もうなにがなんやら・・・・・。
『シドニアの騎士(8) (アフタヌーンKC)』
先に分派してレム恒星系へ向かった移民船が全滅。船員会を粛清し、独裁体制となった小林艦長はレム恒星系を予想戦場とし、ガウナと決戦方針で事態を進めようとする。
十九式や衛人と連結する支援機、さらには新素材をつかった高コスト機など、限られた資源の中で新たな対抗手段も登場してくるが、そのしわ寄せから生じる軋轢はどうしても目立つ谷風へ。
岐神に憑依した落合、小林艦長、科戸瀬博士などそれぞれがそれぞれの思惑で動く中、そんなことは無縁のように谷風は外周壁にイザナと新居を構える。そこには谷風を慕い、配管を伝ってやってきたつむぎの姿もあった―。
そんななか、交代要員として参加したイザナを含む、レム恒星系への偵察隊がガウナと遭遇した・・・。
まず、若干絵柄とデザインに変化が。
これまでの濃い影を落とす感じのものから、細かい線で書き込まれたようなそれに若干変化している(描いてるほうも飽きてきたのかな?)。
それと関連しているのか、谷風の乗る新型の高コスト機の衛人も、これまで以上に複雑な感じのライン。イザナくんの10本指の義手といい、つむぎちゃんといい、なんかもうぐっちゃぐちゃ感満載(笑)。
話のほうも、物語の大きなベクトルは変わっていないんだけれど、シドニア側中枢部のメインキャラクターたちの思惑が、必要最低限の描写しかないこともあって、もうなにがなんやら(笑)。
まあかっちり筋を追う、というよりある意味雰囲気を楽しむ漫画でもあるので、細かいところは気にしないが、ややこしくなってきているのは事実ではある。
逆にそういったところと切り離した感じで、主人公・谷風周りは描写されており、寮を追い出された一行が外周壁に新居を構えるなど、ここだけは(完全ではないとはいえ)のんびりムード。
ちゃんとお約束のおにぎりも出てきました。
しかも(本体のほうでなく)触手のつむぎちゃんがなんかへーきでメインキャラになっとるし(苦笑)。
そのつむぎちゃんに抱かれて谷風が見た星白の夢は、この時点では単なるワンシーンにしか過ぎないと思うが、このあとの展開のなにかを、潜在的に内包しているかもなーとも思ったり。
要はこの漫画、フリークスショウ的な側面もあると思うのだね。
さらに言うのなら、そういったフリークスとの融合のような方向へと進んでいるように見える。
これは本巻の落合の描写に限らず、全体としてそういう傾向があるように思う。
(その証拠にイザナ君はずっと義肢・義足のままだし)
舞台となるのが恒星間距離の宇宙なので、なかなか機敏な展開とはならないとは思うが、そろそろ「偵察→潜んでいたガウナ出現→先遣隊ピンチ→谷風の活躍で解決」のパターンも読者には覚えられてきたころだし、物語の核心部を動かすなり、舞台が変わらんと少々きつくなってくるかもね。
いや、異形のものとのラブコメという視点では相変わらず面白くはあるのですが。