【レビュー】『ペルソナ5R(ロイヤル)』/ATLAS

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以前出ていたノーマル版のときから気にはなっていたが、当時から完全版が出るのでは?と言われていたのでそれを待って今回初プレイ。前作4がペルソナ初体験だったが(コレも考えれば完全版というべきGOLDEN)このシリーズ独特の生活感というか没入感はそのままに、システム的にはよりブラッシュアップされて洗練されており、正当な進化を感じさせる。

反面、このシリーズでは重要な周りの友人キャラクターたちの性格付けがかなり踏み込んでいる、というか良くも悪くも前作よりアクが強い感じになっていて、ここは賛否はわかれるかも。ただ個人的にはこのアクの強さがある種のリアリティにつながっているとも感じたので、前作4の「王道」な感じとは違ったある種のピカレスク・ロマン的な作風と解釈すれば納得できる。

しかしこのシリーズ、最大の問題点でもありウリでもあるのはそのプレイ時間の長さよなあ(苦笑)。最低でも100時間ほどは確実に持っていかれるので始めるのにけっこう覚悟がいる。いえ今回はなにげにブツが来てからポロッと「あ、はじめちゃった・・・」という感じで始めてしまったわけですが(汗)。

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前述のような作品としてのカラーの違いはあれど、基本的にはペルソナシリーズ・・・というか前作を踏襲しているゲームシステム。ただし初っ端から主人公捕まってしまい、取調室でマリーダさん・・・じゃなかった女検事さんに机バンバンで取調べされるとは思っていませんでしたが。(声優がマリーダさん役甲斐田裕子さんだった)

そういう突端のシーンからも少し暴力的な描写のレーティングは上がっている印象。加えて今回の物語の中心となる「認知訶学」といわゆる「改心」のロジックはけっこう倫理的な危うさをはらんでいて、媒体によってはかなり叩かれたかもしれない。また登場人物のアクの強さという点では仲間や味方になる側の人間にそれをけっこう感じることが多く、加えてこっちがおっさんということもあってか「さすがにそれは素直にうなづけんなあ」というところがけっこうあったのも事実だ(特に序盤の竜司の短絡さ加減や三島の自己肯定感の欠落と表裏一体ともいえるあの独善感は正直きつかった)。

ただそれが作り物的な「物語」ではないある種のリアリズム(なまぐささ)を感じさせたのも事実で、これはこれで評価すべき側面だと思う。

そういったところを抜きにすると、ダンジョンの探索や戦闘、おなじみベルベットルームでの悪魔合体やイベントなども非常に良くできている。全体的にそういう操作系や選択肢に関してのバランスは非常によくチューニングされており、あまりストレスを感じることなくサクサクとプレイできた。

個人的には今回主人公のねぐらとなる「喫茶ルブラン」まわりが素敵でなあ(惚)、暇があればコーヒー淹れてカレー作ってクロスワードパズルばかりやってましたよ、ええ(笑)。また今回は舞台となるのが都内ということもあっって、移動する場所する場所が普段行くところばかりでめっちゃ楽しかった(主人公の拠点は四軒茶屋=三茶)。思わずプレイしている期間中に吉祥寺行ったときには「あれ、ここらへんにベルベットルームがあるはず・・・?」とか探しちゃいましたよ(笑)。

そして全体的なストーリーもこのシリーズらしく最後はうまくもりあげてラスボスとの戦いまで持っていくのだが、今回は前述のように現実の東京とリンクしている(=最終決戦は渋谷)なのでいわゆるセカイ系的な要素も見て取れる。ただイージーモードでやってもラスボスの連続具合はおっさんにはちょっと長丁場過ぎてすこししんどかった(苦笑)。

で、このロイヤル=完全版で追加要素となる年明け以降(3学期)の部分も既存作プレイ済みの層からはあまり評判が良くなかったというのはなんとなく分かった。基本悪くはないのだが、取れる選択肢が少なすぎるというかな、もう少しこの仲間たちと普通の生活を自由に送ってみたかったという声が多かったようだが自分もこの点同意する。

これ、実は追加キャラクターである芳澤かすみにも言えて、彼女も戦闘に参加できるキャラクターであるにも関わらず(シナリオの都合上)あまりガッツリと共闘できないのが非常に残念だった。というかリアルさを感じつつ心情的にはあまり思い入れのできないキャラが多い本作で唯一わかりやすかったのが彼女だったので、そこはもう少し一緒に遊ばせてほしかったというかな~(この「分かりやすさ」というのは創作的にはある種の退化なのかもしれないというのは承知しつつ)。ということで今回はどちらかと言うとそういったレギュラーの仲間より一歩外にいるキャラクターのほうが親近感あったかな(芳澤、明智、丸喜など=結果的にこれらのキャラとの親密度上げておいたのでさくっと3学期への分岐条件満たしてたっぽいので、このあたりは制作陣の術中にどっぷりハマっているのかもしれないが)。

そうそう、実はこのシリーズのこういったキャラクター造形に関してひとつ特筆しておくべき点は声優さんの存在の大きさかな。自分は普段オンボイスのゲームはほとんど音声切ってやるか英語音声にしてしまうこと多いんだけども、このシリーズはゲームの性格上それができないのでフツーにプレイしたんだが、この声優さんたちの演技の部分が(前述のアクの強さも含めて)このシリーズ独特の「キャラクターの存在感の強さ」につながっているのは間違いないと思う。そういう意味では全キャラ演技が素晴らしかったといえると思うんだが、一人だけ特筆しておくと前作でいうところの菜々子ポジションに近い佐倉双葉役の悠木碧さんはすごかったと思う。躁鬱というかヲタキャラと心の弱い傷ついたか弱い存在のコントラストが見事だった(まどマギのまどか役といい、親子関係に絡む演技だと非常にずば抜けているケースが多いような気がするのは自分の気のせいか?)。
あと途中までかすみちゃんが「かじゅまさ~ん!?」といつ言い出すのかヒヤヒヤしていたのは秘密だw(アクア様と同じ雨宮さんだったので)

とまあそういうことでなんだかんだでラストまで堪能させてもらった。で、このシリーズずるいのはエンディングが本当に「お別れ」感があるのね、一緒に生活してきたから故にというか。そしてそういうエンディング見せといてから「さあ!あの怪盗団のその後が続編で!」とかやりおるわけですよ!?(苦笑)。



いまのところまだ我慢してポチってはいない。とりあえずスミレちゃんが出るか出ないかで買うかどうかは決める(笑)。



追伸:「世紀末覇者先輩」(苦笑)はツボでした。





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