思っていた内容とは若干違っていたが面白い本でした。
意識せずに購入したが、『スカイ・クロラ』の森博嗣氏だったんだね。
著作はこれまで読んだことはなかったんだが、気になる名前ではあった。
要は自由とはなにか?という自由論の一冊だと思うんだが、本書にもあるように要は「自在であれること」ということだと思う。
好き放題、やり放題、というのは一見自由に見えるかもしれないがそうではない。
いかに自分の意志の通りに振舞えるか、そしてその自分の意志どおりに振舞うことを阻んでいるものはなにか?という、そのことに関する考察の一冊といって良いだろう。
熟読した、というほど読み込めていないので、詳述することは避けるが、肯定でも否定でもない「支配」の概念などは凄く参考になった。
日々、自分の生活の中に転がる種々の「支配」的なものから、どう自分を開放してやれるか、結果どれだけ自在にふるまえるか、ということだろう。
あとこの方が建築系の大学関係者で四十以降で作家デビューだというのは初めて知った、びっくり。
ただ読んでいて、もの凄く右脳の働きのよいタイプの方のような印象を受けた。
それでいてロジカルに文章を組み立てられる―いやだかからこそか、通常の意味でなく、数学的なイメージに近いロジカルさを感じたので―というのは素晴らしいと思う。
ここに一部書かれていたようなことは、自分も二十代の頃からずーっと考えていて「どうやったら自分自身でかけているリミッターの部分をむりせずはずせるのか?」というのはいまも課題。
それに関する質のよいヒントはもらえたような気がする。
そう、ここにも書かれているように、案外自分で自分に制限をかけていることって多いんだよね。
それをどうはずし”自在”を手に入れるか。
精神論だけでなく、仕組みや仕掛けをうまく使って良く必要もあるんだよな。