これは出した価値のある1曲だった。ヤマハVOCALOIDチームと、hide亡き後も彼の片腕としての立場を全うし続ける稲田(INA)氏の技術と努力には感謝の言葉以外ない。
ユニバーサルミュージック (2014-12-10)
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hide最後のアルバムとなったJaZooに本来収録される予定だったトラックをVOCALOIDの技術を使い、”hideロイド”的なものではなく、純然たるhide名義に恥じないクオリティをもった1曲。
タイトル曲を筆頭に、発表順をさかのぼる形でのベストアルバムともなっている1枚。
ともかくリアルタイムでhide作品に接してこられた方の多くにとって「聴いてみて納得!」の一言しかないのではなかろうか。
そしてここ数年のVOCALOID関連のムーブメントにひとりの観客として付き合ってきたという自覚のある自分としては二重にうれしい1曲となった。
ただINA氏もインタビューなどで述べているが、あくまでも本作品は’98年、JaZoo当時のサウンドメイキングをあえて踏襲し、2014年現時点でのサウンドメイキングを積極的には反映していない。
そういう意味でも、やはりいろんな意味で”メモリアル・トラック”である、という捉え方を自分はしたいと思う。
なので多くは語らずにおく。
ほんとあるのは冒頭に書いたように、ここまで粘ってくれた制作陣への感謝、それだけだ。
そして結果的にほんとうの最後のトラックとなった本作が、いい意味でなにも考えてなさそうな明るい、すこーんと突き抜けたトラックであった、ということはすごく幸せなことのように思う。
自分が車に乗っていたら、カーステレオで大きな音で鳴らしながら、横須賀の海岸線をドライブしたくなるであろう、そんな気分のトラックだった。
かつてのファンは懐かしんで、初めて耳にする若いリスナーさんたちにはこれをきっかけに彼の音楽が知ってもらえたら良いな、と思う。
制作スタッフの皆さん、ほんとうにありがとうございました。