【レビュー】『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 最終巻』

標準

遅ればせながらレビュー。
ようやく完結。

あの寂しい表情・・・本作は全ガンダムシリーズを通して、いちばんシャア・アズナブルというキャラクターの慟哭を描いた唯一の作品となった。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN (23) めぐりあい宇宙編』



『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック (3)』

/>

本放送を見たのが確か小学校低学年のころ。

当時はこんなリアルなロボットものはなくて、事実大して話題にもなっていなかった。

それでも途中からとはいえ、子供心に面白いと思って見続け、最終回はちゃんとリアルタイムでみてたのよな。

さすがに年月の流れはいかんともしがたく、傑作である劇場版3部作も、これまでの経緯を知らないまったくの新しい視聴者からすると、厳しい点が多々あり。

そういう意味でリメイクは、ある意味待ち望まれていたが、当時の作画監督であり、漫画家としても作劇の鍛錬をされてきた安彦氏による本作は、そのリメイクへ一本びしっと背骨を通した事になるだろう。

そしてその真の主役として描かれたのは、白いモビルスーツを駆る連邦のエースパイロットではなく・・・。

続きを読む

【レビュー】『ウルフガイ 11巻』

標準

おなじく書店にて発見。

『ウルフガイ 11 (ヤングチャンピオンコミックス』




前巻でようやく監禁されていた先生と再会、羽黒の用意したトラップ満載の廃墟からの脱出行がはじまるが、竜子に刺された傷からは血がしたたり、地雷原を抜けた犬神明は文字通りの満身創痍。失血のため、まともに歩くことすらおぼつかない。

しかし彼は「俺を信じてくれ」との言葉と共に、先生を繫ぎとめている鎖を文字通り引きちぎろうとする。

そんな二人の元へ、犬神に焦がれ、真の悪霊と化した羽黒が戻ってくる・・・。


続きを読む

【レビュー】『シドニアの騎士 6巻』

標準

本屋に行ったら出てました。
前巻の巻末では、かなり追い詰められていた感じの地球人側だが、巻頭にそのエピソードのクライマックスが来たせいか、意外とあっさり感が。

『シドニアの騎士(6) (アフタヌーンKC)』

ガウナ側コントロールによる小惑星ミサイルをなんとか阻止、紅天蛾・星白を、とどめまでは至らずも撃墜した谷風たち。しかし生還者は出撃者の10%・・・。エースのサマリさんもそのことでメンタル的に参ってしまう。そんな状況を打破すべく、復活した東亜重工へ十九式の量産指令が出る。しかしそんなシドニアに、レム恒星系へ向かった移民船を食い尽くしたガウナが―それはさらに人間側の戦術を学習し、高度化していた。サマリの代わりに、彼女の十九式で出撃する谷風だったが・・・。

続きを読む

【レビュー】『ディザインド 1巻』木葉功一

標準

発売時に購入済だったんだが、そのあとばたばたしてて取り上げてなかったので、この機会に。

『ィザインド(1) (シリウスコミックス)』




『キリコ』『クリオの男』『セツ』等の木葉氏の最新作。

今回の主役はフリーランスのビデオカメラマン。
高額な報酬と引き換えに、どんな実現不可能な状況でさえもそのカメラに収めるという「虎髪(とらがみ)明」が主人公。

『キリコ』の遊佐朗以来のタフガイ系の主人公で、『キリコ』を愛読されてた諸兄には来た来た感あるんじゃないだろうか(笑)。
続きを読む

【レビュー】『ベルセルク 36巻』三浦健太郎

標準

ある意味”海の上”が続いております。

『ベルセルク 36 (ジェッツコミックス)』




エルフヘルムまでの海路の途中で、立ち寄った小島でのエピソードが続く。

ガニシュカ大帝vsグリフィスの一戦で世界は変貌。異世界との境界線があいまいになったことで、島に祭られていた”海神”の実体化がより顕著に。

島の住民は”人魚とのハーフ”と自称し、村八分にされていた娘・イスマ以外はすべて海神の餌食に。

前巻で宿をウミウシの化け物囲まれたガッツ一行は、狂戦士の鎧の力でなんとか危地を脱するが、この先の航路の安全を考えると、”海神”との一戦は避けられない状態だった・・・。


続きを読む

まおゆう―心優しき世代のための新たな”神話”

標準

いまさらながらはまったw
気持ちよく泣かせてもらいました(照)。

『まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」』



wikiによると2009年9月から11月にかけて2ちゃんのスレッド上で発表されたweb小説らしい。
自分はこのまとめwikiでのまとめを、iPhoneのブラウザ(puffin)にて読んだ。

タイトルからもわかるように、ドラクエなどの日本型RPG的な設定・世界観を援用した作品であるが、その古典的なディティールから想像される物語とは、全く異なっている。

前述のようなRPGでなら最終局面に相当する、勇者と魔王の対決シーンから始まるのだが、それが表題にもなっている

「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」

の部分だ。

一見、そういったRPGにありがちなセリフで、通常ならここから最終決戦→魔王を倒して物語の終了、となるわけだが、この物語はちがう。

魔王と勇者、その二人が出会ったことから、物語が「始まる」のだ。

魔王の悪事を言い連ね、剣を構える勇者に、この戦いの裏で起きているであろう事実を数字を持って教え、その上で魔王は勇者に言う。


魔王「私は、まだ見たことがない物が見たいんだ」
勇者「……」

魔王「勇者になら、判るかも知れないと思ったんだよ」
勇者「何を、だよ」

(中略)

魔王「『あの丘の向こうに何があるんだろう?』って
 思ったことはないかい? 『この船の向かう先には
 何があるんだろう?』ってワクワクした覚えは?」

勇者「そりゃ……あるけど。わりと、沢山」

魔王「そうだろう? 勇者だものな!」
勇者「何でそんなに嬉しそうなんだよ」

魔王「だから、そう言う物が見たいんだ」


以降はぜひ実際に、まとめwikiを読んでみたり、web連載のコミックをみたりしてもらいたいが、ここでつかみは十分、そして思いもよらぬ、文字通りの”大河ドラマ”が繰り広げられていく。
(リンク貼っておいたファミ通のwebコミックなどは、最初に世界のイメージをつかむ意味で一話だけ読んでみるのもありだろう)

もう、つぎのドラクエこれでいいんじゃね?というぐらい(笑)。

ただこのweb小説がそれだけのものなら、これだけ大規模な書籍化やコミカライズ(都合3作品ぐらいコミックとして現在連載が立ち上げられている模様)がされるはずもなく。

なにが、違うのか―?
続きを読む