はAimer嬢のパートも含まれていたそうだ。(ここは伝聞情報であることをいちおうお断りしておく)

つまりそこから考えると「Liveに関しては”流れる”もの(放送・配信)では公開するが、”固定された”もの(パッケージ)では残さない」という事だろう。

もしそうだとすると、これは実はすごくいまの時代の音楽業界のトレンドをよく見据えた判断で、ファン側からすると不満がつのるのもわからなくはないが、CD等のパッケージ商品の収益がアーティストの活動を必ずしも支えてくれない―激的なCDパッケージの売り上げは見込めない―いまの時代にあっては正しい判断だと思う。

さらに言うならば、Liveはやはり”生(Live)”であって、その場の空気感を含めた場所にしか実は存在し得ないという主張が言外に込められているのかもしれない。だとすると、このあたり彼女もカバーで取り上げていたCoccoのデビューから一時休業するまでのスタンスをなんとなく思い出させる。
(直接のニュアンスは少し違うのだが)

なので”流れる”(=一過性のある)場所では公開するけれどもそれ以外の形では残さない、どんな形であってもなにかしら”体験”と呼べるものとして在ってほしい、ということなんだろうな。これはご本人の意思かそれともマネージ側の方針か、どちらにせよ時代の流れを見据えた慧眼だと思う。
(とはいえ、そもそも自分の勝手な推測にしか過ぎないと言えばそれまでなのだが:苦笑)




あと最後にここまでのいわゆるFilm&Liveに関して、自分の把握しているパッケージをまとめてご紹介しておく。もう少し観てみたい、という方の参考になれば。

機動戦士ガンダムUC (特装版)
バンダイナムコゲームス (2012-03-08)
売り上げランキング: 6,919

PS3のゲームの特装版である。このパッケージはゲームは正直言うとやや操作系が困難で、素人ゲーマーにとってはあまり爽快感がなく面白くない(笑)。ただしパッケージとしては原作の福井氏によるダグザやアルベルトの前日譚を描いた『戦後の戦争』という小説小冊子もついてくるので原作小説まで読まれている方にはそれなりに手を出す値打ちのあるパッケージだろう。中古で良ければそれなりの価格で入手可能かと思う。Film&Liveに関してはコレクターズディスクという形でEP1~3の特典映像などの一部として35分のダイジェスト版が収録されている。内容としてはオリジナルサウンドトラック集のVol3にも収録されているEP4の時に行われたFilm&Liveの収録映像から5曲分ということのようだ。

EP6の初回限定版の特典として、EP5の時に行われたFilm&Live2012を納めたディスクがついている。136分なのでほぼフル収録だろうか。またこのFilm&Liveの進行台本も特典として収録されている。ここで収録されている回のものは今回のFinalと同じく朗読パートで語られる部分がミネバの心情を大きく補完するものとなっている。またミネバだけではなくバナージ、リディ、そしてフロンタルの朗読パートも本編補完の意味は大きいのではないか。(そこからも朗読パートを含む進行台本がついているという意味は大きい)。またこの回のFilm&Liveでのリディ役浪川氏の演技は怪演で(笑)本編のイメージからは少し乖離していると感じなくもないが、面白い=見ごたえがある。(この演技を踏まえたとするならEP7でのミネバ狙撃⇒マリーダ誤射の流れも実は説得力があがるような気がしないでもない)

機動戦士ガンダムUC FILM&LIVE the FINAL“A mon seul desir
バンダイビジュアル (2015-04-24)
売り上げランキング: 291

内容としては上述のとおりである。特典?として会場で販売されていたパンフレットの縮刷・編集版が付属しているが、Aimerパートの未収録を受けて各主題歌参加アーティストのインタビューページがごそっと削られている。ただ、それ以外は澤野×福井×古橋の鼎談もちゃんと再録されており、ガンダムUCという作品を音楽面から理解する意味では必要十分なものを収録していると言えるだろう。




自分の確認したものとしては上記3パッケージかと思うが、単独で発売されているのは今回発売されたFINALのみ。こと”音楽”という要素に関してフォーカスを絞るならこのFILM&LIVE the FINAL“A mon seul desir”がいちばんまとまっているだろう。

逆に本編のストーリー的なものをもっと堪能したい、という方にはEP6の特典ディスク収録のFilm&Live2012がオススメだろうか。ただ初回特装版であるということ+通常パッケージを既に入手済みの方もいるだろうことを考えると一番ハードルの高いパッケージとも言えるかもしれない。

このあたり実は「特典」として展開されてきた企画なので仕方がないとも思うのだが、できればこれまでのものをすべて整理してまとめてほしいとも思わないでもない。なにしろ売れっ子劇伴作家である澤野氏の、その仕事の中でも一段飛び抜けたクオリティを放っているのが本作での楽曲であろうから。

そして望みは薄とはいえ、今回未収録のAimer嬢パートも含めたFilm&Liveコンプリートパッケージ、或いはベスト版みたいなものは出てくれればなあ、と正直妄想はする。
ただ繰り返しになるが可能性は低いだろうな。ただ、そこは本Live〆の以下の言葉にならって気長に待つことにしましょうか・・・。

『希望を失わないこと、それが私のたった一つの望み』

 

機動戦士ガンダムUC FILM&LIVE the FINAL“A mon seul desir” [Blu-ray]」への2件のフィードバック

  1. niseikkyu

    お久しぶりですw

    やはりAnimaxではありましたか、Aimerパート。
    個人的にはこのときのSteringChildがここまで聴いたいろんなテイクの中ではいちばんだったので、やはり残念ではありますね~(T▽T)

    おかげさまでUCのおかげでバンダイ様ならびにバンダイビジュアルさまにはここのところお布施しっぱなしでございますよ(笑)。

    なんにせよクオリティをともなった元気のある企画がどんどん出て来てくれるっちゅうのは一視聴者としても嬉しいもんです。
    またいろいろとお話聞かせてくださいませ。

コメントを残す