先の連休中のリリース。早くもBEST盤である・・・と書こうと思ったが、よく考えるともうこの方も5年選手なのね。
昨年の『蝶々結び』あたりから新たなファン層も出てきていると思う+以前書いたように次の路線を模索しているであろうことを考えると良いタイミングでのリリースだと思う。
そして何気に2枚同時リリースというのも納得だ。それだけのものをこれまで発表してきている方だったんだな、と改めて気づいた次第。
初めてAimerというアーティストの作品に興味を持たれた方にもオススメしやすい、これまでの活動をいいバランスで網羅している内容だと思う。
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ご本人が普段からこの2色の服しか持ってないとおっしゃるぐらいのテーマカラーともいえる「白」「黒」で2枚同時リリースだが、それぞれ収録されている曲に色分けがされていて、「白盤」のほうはどちらかというとバラードテイスト、「黒盤」のほうはどちらかというとロックテイストである。とはいえ、どちらの盤もそれぞれの傾向一辺倒になっていないだろうことは、彼女の作品を御存じの方ならお分かりのことかと思う。静の中にも動があり、動の中にも静がある。激しい楽曲のなかに静かな感情があったり、静かな曲の中に激情があったりと、決してそう単純なものではない。なのでこのあたりの分け方もおそらくご自身の中でのイメージによるチョイスなんだろう。
で、これまでリリースのアルバムほぼ聴いている自分としてはこの両盤全体としての印象は、これといってこれまで聴いていたものと変わらないのだが、曲によっては曲順やマスタリング?の関係でやや違った印象で聞こえたものがあったのは面白かった。(『六等星の夜』がやたらとスケール感大きく聞こえたりとか、『RE:I AM』がこの位置で聴こえるからこそより盛り上がるだとか)
興味を持たれた方には、当然両盤とも購入されることをお勧めするが、どうしても予算的に厳しい、といった方にはやや「白盤」のほうがオススメかもしれない。
こちらのほうが普通一般の人が聴きやすい感じの素直な感じの収録曲が多いように思う。これはロックテイストのほうがやや歌詞が攻めている―というか澤野弘之氏作品の収録比率が多いこともあるだろうが―がやや聞きなれていない人には難解に感じるかもしれないからだ。
ただこのあたり澤野氏的な歌詞の傾向というのもちろんあると思うが、このアルバム用の新録であるAimerチームによる『ZERO』あたりにも同様の抽象的な歌詞の傾向ははっきりと存在しているので、そういう部分もこのAimerというアーティスト自身がもともと持っていた部分でもあるということだろう。この曲は曲調のほうもなんとなく凛として時雨のそれからの影響も感じられて(凛と~とは同黒盤に収録の『us』でコラボ)、そのあたりもなかなか面白い。
そしてこのベスト盤で自分的に一番がつーんとやられたのは新曲の『歌鳥風月』である。
これはこのAimerというアーティストの最大の武器である「声」を存分に使い切った感じのする傑作と言っていいと思う。これをこのBEST盤を出すタイミングでAimerチームで作れたというのが今回の最大の成果ではないだろうか。とにかくこの声の変化の幅の広さというか、この静かな曲の中にあってその「声」のダイナミックな流転が本当に素晴らしい。以下のPVでお聴きいただけるが、この曲はできればぜひちゃんとした音源で・いい再生環境で・いい音響設備で聴いてみてほしい。このAimerというアーティストの最大の武器であるその「声」を最大限堪能できる。はー、とにかく耳が幸せw
このBEST盤の発売にあわせてご本人初の武道館公演も決定しているが、実はまだ「それ以降」の画は現時点では見えていない状態。もちろんいろいろと考えてらっしゃるんだろうと思うが、今年一年はまだこれまでの総決算というか棚卸というか、一区切りさせるタイミングの年ということなんだろうな。
徐々にラジオやテレビなどのメディアへの露出も増えてきているし、いいことだと思う。ラジオなどをいくつか聞かせてもらったが、ステージのMCで見せるまじめな感じに加えて独特の面白さというかかわいらしさも見えるパーソナリティで、これまでの好印象は変わらない。というかいい意味でのオタク気質(歌に関して)的なところもある方のようで、ますます今後が楽しみなアーティストだと思う。
気になられた方はぜひこの機会に一度聴いてみていただきたい。
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余談:
あとこれまでのアルバムにはタイミング的に未収録だった『凍えそうな季節から』も入っているがPVに倉科カナ出てるのな(ドラマ主題歌だったからだろう)。
些細なことだが、こういうメディアミックスができるようになっていることからも世間的な認知度がいい意味で広がってきているのがわかる。