【レビュー】『Detroit: Become Human』ソニー・インタラクティブエンタテインメント(PS4)

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だんだんブログ書くモチベーション下がってきてるんだが、気を取り直して書いてみる(泣)。
この夏は暑すぎて外に出づらいこともあってかなんだかんだで積みゲーの消化はかどった感じだったので、ここから数記事それっぽいものを書いてみる予定。

本作もその一本で、PS Storeのセールで4000円ほどだったので買ってたやつをその暑かった時期にちまちまとプレイ。
結果、初回プレイではオールバッドエンドという「それどやねん!?」という感じで、あえていまだやり直してないんだが、そのレベルでもわかるポイントをいくつか。

【PS4】Detroit: Become Human
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内容としてはアンドロイドが人間の生活になくてはならない存在として溶け込んでいる近未来、そのアンドロイドたちが自我を持ち、彼ら自身の権利を主張し始めるとどうなるか?というある意味使い古されたネタがテーマの作品なのだが、本作は「立場の異なる3人(3体)のアンドロイドたちそれぞれの視点」という点と、PS4ならではのフォトリアリスティックな―まるで映画を見ているかのような―写実的なグラフィックで、その陳腐さを感じさせないことに成功している。

このゲームでの最大のポイントの一つはこの「映画を見ているかのような」の部分だろう。プレイヤーとして体験できる映画、とでもいおうか。それもそのはずで、主要登場人物たちのグラフィックは実際の俳優さんたちから起こされているようだし、事実著名な俳優さんのそれも登場していた(『ALIENS』のビショップを演じたランス・ヘリクセン氏が老画家として登場している―奇しくも氏は『ALIENS』ではバリバリのアンドロイド役だが)。

またそういった映画的なグラフィックによる没入感を妨げないようなインターフェイス(UI)の設計も工夫されていたように思う(迷わない+違和感の少ないようなエリアの限定、ゲームの進行を自然に感じられるようなマーカーの設定、臨場感と緊迫感を得られるように考えられた追跡や格闘時のボタン入力など)。
(※ただ欧米発のゲームなので例の「〇Ⅹボタンの意味が逆」問題には苦しめられたが)

そういう意味で非常によく考えられ、丁寧に作られた一本化と思うし、事実ハイクオリティな一本だったと思う。

しかし自分的には「うーん、結局そういうところへ持っていきたいのか~」という感じがして若干冷めてしまう原因となったのが、そのストーリーの根底に横たわる道徳観というか倫理観というか。

これ、シナリオというかストーリー自体は非常によく練られてるんですよ、エンタメとしてのストーリーの持って生き方も、物語としての没入感も緊迫感もすごく考えられた質の高い脚本になっていると思う。

ただ、3本のストーリーラインの主人公たちそれぞれが選ぶ選択肢―特にストーリーの重要な分岐にかかわるような大きな選択肢―にすご~く製作者側の思想とか宗教観の押し付けを自分などは感じた。

特になんというかなあ・・・戦って(殺して)でも主張しなければ権利は得られない的というか、無抵抗主義は何も生まない的な感じというか。
(こういうところから北米製のゲームらしいなあと思ったらこれSonyのヨーロッパスタジオ製なのな・・・意外)

ゲームはアンドロイド側の視点でしかプレイできない=プレイ上、対峙しなければいけないのは人間のキャラばかりということになるので、自分などはなるべく殺さないように殺さないように進めていたんだが、そうすると前述のとおり3者3人ともバッドエンドですよ(苦笑)。おまけに一番不器用でポンコツ気味のロボ刑事なんぞ仲良くなりかけてた飲んだくれの刑事に殺される始末w

この手の作品で問いかけられる「どこからが人間でどこからが機械(ロボット)なのか」「機械に魂は宿るのか」というのは定番のテーマなんですが、ああこのあたり日本と徹底的に違うなあと思ったのは「外見と挙動が人間に近づけば近づくほどより魂を持った存在に近づき得る」という考えが無批判にゴロンと存在してるんじゃないかと、製作者側に。だからこそ逆にこういうフォトリアリスティックな外見を持つゲームアプローチになったのだとすると、それがかえって日本人的な(とざっくりくくっていいのかは置いといて)「魂」観からは化けの皮はがれたな、的な感じを受けるのかもしれない。

たぶん日本人はそういう「よりリアルな」ところに魂の所在を感じはしても、それが魂の「根拠」だとは感じないと思うんですよ。

岩にあっては岩に、花にあっては花に魂を見る。

このソフトアニミズムが日本の文化だとすると、その外見自体はあまり関係ないし、外見をなぞろうとすればするほどその本質は乖離していく、と感じるんじゃないかな。このあたりはここから先数十年ぐらいのAIやシンギュラリティの現れ方においてすごく重要な視点になってくると思う。

まあ日本人は一人ボロボロになって傷つきながらも星の空を数億キロも旅して、最後に自分の生まれた星をその目に写し、燃え尽きていった四角い人工衛星のほうに「魂」を感じると思うのですわ。

そんなこんなことをいろいろと考える材料としては面白いゲームでした(笑)。

こうは書いたが、このゲーム決して悪いゲームではないし、バッドエンド連発された逆恨みでこんな風に考えたフシも否定できなくはないので(苦笑)、やれるチャンスがある人はプレイしてみると面白いと思う。欧米の写実的なゲームトレンドがよくわかる一本だし、日本的なゲームの進化とは別の方向のそれがどういうものか?というのがよくわかる一作だ。



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