KUBO クボ 二本の弦の秘密/トラヴィス・ナイト製作・監督

標準

ずいぶん前から一部で話題にはなっていたので月初に観にいってた。
本作について語られるときによく言及されていたことが「ジブリ作品の欧州的なものへの憧憬とおなじスタンスで欧米からの(ジブリ的な)日本への憧憬」を具体化した作品だという点があったが、それも納得。こういった米国発の日本舞台の作品は頓珍漢なことが多いが、本作はそういった違和感は最小限に抑えられている(もちろんありゃというところも残ってはいるが僅少)。なによりもCG全盛の子ご時世に合って表情別のモデル48000も用意してストップモーションで作ったというだけで称賛に値する。

遅まきながらレビューしておく


作品世界は上述のように純和風世界で、鳥居の前に村落があり、市が立ち、そこで父を亡くし母と暮らす主人公のクボが講談をして暮らしている。彼には不思議な力があってその三味線(二弦とあるが三線だよな?)をかき鳴らすと折紙が踊りだす。しかしクボはどんなに場が盛り上がっていても日が暮れる前には気の触れた母の待つ洞窟に帰らねばならない。で、当然母の言いつけを破って日の暮れるまでに帰らなかったばかりに彼の冒険が始まるわけですが・・・。

基本的にほぼ登場人物に関しては物理モデルを用意したストップモーションアニメ。ただし背景などには逆に積極的にCGIを利用してダイナミクスは出すようにしていたとのこと。驚くのはそのストップモーションによる画面の滑らかさ。ちよっと信じられないくらい。もちろんカット間でブラーと掛けているのかもしれないがそれにしても非常に滑らかで素晴らしかった。

キャラクターのモデリングもやや欧米の考えるアジアンテイストを強調してるかな?と感じる部分もなきにしもあらずだったが、これだけ滑らかに生き生きと動かされるとそういったところは些細な点に見える。背景はCGI使われていると書いたが、作中に出てくる木の葉の船などはおそらく物理モデルありで、この細かさは頭くらくらしそうなレベルだったがそれ故に非常に密度感があって、作品のリアリティに大きく貢献していた。

で、シナリオもやや甘いところはあるし、日本的な感覚で行くとそういう配置にはならんだろうなあという関係性の部分もあったんだが、そういう日本人故の視点のところを抜きにすると、エンタメに徹したメリハリのあるシナリオで、最後までするっと一気に見れる良作だった。今回は珍しく吹替え版で見たのも良かったのかもしれない。

ただ吹替えじゃない本家版の声当ててるのがビックネームばかりでシャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、レイフ・ファインズ、ルーニー・マーラとかひー!?っという感じですよ!?(吹替え版も村の重要な役のおばあさんがラスボス=小林幸子さまでしたがなw)

あとエンディングがジョージ・ハリスンのWhile My Guitar Gently Weepsの吉田兄弟によるカヴァーとか!(これが非常にかっこよかった)

個人的には敵役である「闇の姉妹」まわりの演出がすごくカッコよくてツボでした。永野護が鉢かつぎ型のロボ(A-TOLLスクリティとかハチカ)でやろうとしてたカッコよさの実例がここにあるという感じですごく良かった。

しかしけっこう情報量の多い映画だったので、できればもういちどじっくり見たい感じ。興行的には子供向け作品にもかかわらずオフシーズン的なところもあってあまりぱっとしなかったみたいのはもったいない。しかしこれだけ日本リスペクトを見せてくれた映画なので余裕があればご恩返しの意味でお皿でも買おうか検討したくなる一本。

近場でかかっているところや観れる機会があれば見ておいて損のない一本化と。

Kubo and the Two Strings (Blu-ray + DVD + Digital HD)
Universal Studios Home Entertainment
売り上げランキング: 13,071
オリジナル・サウンドトラック「KUBO クボ二本の弦の秘密」
サントラ
ワーナーミュージック・ジャパン (2017-11-15)
売り上げランキング: 3,418

コメントを残す