【レビュー】PERSONA4 The GOLDEN/ATLUS(PSVita版)

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プレイ済みの友人含めとにかくすすめられることが多く、ずっと気になっていた一本ではあった。ただしオリジナル版は10年ほど前+PS2での作品。加えてリニューアル版である『~GOLDEN』はPS Vitaのみでのリリースということでハードルが高かった。

しかし以前書いたようにVitaが手元にあったこと+ちらりとAmazonPrimeでみたアニメ版第一話をみて「あ、これはイケるかも!?」とフラグが立ち、この夏いっぱいかけて遊んでおりました。

結果、女神転生シリーズの系譜をちゃんと感じさせつつも、カジュアルかつ没入感の高いシステム+シナリオで、大傑作との評価も伊達ではないと強く感じさせる一本だった。遅ればせながらもやっておいて大正解!

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ストーリーとしては家庭の事情で一年だけ都会から田舎の叔父の家に居候する主人公が、そこで知り合った仲間たちと霧とともに発生する連続殺人事件の謎を追う、といった体裁。またシステムもざっくりいうと1年365日を午前・午後・夜と決められた枠の中で選択していく+ダンジョン内でのターンバトル・・・ということで、実はそんなにエポックメイキングなシナリオでもゲームシステムでもない―むしろ古典的すぎるぐらいある種の典型的な使い古された内容ともいえる。

しかしそんなシステム周りを一切感じさせないほど細かなUIデザインやハイセンスなBGM、ほどよいバランスのイベントの発生と難易度、そしてなによりもずば抜けてセンスのいいキャラクターたちの人物造形・ファッション周りのチューニングがほんとに素晴らしく、それによって突出した世界観を堪能できる一本になっている。
(ちなみに「Backside of TV」という曲が素晴らしすぎてiTunesで一部サントラも買いましたw)

要は上記のようにゲーム自体の発想はおそらく国内のどの制作チームでも持ち得る内容かと思うが、それを唯一無二の世界観にまで昇華させているのは、やはりこのトータルでのデザインセンス、そのひとことに尽きると思う。
(だって田舎町―それもいわゆるAE〇N的なスーパー「ジュネス」があるような街が舞台なのに、一向にそういう貧相な感じを受けないんすよ!?)

特に主人公たちの仲間になるキャラクターたちがそれぞれ秀逸で、作品のテーマでもある「もう一人の自分と向き合う」エピソードごとに仲間になっていくので、非常に親近感が強くわく。これはたくさんの人たちがこの世界観にはまっていくのもわかるわ、基本いいヤツ、友だちになりたいようなキャラクターばっかりなんだもの。

そういった人間関係を楽しむのも―というかこちらがメインかもw―このゲームの大きな魅力といってもいいかもしれない。このあたり当初は「毎日でスケジュール進行するの!?」とちょっと引きかけたゲームシステムがかえってうまく働いていると思う。
(正直いちばん集中してやってた時期はリアルの日付の感覚とごっちゃになる感じもあった:苦笑)

で、当然この手のゲームでは出てくる魅力的な女性キャラとのおつきあいイベントなどもあるんですが、自分は選んでたら自然と未来の旅館の若女将の人になってました(笑)。けど最近まとめ系のサイトでキャラ人気投票みると最下位とかどういうことだ!?天然ボケでかわいいやろ!雪子ちゃん!?(・・・)

そういうことを含めキャラクター描写が秀逸で、没入感すごかったのでラスト近くの最後の大物との戦闘直前の怒涛のイベントの流れはけっこう正しいルート選ぶのがむつかしかった(初回ではラスボスは結局わからずバッドエンド→攻略サイト見ましたもの)、というかあのけなげな菜々子ちゃんをあんな目に合わせるとは許さん!?
(同じような道を通った方多いらしくてwikiみると「ナナコン」という単語あって大爆笑w)

今回自分がプレイしたVita版(GOLDEN)はオリジナルより一部要素が追加されていて、ベルベッドルームというところで遭遇するキャラが一人増えているほか、いろいろ追加要素ある模様。(この追加キャラであるマリー絡みのイベントをクリアでトゥルーエンドらしい)顕著なのは1月以降=3学期の内容が付け足されていることらしい。

結局自分はこのトゥルーエンドはまだクリアしていないのだが、いずれ時間が取れたらもう一周周回してみたいところ―普通ゲーム終えた直後というのは(自分がおっさんになったこともあって)「もう一周したい!」と思うことはほとんどないんだが、このゲームに関してはそれを強く感じた。ただそうするとたぶんまたラストの別れのシーンがつらくなるだろうなあとも(苦笑)。

本作は大人気シリーズだったということもあり、この本編以外にいくつか番外編的な作品もリリースされているようである。格ゲーとダンスゲーらしいので、ここら辺もいずれやってみたいところではある。




で、ここまではフツーのなんの特徴もない単なるゲームレビューなんだが、ひとつ自分的にすごく気になる点が一点。


これって、かの『ボヘミアンガラスストリート』(平井和正作品)とものすごく共通点を感じるのよね。(※ちなみにパクリ云々と言いたいのではなく、この素敵なシンクロニシティのほうがすごく気になっている)

『ボヘミアン~』がかの名作『気まぐれオレンジロード』にインスパイアされた部分もあるそうだから一概にはいえないのだが、
・主人公が引っ越ししてきたことで物語が始まる
・ある特殊な現象をきっかけに能力が発現する
・主人公を中心に集まってくる仲間たち
・(周回ということを考えるならば)繰り返しているかもしれない・あったかもしれない世界線(世界の分岐)
・実は悪魔や禍津神に近い存在の主人公(ただしストーリー上は大きく絡んでこない?)

まあこのあたりはある種の物語の類型といえるので、これだけじゃなんのこっちゃではある、が―
本作でも『ボヘミアン~』でも重要なキーパーソンでもある妹の名前が


「ナナコ」(菜々子・ななこ)なんだよね


『ボヘミアン~』はしばらく読みかえしてないこともあり、ストーリーうろ覚えなので自分の思い込みの可能性もあるが、ちょっと読み直せたらこのあたり比較記事を書いてみたいところ。


ちなみにこの『ペルソナ4』初出は2008年、『ボヘミアン~』は1995年である。

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