Amazonプライムにて。これも偶然見つけた一本だが、フィンチャー版でないオリジナルの『ドラゴンタトゥーの女』(『ミレニアム』シリーズ)の製作チームによる作品、2013年度デンマーク製作。本作が第一作のようだが、人気シリーズとなっているようで現時点で続編が数本作られている模様。
無謀な指示で捜査チームの同僚を殉職、重症に追いやってしまった主人公カールは、新設部署という名目で閑職である未解決事件を整理する部署へと配属される。同じく所内で持て余し気味の中東系の職員アサドが助手として配属されるが、暇を持て余したカールはは5年前の女性議員の失踪事件に関心を持つ。船から姿を消した彼女は本当に自殺だったのか。閑職である二人はその再調査を始めるのだが・・・。
『ミレニアム』シリーズはスウェーデンが舞台だが、こちらはデンマークが舞台。昨今の移民事情を反映したのか、閑職の殺人課の刑事を手伝う助手がアラブ系というのも異色ではある―が、この彼・アサドの穏やかな雰囲気がなかなかいい。彼のこの雰囲気が気性の激しいカールとのいい対比となっていて、そういったところからも実はオーソドックスなバディムービーともいえるのかも。
未解決事件の資料の中に埋もれていた5年前の女性議員失踪事件を追う彼らだが、徐々に事件の真相が明らかになっていく。で、この事件の真相の背後に横たわる人間関係やら、事件のギミックなどは冷静に見てみると「それちょっとムリがあるやろ(笑)」と感じる強引なところがなくもないのだが(苦笑)、丁寧な演出とサスペンスもの独特の被害者のタイムリミット的な緊迫感でそのあたりを感じさせないのはさすが。加えて舞台が北欧ということもあるのかあるいはお国柄なのか、ハリウッドで撮ったとしたら非常にバタバタした仕上がりになりそうな脚本なのに非常にしっとりとした仕上がり。それでいて最後はちゃんと犯人との対決もあるという、ハリウッド以外のカラーを持ったまっとうなエンタメ作品といえる。こりゃ続編作られるはずですわ。
そして繰り返しになるが、本作の特色の一つは中東系の助手・アサドの存在かな。彼の穏やかで暖かな感じがこの作品のイメージを決定しているように思える。その彼の入れるコーヒーが濃いと毎回文句を言うカールとのやり取りもいい。
続編に関しては、監督はずっと同じというわけではないようだが2014年、2017年と2本シリーズ作品が作られているようだ。チャンスがあればこれらも見てみたいところ。『ドラゴンタトゥーの女』といい、ちゃんと結果を出し続けている製作チームということなんだろう。
ということで本家の『ミレニアム』シリーズ、そろそろ観んといかんのか・・・ルーニー・マーラのリスベットちゃん(フィンチャー版)は可憐だが、ノオミ・パラスのリスベットちゃん、写真見る限りはいかついんや・・・。