蝶々結び/Aimer

標準

久々にあーだこーだ書かずともよい作品である。ただひとこと”傑作”である。

蝶々結び(初回生産限定盤)(DVD付)
Aimer
SME (2016-08-17)
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ここでぐだぐだ書かずとも聴いていただければ一発でよい作品だとわかるだろうかと思う。野田洋次郎(RADWIMPS)氏による作品で、ここのところ続いていたONE OK ROCK、凛として時雨といったアーティストと同様のコラボシリーズだ。
インタビューなどを読むとこれまでの2曲とちがいAimerとの共作というよりも野田氏によるプロデュース色が強いようだ。

個人的にRADWIMPSは名前は認識していても作品は聴いたことがなかったのだが、いい曲書くなあ。ファンはYoutubeの本曲のPVのコメントの若干痛々しいのが目立つところを見ると若い方が多いのだろうか?何はともあれよい曲はよい曲である。よってあまりここで言及すべきこともない、ただただ聴いていただければよい(笑)。

一点だけひょっとするともったいなかったかも、というのはラストのほうの野田氏によるボーカルパートであろうか。
これがあるから「二人」ということを強調できていると思う反面、同じく上記PVコメント欄でどなたかが言及されていたが「二人」という狭い世界の歌になっちゃった的なところはあるかもしれない。(最初「家族」の歌として聴いていたとコメントがある)かなりロマンティックに聞える歌なので、まあこれはこれでよいと思う。

おそらくこの歌がAimerというアーティストをさらに世間に知らしめる一曲となるのはこのPVの回転数から見て間違いないと思う。澤野弘之氏との「RE:I AM」が第一弾のロケットブースターとして機能したとするなら、これはその第二弾に相当することになるだろう。それに拍車をかけるようにこの金曜日のミュージックステーションになんとAimerさん初登場の模様。これまでかたくなに露出を拒む演出を貫いてきただけに、このあたりからもAimerというアーティストの立ち位置はここを境に大きくかわっていくだろう。それが良いほうに回ってくれることを強く期待する。

で、カップリング。

実は「蝶々結び」のほうは珍しく先行のデジタル配信で聴いていたというのもあるが、このM2.「夏草に君を想う」がいまの季節にぴったりで何気に掘り出しモノだ。前回の「Insane dream/us」の時に言及し損ねたが、その際のカップリングの「tone」も実はかなりいい。双方ともagehaspringsのAimerチームによるものかと思うが、こういうビッグタイトルのカップリングに隠れつつ、ちゃんと自身のアーティストとしての部分も何気にしっかり成長させていっているのはすごいと思う。この「夏草に~」、個人的には特にドラムの音の乾いた抜け具合が素晴らしかった。

そして最後のM3.「セプテンバーさん」は再度野田氏の楽曲。ただしここはAimerチームが編曲した純然たるカバーということのようだ。このトラックもひょうひょうとした曲調とそれに相反するどこか物悲しい感じで、すごく良いチョイス。で、野田氏の作品なのになぜか歌詞やら「セプテンバー」ということから某あの劇伴作家さんを思い浮かべるのは自分だけですかそうですか(笑)。まあこのあたりは一リスナーとしての勝手な妄想ということでひとつ。

繰り返しになるが、本シングルとそれに伴うTVへの露出でこのAimerというアーティストの位置づけはおそらく大きく変わっていくだろう。
そういう意味である種のマイルストーンとなるシングルになるかと思う。

それがぜひいい方向へと転がっていってくれることを望むし、たぶんこの人の歌声というのはもっといろんな場所で必要とされるだろうと思うので。
ちょっと楽しみだ。

※本作の初回限定盤には上記のPV-あの岩井俊二監督による―および不定期に行われているネット配信ライブの模様が収められているDVDがついている(全9曲)。この機会にAimerというアーティストに興味を持たれた方にはぴったりのパッケージだろう。

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