たしか佐々木俊尚氏のtwitterのタイムライン上で、どなたかがリツイートしていて、気になったので読んでみた一冊。
自分は”恋愛モノ”が嫌いなんじゃなくて”恋愛ゲームモノ”がダメだったんだな、と再認識w
これはまっとうな”恋愛モノ”でした。
久々にシンプルな”小説”を読ませてもらった感じ。良作。
ただ人によっては、主人公の青年の大阪弁に嫌悪感を感じるかもしれない。
しかし本作では、それはヘンに狙った人物造形のためではなく、ある種不器用な主人公たちが、二人の間の溝を突破していくため必要な要素として設定されているので、読み進めていけばいくほど違和感はなくなる。
※いちおうネイティブランゲージが関西弁の自分としても違和感のないものでした。
ここにあるような二人の関係というのはなかなか昨今は難しいかもしれない。
奇しくも本ブログでたびたび取り上げてるウルフガイシリーズの登場人物・小沼竜子が「理由なんてないわ、どうしようもなく身体が熱くなるのよ!」とのたもうておりましたが(苦笑)、こういう危うい綱渡りを続けてまで執着するというのは、現実では、いまの若い子らには「キモイ」のひとことで片付けられるんじゃないかなあ。
(ここまで関係性を持ち続けようとするのは、ものすごくエネルギーが要るし)
ただそれも恋愛ってものの本質のひとつではあるわね。
もちろん本作は現実でなく”小説”、かつ、両者の葛藤が自然に描かれていて、その誠実さに心を打たれるわけですが。(苦笑)
いい意味で”軽い”(軽快な)、ライトな感じでほっこりできた掌編でした。
小説というと、ついヘビー級なそれが幅きかす昨今だが、こういうほこっとした佳作があるというのは素晴らしいね。