『いつかそのアレをキメるタイム』/シベリア少女鉄道 Vol.30

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寒波到来!都内も積雪!と散々脅された先週末「これは文字通りシベリア送りか!?」と戦々恐々としながら観にいってきましたシベ少。さいわい寒波はシベリア送りほどではなかったが(笑)。

今回はおそらくドラマの下町ロケット?的なものをベースにしているので、普段地上波のドラマほとんど見ない自分には打撃力やや低めな部分もあったが、それでも例によって時空間の歪むあの独特の空気感は健在―いや、今回はそこ自体がタイトルになってるそのアレなのでアレがソレで(以下略)―。




会場は恒例の「赤坂RedTheater」、最近は予約の時点でweb上で座席指定できること増えてきているので楽ですな。

舞台美術は今回はあまり凝った仕掛けはなく、左・右・中央と3分割されていて(が当然仕切りのようなものはない)、それぞれ下町の工場、クライアントの役員室、中央に工場の社長室。で、例によってそこらへんが縦横無尽に越境する(苦笑)。

その下町の工場で社運を賭けた新製品の「アレ」を全社をあげて開発しているわけだが、そこへいろいろと襲い掛かるトラブル。入り込む人間関係、頓挫する新製品開発。しかし「それでもお前らと仕事がしたいんだぁ!?」と熱く叫ぶ社長。

と、書くには書いたけど、ここの舞台はほんと説明するのがむつかしい。上で間違ってないんだけど明らかに内容と違う(笑)。

今回のポイントは何といってもタイトルになっているのが「アレ」(代名詞)ということですね、それを「キメる」―そこから察してくれ、いやほんとにキマってる描写もあったが(泣)。
あとこの劇団のうまいところはテロップというか文字情報の使い方のうまさ。「新章突入!!」てなんだよw

そんなこんなで二転三転どころか四転ぐらいする舞台だったわけですが、不可抗力と承知しつつ、ひとつだけ気がついた点を備忘録的に。

ここの劇団のすごいところは舞台の前半の正統派の舞台進行でみっちみちにネタを仕込みに仕込んだうえで、それを前提に後半~クライマックスで崩していくカタルシス。しかし今回は上に書いたようにタイトルが代名詞であるからか、その仕込みの部分がふわっとしちゃうんですね(その「ふわっと」の部分があるからこそ今回の楽しさがあるのでトレードオフだとは思うんだけども)。なので若干クライマックスのカオスさにおける落差がすこしおとなしく感じちゃったかも―ただこれは不可抗力だし、それを上回る勢いというか熱量が役者さんから発せられているのはいつものことなんですが(笑)。なので「そういう趣向」と理解するべき部分なのかもしれない、ここは。

しかし毎回シベ少の舞台を見ていて気持ちいのは、その発想の自由さ。ほんとどういう頭してたらこれだけ「自由な」脚本を考えられるのか―毎回オチというかクライマックスを見せられるたびに大笑いしつつもそこにはほんと脱帽するしかない。

少し頭が硬めのきらいのある自分にとっては、そういった硬さからすこしでも解き放ってくれるカンフル剤として毎回ほんといい刺激になってる。
チケット取れたらまた次回公演もぜひ観にいきたい!

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