【レビュー】『螺子とランタン』桂明日香

標準

今週の週アスでハニカム休載だったので桂明日香成分補給ということでw

『螺子とランタン (角川コミックス・エース)』




これがこの著者のデビュー作とはしらなんだ。
以前読んだそこはぼくらの問題ですから とキャラクターそれぞれの要素が(配置は異なるが)似ているのが面白い。

両作に通じていえるのは、それぞれの登場人物が小さな女侯爵と貧民街上がりの家庭教師だろうが変態天才プログラマーと自爆型・被ストーカー女子高生だろうが(苦笑)、自分の持っている社会的属性と自分の内面のギャップに悩まされているという点だろう。

もっといえば、ちゃんと子供をやれないまま年齢だけ大人になってしまった男どもを”考える”ことより”感じる”ことで躍動するヒロインたちが解きほどく話でもあると思う。

もっともっと簡単に言えばリュック・ベンソンの『レオン』型の物語の変形バリエーションといってもいいか。

で、この人の作品のいいところは、そういった歪さなりコンプレックスなりをもった主人公やヒロインたち対となるキャラクターを得ることで、最終的に双方が、そのコンプレックスや悩みからゆっくりとほどかれてゆく回復と成長の物語であるというところだろう。

ある意味物語の王道だと思う。

その点、現在連載中のハニカムは掲載媒体と連載形式の特殊性からちょっとこのスタイルからは外れていて、逆に物語としてどう着地させるのかが楽しみになってきた。
(一番違うのは主人公がこれまでの作品のように根本的な部分でコンプレックスを持っていないところだろう)

加えて可愛らしい絵柄のわりにきわどい描写をやってもあまり下品にならないというのは非常に貴重だと思う。
ある意味総エロ肯定という下品な世の中にあって天然記念物といってもいい。
(最新作の『神話ポンチ』あたりからするとこれは言い過ぎかw)
これはご本人女性というところも大きいか。

既刊の単行本はあと何冊か出ているようなので、そのうち経済的な余裕ができたら読んでみようと思う(泣)。
そのうちこの人の長編とかも読んでみたいような気がする。








※2022/06 標題の表記を統一、リンク切れを修正

コメントを残す