【レビュー】『まおゆう魔王勇者 4巻』浅見よう

標準

新刊ラッシュやのう・・・さ、サイフが・・・(泣)。

『まおゆう魔王勇者(4) (ファミ通クリアコミックス) 』




前巻より続く第二次極光島奪回作戦は女騎士と南氷将軍との一騎打ちで幕を引いた。人間界は束の間の平和を満喫するが、魔界の鳴動を収めるために魔王は魔界へ戻ることに。出発を前に、魔王は、勇者とその事後を託すメイド姉にあたらしい”武器”をみせる。また勇者はいまや結果的に人魔共存の交易都市となった開門都市で青年商人とある”依頼”をする。しかし魔王の魔界への帰還に歩をあわせたかのように中央では、紅の学士への異端審問の動きが始まろうとしていた。

本編に加え、女騎士の勇者への淡い思いを描いた書き下ろし(?)「ある日の女騎士」、ここまでの主要登場人物の「人物名鑑」を収録。

TVアニメ版も放映されているそうだが、TVがない我が家ではとーぜん見ていないw
ただ、そういう動きにあわせて本巻もリリースが若干早まったのだろうか。

web連載時ではなかったと記憶している「ある日の女騎士」と「人物名鑑」を入れることで、本編分のボリュームを抑え気味にしてリリースをあわせたように見える。

で、その本編だが、極光島奪還~魔王に対する異端審問をにおわせるところまでを収録。

今回は表紙に加え、巻頭の南氷将軍との一騎打ちにはじまり、最後の「ある日の女騎士」で〆といい、ある意味女騎士推しの巻ともいえるが、その裏で、このシリーズの核心ともいえる「経済」と「教育」に関する重要なセリフが出ている巻と、個人的には読んだ。

それは魔王が勇者とメイド姉に見せる”新しい武器”であり、勇者が青年商人だからこそ見つけられる、それを見つけて欲しい、と依頼する”あるもの”だ。



このあたりのものの見方―視点が、本シリーズの最大の魅力だろう。

正直巷に溢れる自称経済学者やらエコノミストやらに耳かっぽじって聞けといってやりたい(笑)。

もちろん、これはファンタジーではあるが、このセリフの持つ意味、そしてそこになにがしらかのポジティブな価値を見出すことは、けっしてファンタジーでも世迷いごとでもないと思う。

理屈や論理は大切なこと。

しかしそれにのっける「どういう景色がみたいのか?」という”気持ち”を忘れては、手段のために手段を研くということに淫しているに過ぎない。



おそらく本作の原作小説が多くの人をひきつけたのも、皆が無意識にそういうことをうすうす感じていた時期だったからではないのかな?




コミックとしては、おそらくイラストレータ出身であろうと思われる浅見氏は健闘していると思う。
(誤解されがちだがおなじ”絵を描く”ということでもイラストとマンガのそれでは全く文法が異なる)

画風からすると、もう少し書き込みがほしいのも事実だが、いろいろな周辺状況を想像するに精一杯をやっているのではないか。
(上をどこまでも求めると「ベルセルク」レベルにまでいかざるを得ないしw)

個人的には本作品の数あるバリエーションのなかでも、いちばん品のあるタッチだと思っているので、ぜひがんばって少しでも自分の納得いくように”深化”させていってほしいと思う。ただただ、それだけだ。









※2022/06 標題の表記を統一、リンク切れを修正

コメントを残す