最近読書もあまり気分転換になりませぬ。
それでもいくつか読見終えたのでまとめてご紹介。
1冊を除いて色気のない本ばかりそろってますな(泣)。
まだ科学で解けない13の謎
だいぶ前に読了済みの一冊。
原著は洋書。ちゃんとした科学ライターが取材して書いた良書。
こういうのを読むとやはり最先端の科学研究というものには英語の読み書きというのが必須と感じる。
13の謎とは
1.暗黒物質・暗黒エネルギー(いわゆるダークマター)
2・パイオニア変則事象(パイオニア探査機の軌道のズレと物理法則の矛盾)
3.物理定数の不定(定数はほんとうに”定”数なのか)
4・常温核融合
5・生命とは何か(なにをもって”生命”と定義するのか)
6.火星の生命探査(1976年のバイキング計画で”なかったこと”にされた生命の痕跡)
7・”ワォ!”信号(ET存在の可能性)
8.巨大ウィルス
9.死(生物が死ななければならない理由が実は科学では説明できない)
10.セックス(有性生殖の理由が科学では説明できない)
11.自由意志(そんなものは存在しないという科学的証拠が多々ある)
12.プラシーボ効果(意外なほど偽薬の効果というのは高い)
13.ホメオパシー(明らかに科学的整合性はないのになぜこれだけ受け入れられているのか)
文章としてもそれぞれの章と章のつなぎがなかなか工夫されているし、なにより各章のそれぞれの話題が刺激的だ。
科学で”わかった”ことは多々あるが、”わからないこと”もまたわかったことが多々ある故に尽きない、っちゅーとこか。
こういう本は読んでて刺激的でほんとうに楽しい。
就職しない生き方 ネットで「好き」を仕事にする10人の方法
これも少し前に読了していた一冊。
”しない”ではなく”できない”時のための参考になるかと思い。(苦笑)
結論=”参考にはならない”(笑)。
というか、やはりこういった自主独立というのはなんらかの運命の流れでそうなる人以外は、”天分”の部分が大きいと感じる。
その”天分”とはなにかというと「なにか社会的に評価されるレベルの耽溺できるものがあること」だとおもう。
要は自分の根本的な部分の”素直な欲望”が社会と噛み合っているといえばよいか。
最近そういう”素直な欲望”(井上雄彦のいうところの”戦うもののエゴ”と近いか)というのがもの凄く大切だと実感しているが、改めてそこに重要性を見出すことの正しさを裏づけしてもらったような感じ。
そういう”欲望”や”エゴ”をうまく社会と折り合いをつけながら持ち続けることの大切さはこれから実はますます重要になってくると思う。
牙は抜かれてからは生えてこない。
< 他人力>を使えない上司はいらない! (PHP新書)
これも少し前に読了。
刺激的なタイトルだが、一番の要旨は素直に「他人力」を使える=いい意味で他人に助けを求められる姿勢やそれができる環境の重要性を説いた一冊。
組織におけるストレス論といってもいい。
現代社会において避けられない”ストレスという名の雨”をどうしのぐか。
そこに他人力という傘は大きな力を発揮する。
「安心して働ける」ということの我々の思っている以上の重要性や、社風や組織文化というものが持つ影響の大きさ―効率や結果偏重気味にブレやすい最近の世の中の傾向からすると一見古臭くみえるこれらの要素が持つ意味をあらためて論じなおしている。
ここに書かれていることを軽視する経営者やマネージャクラスの人間は多いと思うが、実はそういう人間はほんとうの意味での”効率の良さ”ということがわかってない。
要領のよい”だけ”の人間には人はついてこない。
人は結果や報酬ではなく最終的には”感情”で動く―そこをわかってない、わかっていても実現しようとしない管理者は所詮”二流”―そう切って捨ててかまわないと思う。
ちなみに筆者は久米宏が司会をしていたころのニュースステーションの気象予報士の河合薫さん。
ある程度の年齢の方なら「ああ、あのお姉さんか」とご記憶あると思う。
もともとJALのCAだったというし、ほんと才媛な方。
知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語 (幻冬舎文庫)
同著者の二冊。両方とも5年以上前の本だが「黄金の羽根~」のほうは当時けっこうベストセラーになったらしい。
自分的には最近読んで感銘を受けたエンゼルバンクの一部元ネタになっている部分が多いらしいというのを聞いて読んでみた。
こういう金融 How to ものというか、いわゆる”儲けましょう”的なマネー読本と一見みえなくもないタイトルだが、この人の本は本質的になんか違うな。
まずなによりはしゃいでない―ある種の知的な沈降、というか物静かな暗さがある。
小説家としても活躍してらっしゃるとのことなのでそういう文学的な”感覚(センス)”というのもあるかもしれない。
加えて内容がある種まっとうな社会観・人生観を持つ人からは文字面だけを追うと眉をひそめられかねない内容。
(なんせこの方の小説デビュー作のタイトルが『マネーロンダリング』だそうな:笑)
けどなぜかあまり読んでていやな感じがしなかったのは、表向きテーマにしているお金や税金ということの先に
「ほんとうに”自由”に生きていくにはどうすればいいのだろう?」
という誠実な問いがあるからではないか。
逆いうと、その誠実な思考のプロセスを「社会常識」や「良識」といったものの前で思考停止させることなく、「社会」や「国家」というもののもつ”本質的な意味”まで考えた上で論を展開しているからだろう。
だからある意味読み口は非常にクールでドライだ。
ただ出版年から少し時間がたっており税制の変化などで細かなディティールの部分では変わっている部分もある。
しかし根本的な思考方法、というかモノゴトの捉え方というのは―諸手を挙げて賛成できるわけではないが―すごく勉強になった。
少なくともこれぐらいのしたたかさがなければ”経済的な独立”というのは程遠いというのは痛感した。