【レビュー】『ビリオネアガール 3巻』支倉凍砂 桂明日香

標準

意外に、というか予想通りにというか、早々と完結。

『ビリオネアガール(3) (アフタヌーンKC)』




題材として金融を扱ったラブコメ、という比較的あたらしいジャンルを作りえたかもしれない(しかし未達)、という点では少々残念。ただ作品としては物語をちゃんと収束させての形での終了なので、おさまるべき形でおさまったという印象。

原作・作画の両氏ともに、ある意味すごく良心的な仕事をされたと思う。


今巻ではそういった作品収束に向けてのエピソードとなっているので、これまでメインだった金融的な知識のウェイトがぐっと下がり、ある意味スタンダードな恋愛もの的な展開。
桂明日香氏の名前の乗っている作品で、こんなストレートな描写のエンディングがみられるというだけで貴重な作品だろう(笑)。
(これは原作に支倉氏という方がついていたから故だと思う)

経済・金融的なマンガというのはどうしてもその知識的な披露がウリの一つとなるので、こういった恋愛スタイルが絡むもの―それも桂氏のような愛くるしさが漏れ出ているような女の子の絵柄との掛け合わせは、いろいろ実験だったと思う。

結果的に本作はここで終わってしまうわけだが、これはおそらく周辺の状況的なもので、作品の向かっていた方向性や、それを構成する様々な要素の組み合わせとしては、非常に野心的で、決して失敗ではなかった。

その意味では、本作と同じ方向性をもつ作品群があれば、そこにはまだまだ未開の荒野が膨大に広がっていると言えるだろう。
本作はその嚆矢をつけた一本として十分に意味のあった作品だと思う。

いずれまた条件がそろう時があれば、この両者での組み合わせは見てみたい。

なにはともあれ無事完結お疲れさまでしたということで。







※2022/06 標題の表記を統一、リンク切れを修正

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