事故から帰ってきたママが包帯だらけ―そしてなにか以前のママと違う・・・こんなつかみばっちりの映画なら観に行かんと~!?と思って観に行ったが、良くも悪くもいろいろとこちらの予想を裏切ってくれる映画だったでござる@ヒューマントラストシネマ渋谷。
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テアトル系のミニシネマに近いヒューマントラストシネマなんだが、テアトル系だけあってクセのある映画の特集を時々やっている。本作もその一連の特集での上映だったわけだが、このキービジュアルとこれみよがしのあらすじだけで引きは十分。
で、せっかくならスクリーンで掛かってるうちに観ておきたいな、ということで行ってきた、1300円だったし。本作はどうも音声から判ずるにドイツ語~オーストリア圏の映画っぽい。
ストーリーとしては森のはずれにある別荘に双子の男の子たちが住んでいる。事故にあって入院していたママが退院して家に戻ってくるが、ママはまだ包帯だらけで顔を隠しているし、なによりも双子のもう一人のほうルーカスに冷たく当たる。物語は当初この少年たちの視点で展開し、所々に妄想というか悪夢的なカット(ママのおなかを割いたら中から虫がたくさん出てきた等)が挟まれるが、勘のいい方なら途中でその視点のズレに気がつかれると思う。
で、これ以上書くとネタばれになってしまうので書かないが、コレ、はっきり言うと日本公開に当たっての宣伝担当者およびコピー・ビジュアルを作ったチームの勝利ですわw
(事実原題とオリジナルのキービジュアルは全く異なる)
映画そのものとしてはそのアイディアとひねりは面白かったし、BGMもほぼなく静謐さが逆に恐怖と狂気を感じさせるという部分は悪くないんだが、いかんせん途中のディティールとオチが胸糞すぎですわ。
しかし実はドイツ語圏の映画ってこういう胸糞系の映画けっこうあるような印象で、そこは驚くに値しないんだけども、ちょっとこの宣伝コピーとビジュアルが上手過ぎて羊頭狗肉の印象を受けたのはもったいないような気もする(それがなくても一定の評価はされるだろう―が、そうすると興収はきびしくなりそうではあるわな)。
で、そういう巧妙なキャッチのせいで楳図かずお的な世界を期待して観てたので、正直前半はどこに自分の視点をおいていいのか少し混乱し、「ああ、そういうことか」と気づく前後でようやく流れに乗れたと思うと胸糞展開のラスト方近くという。
まあ値段分のアイディアはある映画ではあったけれども、どうせならそういう変な先入観なしに観たかったような気はする。
そこだけはちょっと残念。
※最近映画―特に洋画見る時はヒアリングの練習も兼ねて英語圏の映画観るのがほとんどなんだけど、ドイツ語も若干予備知識あったり数を数えるといった簡単なところであれば―ほんのわずかとはいえ―わかるのは収穫だったな。日本人は英語が下手と言われるが、こういう経験をするとそれだけ言語体系の遠近でその習得の容易さが大きく異なるんだろうというのは実感として良くわかった。
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