【レビュー】『ファイブスター物語 15巻』永野護

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これまで休載が代名詞のように言われることの多かったこの作品が、なんと!連載を止めることなく!?連続して単行本が出るというこの奇跡!(大袈裟杉)

今巻は前巻のような一本の大きな流れではなく、ヨーンとジークを中心とした「トラフィックス」と破裂の人形と黒騎士の因縁の対決「黒の招待状」の2セクションに分かれている。

ファイブスター物語 15 (ニュータイプ100%コミックス)
永野 護
KADOKAWA (2019-12-09)
売り上げランキング: 179

全体的に今巻はこれまでの伏線の整理、次巻以降の伏線の仕掛け・・・といった感じの一冊と言える。「トラフィックス」のほうはヨーンはあくまでも狂言回しでジークとその母親のリリ、そしてジーク出生の秘密とフィルモアの「カーテンの奥の奥」についてなど、ここまで設定集で匂わせまくっていたところをようやく畳んだ=回収した感あり。ジークの妹と思しき「三色の娘」ナリやどうもジークの中にいるであろうあの人やフィルモア絡みの伏線となるエピソードを出し切ってひとくぎりといったところか。その上で、ジークと兄弟のように育った「あの人」の異変の兆候など次への伏線も張っている。次への伏線といえば、コーラスのピアノの正体やらセブンソードのララファの影などもなにげにこのタイミングで振っておくというのも上手い。

かたや「黒の招待状」はマウザーが狂言回しとなってGTM寄りのエピソード・・・というかひょっとして単行本5巻のあのカットからの伏線回収とすると2、・・・27年ぶりの伏線回収?という破裂の人形と黒騎士の対決がこのエピソードのクライマックスだろう。そこに持っていかれた感はあるけども本題である初のエトラムル型GTMデモールの初陣やら星団三大GTMの同一戦場揃い踏みなどエポックな描写の多い巻ではある。あと破裂の人形はデザイン変わっていて個人的にはちょっとホッとした。やはりこの程度は面影残しておいてほしいところ・・・というか「静によって毎回モーフィング装甲の形状は最適化される」というのは永野センセも実はデザイン決めかねているところもあるのではないか?というのは意地悪な見方だろうか(笑)。
またこのエピソードでもそういったGTM関連のみならずヘリデ・サヤステ卿やらかつてパイドパイパーの騎士だったマエッセンの家系的なところにも言及あるがこれもまあ伏線張ったというか回収したというか(苦笑)。ほかにもダイヤモンドやマウザーとの絡み、マウザーも名前というか通称みりゃああ、そういうことかというバラシがありましたな。

そういうまあ色々と情報の整理整頓を行う感じの巻。で、何故か現在進行中の連載では単行本3巻以来─いやバスター砲ぶっ放すということでは単行本1巻以来のあのMH・・・じゃないGTMが全力戦闘行なってますが・・・(おかげでなぜあの騎体が主役のくせになかなか出てこないのかもようやくわかったわ)。

徐々に本筋・・・というかメインストーリーへの準備を積み重ねていってる感じちゅうことでしょうかね。しかしこれだけの情報量だしてもまだまだそこへはかなりの遠さという・・・気の長いこっちゃ。というかだからマジメに連載続けてるのかな、永野センセ(汗)。

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※2022/06 標題の表記を統一、リンク切れを修正

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