先月劇場版観にいったあと余熱でなんか読みたいな、とamazonに注文してたのが、先日完結編がきたのでレビュー。
『魔法少女まどか☆マギカ ~The different story~ (全3巻)』
元作品を知っていることが前提だが予想以上に凄く良いスピンオフだった。
まどか関連の書籍はそれこそ山のように出ているようだが、どちらかというと論評系だったり、パロディ系(いわゆるアンソロジーというのか?)だったりで、意外とちゃんとした「番外編」的なものが少ないのは意外だった。
それらしきものは本書以外にも2作品ほどあるらしいんだが、書評や立ち読みでぱらっとみてみた限りでは手を出すほどのレベルでもなさそう。
で、めずらしく評判がよさそうな本作を選んでみたわけだが、(繰り返しになるが)予想以上にに良かった。
この著者の方は、番組放送当時にリアルタイムで並行連載していたコミック版を描かれていた方らしいのだが、実はこの原作コミカライズ版は中古で安く出ていたので持っていた。
これはマンガとしては「可もなく不可もなく=まさにシナリオに忠実に」という感じであった。
(しかし何度か描いてきたと思うが「シナリオと演出」の相関関係を実感するには格好の教科書だった)
で、絵やマンガの体裁としてはちゃんとしたレベルのものだったので、前述の評判のこともあり(原作版コミカライズを中古で安く買った分)、著者の方にフィードバックになればよいか、と思い買ってみた、と。
いや、そしたらすごい当たりだったわけで。
本作はいわゆる「何回か前」の世界が舞台で、TVシリーズであれば冒頭で退場してしまったマミさん、そしてその弟子としての杏子の二人が主役といっていいだろう。
(このあたりの立ち位置はなんとなく少年ジャンプっぽいノリでそこもいいw)
そしてなにが一番良かったかというと―
でるわ、でるわ、魔法少女たちの本音が。
この周辺の描写が、この年頃の女の子ならではの感じがあって―それを我慢して我慢してようやく吐くところが、各箇所のクライマックスにつながってるので、ある種すごく切ない。
ある意味『女工哀史』とか『ああ野麦峠』ならぬ『嗚呼魔法少女』みたいな(違
もちろん、この年頃の女の子ならではのそれということだけでなく、なにか自身のこだわりを持って、孤独を一人引き受けざるを得ない人たち―その誰もが感じたことのある葛藤だからこそ、胸に響くのだろう。
ある種のバッドエンドで、この作品単独でこの終わり方ならつらすぎるが、これを踏まえた上で本編のあの救済があるのを知っているからこその、最良のスピンオフ、といえるか。
個人的にはこれで1クール分ぐらいのTVシリーズにしてもいけると思えるレベルだった。
興味のある方は読んでみても損はないと思う。
本編のほうを評価しているかたならある種必読のシリーズかと。
※2022/06 標題の表記を統一、リンク切れを修正