魔法少女まどか☆マギカ・劇場版(前・後編)

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TVシリーズについて以前一度取り上げたが、それがあまりにも素晴らしかったので、少しでも製作スタッフへのフィードバックになれば、と思い行ってきた―木曜日@バルト9。

劇場版・魔法少女まどか☆マギカ
『前編・始まりの物語』『後編・永遠の物語』



話題作だけあって、事前にオンラインでチケット予約していったんだが、平日午前中の回にもかかわらず、かなりの席が埋まってしまっていた。

前・後編を連続でみたんだが、特に若干の時差で公開された後編のほうが混雑傾向顕著で、これから連続で見ようという方は先に後編の予約状況確認してからのほうがいいかもしれない。



実際の劇場もかなりの混雑。6~7割が若い男性だったが、女性客や年配の方の姿も意外なほどあった。

作品としてはTVシリーズの総集編、という形をとるが、単なる既存フィルムを使った総集編ということではなく、かなりの箇所で新規の描き起しがされており、かつ背景の美術や音響・BGMなど”裏方”にあたる部分もしっかりとボリュームアップされている。
(新規の部分は変身シーンや戦闘シーンといった、動くべくして動く箇所がパワーアップされていた模様)

もともと20分x12話のテレビシリーズを、前後編それぞれ2時間とっての映画化なので、シナリオ的にはほぼそのまま―なんだが細かい点で微妙な違いあり。

ただ、今回―というかこの作品の関連作品全てにいえると思うが―あらためて”シナリオ”と”演出力”の相関関係というものについて、いろいろ考えさせられた。

そう、本劇場版は前述のように基本TVシリーズのそれとほぼまったく同じ展開で進むのだが、このシナリオ構成というのはあくまで”TVシリーズ”にあってこそ、あの破壊力が十二分に発揮できるようになってるんだな、ということ。

つまり、これを一般公開作の劇場映画として考えると、やはりあのシナリオ構成のままというのは若干つらい。

その点を一番感じたのは、TVシリーズで発揮されていた、キャラクターごとの感情のバトンリレーが思ったほど働かなくなっているな、ということ。

特に前編のストーリー冒頭のあたりと、TVシリーズで大反響だった10話に相当する箇所の時系列的な置き方、というのは少し前後入れ替えるなりがあったほうが、感情的にはつながりやすかったのではないか。

ただ、これは自分がTVシリーズを前提として知っているから受けた印象であって、初見の方が本劇場版をみれば、また印象は異なるだろう。

もともとオリジナルがすこぶるよくできているシナリオなので、これ以上さわれなかったというのが本当のところかも知れない。

逆にいうと、もともとのTV用オリジナルシナリオが持っている力だけでも、2時間前後の尺をちゃんと保たせられるだけの、作品としての地力があるということだろう。

それに前編のラスト(TVシリーズ8話)など、一度観ているシーンであっても”映画としての見せ場”で見せられると、やはり違った盛り上がりがあるのも事実。

さらに声優陣がかなりの熱演で、キャラクターとしてのエネルギーを強烈に感じる素晴らしい出来で、前述のような些細な部分を最終的には吹き飛ばしていた。

自分は最近の声優さんというのは全く知らないし、むしろ昨今の声優礼賛的な文化というのにはある種の嫌悪感すら感じているのだが、これは素晴らしい仕事だったと思う。
(特に主演のまどか役の方が凄い)

TVシリーズだとすこし感情移入しづらかった杏子なんかも、この熱演のおかげでもの凄く魅力的に映った。


ということで、TVシリーズをご覧になった方全てが観るべき、と断言するところまではいかないが、この作品に愛着を感じている方なら、観て損はない内容にはなっていると思う。

※個人的には例のイヌカレー空間を大画面と抜群の音響で観れる、ということだけでも価値はあると思うが(笑)。


さて、そしてフィルム最後に来年公開となる第3作目の予告編が、この時点としては意外なほど多くのカット数で公開されていた。

・・・・・うーん、なんかまたほむらちゃんがしんどい目にあいそうな予感ばりばりなんですけど。

どういう作品になるのか知らないけど、できれば”救い”のみえる、そういう作品であってくれることを祈ります。










※あとあらためて感じたのは―特に前編のエンディングのCGなんかでも顕著だと思うんだけど―本作は徹頭徹尾”女性性”の物語なのよね。

ほんと見事なくらいまともな男はいないし、いても出る幕が用意されていない。

いまの世の中ももっと女性がイニシアチブとればいいのに、と個人的には思っているのでそのこと自体になんの異見もないのだが、その反面、女に苦労させてなんの男ぞ?という忸怩たる気分もあるにはあるので、そういう意味からではある種の不甲斐なさを感じなくもないです、ハイ。


しかし”時間軸を飛び越える”といい”女の子たちの集団”がイニシアチブを握ることといい、けっこうdeep以降の幻魔大戦と被る部分あるな(笑)。

”ムーンライト”=”お時”とほむらちゃんはある意味同じ立場か(笑)。

お時はベアトリス王女のために、ほむらちゃんはまどかのために時間を跳び、孤独な戦いを繰り返す。

そう、大切な人と交わした”その約束”を果たすために―。










※後日追記

劇場特典で本編のフィルムをもらえたんだが、スキャナで読めたので貼っておきます。
イヌカレー空間一部はいってるっぽい+しっかりと人物映ってるので「あたり」かね(笑)。

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