蝉丸Pのつれづれ仏教講座/蝉丸P

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ニコ動にて”僧職系男子”、”リア”(リアル住職)とのタグで一世を風靡した蝉丸Pの処女単行本。

蝉丸Pのつれづれ仏教講座 [単行本]


ニコニコ動画での仏教講座からの内容をはじめ、その博覧強記―いろんな意味で有り余る知識を詰め込んだ非常に濃厚な一冊。

そのゲーム、同人文化といったサブカル方面からの膨大な引用、という体裁をとりつつも読後それと相反するように基本的な仏教に関する知識がしっかり身につくという、不思議な功徳(笑)に満ち溢れている。

蝉丸Pの名前を強烈に意識したのは、やはりニコ同の動画―そのなかでも仏壇を携帯電話に例えた例の動画が、衝撃的にわかりやすかったことに始まる。

で、この動画のイメージのこともあり、楽しませてもらったものには応分のお返しをしたいな、ということもあって、発売当初に購入はしていたんだけれども―

いやこの本、マジですっごい密度なんですけど!?(滝汗)

定価1400円の本なんだけれども、ぶっちゃけ密度的にはその倍の値段ぐらいの内容が、文字通りぎっちり詰まってる。

あまりにも凄すぎて、買った当初チラ見してパタンと本をその場で閉じたのは秘密w

しかし決して読みにくい本かといえばそうではなく、特にマンガやゲームといったサブカルにある程度親しみがある世代にとっては、すばらしい入門書となるのではないか、と思える軽妙な語り口。

かといって、内容がちゃらんぽらんなわけではなく、むしろガチというか―ご本人様がいわゆる巷に溢れる”オレ様仏教”を嫌悪してらっしゃることからもわかるように―日々研鑽をつんでらっしゃるのが伺える内容。

個人的に昨年父の葬儀を喪主として出したこともあって、そういうところからも非常にタイムリーな一冊だった。
(ああ、あのときのあれはこういう意味があったんだななどと理解できた点多々あり)

逆に言うと本書を読んで、そういったことで世話になっているにもかかわらず、自分はなんと仏教に関することを巷に流布するイメージだけでとらえ、なにも知らないに等しかったんだなあ、と痛感。

これまで、個人的な知識として仏教というのは宗教というよりも哲学とかに近いのではないか、と思っていたのだが、まさにそれに対する答えも本書にはズバッと書いてあって非常にすっきりした、というか納得した。

そういう意味で文字通り非常に勉強になった一冊だった。

特に後半のインド哲学から仏教の誕生、各派の派生などの歴史的な経緯というのは全く知らなかっただけに読んでいて非常に新鮮だった。

そう、口絵?のプレートアーマーを身にまとう僧兵の写真に「ちょwwwどこの比叡山www」と吹いてるだけの一冊ではないのである。(苦笑)
(ちなみに御坊が修行されたのは高野=真言宗)

少し仏教について勉強してみたいな、と思う若い世代にとっては格好の入門書となるのではないだろうか。

いろんな意味で非常に素晴らしい一冊でした。

是非、末永く版が続くことを―。

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