bookwalkerの角川・ドワンゴ経営統合のセールにて。
いや、これおもしろすぎですわ!?
『「ガンダム」を創った男たち。 上巻 (カドカワコミックス・エース)』
『「ガンダム」を創った男たち。 下巻 (カドカワコミックス・エース)』
いわゆる”ファーストガンダム”と呼ばれるようになった1979年のシリーズ第一作『機動戦士ガンダム』制作の舞台裏を、その劇場版公開までを舞台に、フィクション的に描いた作品。傍若無人な少年マンガの不良主人公のようなトミノ監督をはじめ、ゴージャスな美系・安彦氏、鉄工所の強面のおやっさん・大河原氏など、徹底的に”つくった”キャラクターで描かれる作品だが、それによって当時の熱気をリアルに伝えようとする力作。
いわゆるドキュメントではなくフィクションとしてのコミック作品である。
しかしそこで描かれている”熱気”のようなものは間違いなく当時の現場の空気を再現しているのではないか―そう思わせる作品である。
なんせ熱い、熱い(笑)。
まるで島本和彦氏の作品のようなノリだ。
それは正確な再現ドキュメントとしてではなく、一つのコミック作品としてのいい意味での”割り切り・振り切り”があったが故に手に入れられたものだろう。
富野監督からしてすでにスキンヘッドのパンクロッカーみたいなキャラだし、安彦氏は細面のまるでガルマのような美系キャラ(笑)。普段優しげな印象さえ受ける大河原氏は眼光鋭い強面の鉄工所のおやっさんに変えられてしまっている(笑)。
それでもここで語られていることの本質は恐らくノンフィクション・・・そう感じられるだけのものがある。
実は最近Gレコがはじまるということもあって、富野氏のインタビュー類を読む機会が増えていたんだが、いつもどおりその深い知見にうなずかされることも多い半面、いつまでも煮え切らんじいさんやのう!?とちょっとイラついてもいた―もう理屈はいいのよ?いつもみたいに終わったあとでエクスキューズしない作品でそれをズバッと見せてよ!?と(笑)
しかしそんな受け手の勝手なフラストレーションも本作での監督の苦闘を知ると、ほんとに受け手というのは勝手なもんだなと恥じ入りました。
それぐらい劣勢な戦いの中、監督を中心としたモノを作ろうとするスタッフの志が周りを動かしファンの心を動かし、その熱気が時代をも動かした―感動の大河ドラマ以外の何物でもない。
ただ、だからこそ監督には堂々と胸を張って「俺はこんだけのモンを作ってきたんだぜ!?」とうそぶいてほしいんだけどもな。
(しかしこれは同じく購入した監督のメルマガをまとめた電子書籍のなかにあった、ご自身で自覚されているという「生真面目さ」がそれを許さないのだろうな・・・)
さてテレビのない我が家だが、どうやってGレコみる算段致しましょうか・・・。
※2022/06 標題の表記を統一、リンク切れを修正