re:Action/スキマスイッチ

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これも遅めのレビューとなったが、先月(2017/2月)のリリース。
昨年のAimerアルバムへの楽曲提供+本作での澤野弘之プロデュース作品ありということでいってみた。

re:Action(初回生産限定盤)
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スキマスイッチ
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スキマスイッチ自体はこれまで聴いたことなかったのだが、本作は豪華なゲスト陣によるリアレンジベスト+その原曲となるオリジナル曲のベストからなる2枚組の構成と聞いて、ならこの機会に聴いてみるかと。

当然初聴になるので1枚目のリアレンジ版が原曲からどれくらい変わっているのか分からないんだが、1曲目の奥田民生バージョンの『全力少年』に代表されるようにどの曲も担当のプロデューサー(アーティスト)の色がバリバリと出ているので、スキマスイッチ自体のみならず各プロデューサー陣の特色がよくわかるカタログ的なアルバムになっている。ここから各プロデューサー自身の作品をたどっていっても面白いだろう。

ただお目当てだった澤野弘之氏がこのプロデュース陣の中では最年少ということからも分かるように、各曲かなり大御所のアーティスト名が並ぶので知名度というよりはそのサウンド自体が気に入ったものがあれば該当のアーティストのオリジナル作品へ手を伸ばしてみる、といった形がいいのかもしれない。

以下一応収録曲を引用しておく。

1. 全力少年 (produced by 奥田民生)
2. 僕と傘と日曜日 (produced by 田島貴男(ORIGINAL LOVE))
3. フィクション (produced by フラワーカンパニーズ)
4. ユリーカ (produced by GRAPEVINE)
5. マリンスノウ (produced by TRICERATOPS)
6. Ah Yeah!! (produced by 澤野弘之)
7. 奏(かなで) (re:produced by スキマスイッチ)
8. 晴ときどき曇 (produced by BENNY SINGS)
9. 君のとなり (produced by 小田和正)
10. ふれて未来を (produced by 真心ブラザーズ)
11. ゴールデンタイムラバー (produced by RHYMESTER)
12. 冬の口笛 (produced by SPECIAL OTHERS)
13. 回奏パズル (produced by KAN)

個人的におもしろかったのは前述の奥田民生、フラカン、小田和正、RHYMESTER、あとはリセルフプロデュースの「奏(かなで)」あたりか。
小田和正氏とのコラボはかつての氏との共作をリメイク、〆のKANプロデュース作品はこれまでの作品をバラバラにして1曲にするという手法のようだ(これはKAN氏独特の手法らしい)唯一のセルフリプロデュースの「奏(かなで)」は映画の主題歌らしいということもあってか単純にいい曲だった。で、澤野氏プロデュースの曲は良くも悪くも澤野節という感じ(笑)。澤野氏を作品を聴きなれている身としては違和感を感じなかったが、スキマスイッチのファンの方はけっこう戸惑われたのではないだろうか。

そしてそういう原曲との差異が、本作にはディスク2にオリジナル版が収録されているのできちっと比較できる。で、ここが面白かったんだが、スキマスイッチ初体験の自分としても全曲を通じてオリジナルのほうが聴きやすかった(笑)。

これは各プロデューサ陣のリアレンジ曲が悪いというわけではなく、おそらくディスク一枚を通して聴いた時の落ち着きの良さというか、振れ幅のばらつき具合とかそういったモノが要因だろう。加えて原曲ディスクのほうを聴いてみるとそのアーティストとしての素直さというかクリーンな感じ?とでも言えばいいだろうか―いい意味でアクの少ない良質なポップであるというのがよくわかるので、アクの強いディスク1と比べるとよりその素直な良さが目立つ。

あと一つ発見だったのは―このスキマスイッチというアーティストだけに関してではなく―男性ボーカル作品に対しての自分の基準がけっこう「声質」に左右されているんだな、ということに気付いたこと。このスキマスイッチのボーカルは声質的にOKだったのですごく気に入った―というか歌詞がするっと入ってきやすい。

以前から男性リスナーは男性ボーカルよりも女性ボーカルのほうが、女性リスナーの場合は女性ボーカルよりも男性ボーカルのほうが受け入れられやすい傾向があるんじゃないかと思っていたんだが、それは「声質の差」といった要因が大きいのかな、と改めて気づいた感じ。

少し脱線するが、これに関しての一例として自分はRADWINMPS的なボーカルスタイルはダメっぽい=曲もあまりいいと感じたことがなかった。とはいえAimerの『蝶々結び』(RADWIMPS野田氏プロデュース)は問題なくいい曲だと思える・・・なんなんだろう、これは?と思っていた。そこへ例の『君の名は』の主題歌の英語版のリリースのニュースをwebでみてYoutubeでトレーラー聴いてみたら「こっちならぜんぜんアリやん!?」と。そう、要は声質―というかこの場合は言語によるアクセントの違いか―がその曲を受け入れられる受け入れられないかの大きな基準になっていたんだな、といまさらながら気づいた次第。

つまりは同性の声であまりにもうウェット過ぎたり軽すぎだったりと感じると自分的にダメになるということらしい。これは一つの発見だった。

このスキマスイッチの声はウェットさにおいてもギリギリいい具合のところでOK、なので久々に日本語男性ボーカルユニットで聴ける感じのアーティストに当たったようでラッキーだった。あとはアルバム的なコンセプトで興味がわくような作品が今後出るようであればちょっと聞いてみたいと思う。

なにはともあれこういう自分にとって新しいアーティストの発見というのはありがたいことだ。
そういう意味でこういうコラボ・リミックス系の作品というのはここに限らず各アーティストいろいろやってくれると嬉しいな。

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