『今、僕たちに出来る事。あと、出来ない事。from 2001 to 2018。』/シベリア少女鉄道

標準

月初の連休中に観た舞台を備忘録的に。

ご存知シベ少の舞台だが、本作は劇団初期のころの作品の再上演作品とのこと。最近見た数作品に比べると時空のねじれ具合はわりと穏やかで(苦笑)、どちらかというとそのスケール感に息をのむウルトラスペースハイパーSF超大作(笑)だったw




当然、初演のころのものは見ていないのでどの程度手が入っているのかはわからないが、かなり変更は加えられている模様。

ストーリーとしてはかつて映研で映画を志し挫折した青年教師が、教え子の過剰に頑張る女子の姿を見てかつての熱を取り戻していく。ひかれあう二人だが立場を気にする周りからの邪魔が入る。そんな二人は素材として必要な満月の撮影するために次の満月に会う約束をする。しかしそのころ地球には巨大な隕石が迫っていた・・・。

てな感じなんですがぜーんぜんこれあらすじ紹介になってるようでなってないのよな(笑)。それぐらいそのあと紆余曲折がある、というか舞台演劇で月吹っ飛ばすの初めて見たわw
で、冒頭にSF超大作と書いたが、その点あながち間違ってなくって、タイムトラベルありクローンあり、レーザー光線ありと盛りだくさん。とはいえ当然シベ少なので字義通りなわけはなく、ただしそれでもストーリーはちゃんと通る力技w

とにかくここが毎回うまいと思うのは、その演劇空間ならでは成立する違う時空間を同一舞台の上にぽん、と乗せてしまえる演出力。本作でもシーンのつなぎに一枚の窓枠のセットの表裏を使って、違うシーンをつなぐところがある。これなどは比較的オーソドックスではあると思うんだが、リニア的な思考ではこういう発想は出て来得ない。その延長線にあるのがぬいぐるみによる登場人物の代役だったり吹き戻しの笛によるレーザー光線だったり(笑)。ただこのあたりが成立するのもこれまで見た回と同じく、前半できっちりと重めのオーソドックスなドラマ展開により世界観を作り上げてからクライマックスで崩しに入るから成立するのであって、ちょっと適切なたとえではないかもしれないが、音楽でいうところのコミックバンドは実は音楽的実力がしっかりしてないとできないということに通づるところがあるのかもしれない。

そしてここの舞台のレビューを書くときいつも困るのが、あの独特の空間と、それから生じる面白さというのは言葉や映像ではおそらくあまり伝わらないだろうなあ、というジレンマw
いやほんと、観れる機会がある人はぜひ見ておいて損のない劇団だと思う。

これだけデジタル技術全盛で、どんなエンタメメディアでもコピーによる被害を免れ得ない時代に、これだけ”生”の強みを発揮できるメディアというのはなかなかないと思う。そういう生の舞台ならではの強さを毎回感じさせてくれる素晴らしい劇団だと思う。

そういったこれから先のメディアの在り方や表現方法ということに関心がある人にも是非お勧めする。機会があればぜひ!

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