【レビュー】『まおゆう魔王勇者(浅見版) 第3巻』

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web小説発のコミックシリーズ第3巻。
本コミック作とは別系統だがアニメ化も決定しているらしい。

『まおゆう魔王勇者(浅見版) 第3巻』




魔族に奪回された極光島を奪回すべく南部諸王国の遠征軍は海路を進むが、総指揮官の白夜王の軽率な指揮の前に窮地に陥る。前回の失地の責を感じていた冬寂王は王子への形見を盟友・鉄腕王に託し、魔族の武人・南氷将軍に一騎打ちの誘いをかけ、殿を引き受ける。
南部諸王国軍は無事に撤退するも、ただ一隻残った冬寂王の乗船にはやがて一筋の炎が上がった・・・。



えーと、そういや2巻の時はばたばたしてて紹介していなかったので今回あわせて。

『まおゆう魔王勇者(浅見版) 第2巻』




第一巻巻末にて、キーパーソンの一人である青年商人の登場―その青年商人と魔王との”羅針盤”を材料にした頭脳戦、冬の国の辺境で少しづつ始まった、魔王による農政改革―その一方で魔王の意を受けて、戦線の最前線である”開門都市”に暗躍する”黒騎士”こと勇者。

第2巻でそういった各キャラクターの展開があった上での本巻だが、今回のメインは父・冬寂王に当初反発しつつも、亡き父の後を追い、施政者たる汚濁の世界を引き受ける王子―若き冬寂王のエピソードが前半。

後半はその新・冬寂王の反転攻勢に招聘された、かつての勇者パーティの”姫将軍”―こと女騎士による、極光島奪回戦へ。

話が面白いのは原作で証明済みだし、前回取り上げたときにも述べたようにキャラクターデザインとしては、唯一大人向けであると思う本浅見版なんだが、惜しむらくは―少人数でやってらっしゃるのかなあ―どうしても作画の密度が追いついていない印象。

これはご本人の能力云々ではなくて、単純に時間とマンパワーのリソースが足りてないということだろうと思う。

web連載のコミックで隔週連載。

ましてやコミック専門誌のようなメジャー媒体でない(ファミ通とはついているが)ニッチなマーケット。

おそらく、人を十分手配できるだけの体制を確保できないんだろう。
他のバランスがすこぶる良いだけに非常にもったいない話である。

そのせいか隔週の連載も、ときどき休載もあったりするようだ。

本巻は、前述の前半と後半のパートの間に短くインターミッション的に魔王と勇者の再会―なかなか出色の”デレ”エピソードがあるのだが(苦笑)、たしかその前後も休載だったもんな。
(おそらくここは丁寧にやりたかったんだろう)

ニッチかつ類似作品が複数出ている状態で、本バージョン単独の売り上げとしては厳しいのかもしれないが、ここはできれば版元がてこ入れしてあげて欲しいもの。

前にも書いたが、個人的には本バージョンが一番原作のイメージに近いので、是非がんばって欲しい。










※2022/06 標題の表記を統一、リンク切れを修正

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