第14回MMD杯・私的選集

標準

例によって遅くなったが先月前半に終了していた大会分をまとめておく。
まずはこれがないと始まらないハイキックP氏の例のアレから。

例によって以下多数の動画埋め込みあるので、通信環境によっては読み込みに時間かかると思います。その点ご留意の上どぞー。


さて、今回は実は大会結果発表あまりちゃんと見てない。
ちょっとバタバタしていたという事もあるのだが、どーもマイリスト数でソートしてみるとイヤな感じのモデルのネタ動画的なものが上位に集中していたのでちょっと見る気がなくなった。
調べてみるとネット事案ばかり手掛ける弁護士の方のMMDモデルらしく、数本見た限りではかなり陰湿な演出のものが多かった。

この大会を取り上げるたびに都度都度言及しているが、こういう内輪向けのネタが盛り上がるというのは分かりつつも、それが行き過ぎると全体的にその場から人がどんどん離れていくばかりかと思う。

折角これだけの多様性のある数少ない国内CG動画の大会なので、個人的にはできるだけ大事にしたいと思うのだが、こればっかりは一個人の力ではどうにもなりませんわな。歯がゆいところではある。

一つにはこれまでも「ハードルは越えるものじゃなくてくぐるもの」とネタ半分で言われていたが、開催数を重ねるにつれてほんとうにハイレベルのものはとことんハイレベルなので、若い人で心理的ストレス耐性が低い人は、そのかなわなさのうっ憤をシャレで突破するのではなく、こういう極端な内輪ネタでかき回そうとしているのかもしれないなあ。いつぞやの大会の際に審査員をされた脚本家の辻真先先生がおっしゃってた「画面の向こうには観客がいるという事を忘れてはいけない」という言葉が重い。こういう野暮な感想は本来あまり上げたくはないのだが。

では気を取り直して自分の琴線にひっかかったものをご紹介していく。まずは艦勢これから。



この方以前もこのへちょモデルで同じテイストの作品作っておられたかと思う。いつみてもかわいらしく、そして楽しい。今回は前半カラーが異なるがやはりエンディング部分はあのノリでみていてすごく楽しい。


続いては艦これとMMD、それぞれの良さが見事に掛け合わされた一本。これは良く作ったなあ!
こういう系統はそのジャンルへの愛情とオケ等の専門知識がいるのでいつみても思うけどほんと素晴らしい。



逆にこちらは数ではなくバンド系ならではの動きで魅せる力作。毎回思うけど鍵盤系の動きはほんとどうやってるんだろう。やっぱツールあるんかいな?



続いて東方のバンドエディション・・・なのか?(笑)実は本大会の中でも個人的にかなり上位な一本。この”間”の取り方はやはりセンスだと思う。



ここにきてようやくボカロ。それも特に画的には(コメントは別としてw)特筆すべきところはないような感じだが、最近のボカロの歌唱力の一例として貼っておく。この結月ゆかりさんはボカロでありトークエンジン版のボイスロイドでもあるという何気に貴重な存在。加えてけっこういろいろネタキャラにされクリプトン勢以外ではかなりの存在感持っているうちの一人だろう。



ここでようやくクリプトン勢。リンちゃんは登場当初のパワーキャラから最近は何気に可愛い系のポジション築いているようだ。リン廃がまたひそかに増えるのであろうか。こういう動画は恐らくMMDそのものよりもそれ以降の編集過程での作業が多いような気はする。ただそれも十分に正統的な使い方だと思う。



かわいい系を続けて。このモデルは恐らくオリジナルモデルである「レア様」と呼ばれるモデルと同系の作者の方の作品かと思うが、この頭身でこれだけ違和感のない動作に追随できるモデルがあるというのは恐ろしいよなあ。モデリングの技術はもちろんだが、そこから先のある種のセンスが突出していないとこういうモデルは作れないと思う。



続いてちょっとミリタリー系ミクさん。最近はこういう動画がありそうでなかなか数が出ていないというのが面白いと言えば面白い。ただジャンルの如何にかかわらずドラマ系が少ないのは個人的にはさびしい。このLOVE式ミクさんはかわいらしいモデリングの割にはけっこうガンアクションとかで使われているイメージあるな。本作のようにちょっときつめの性格に演出されることが多いからだろうか。(太眉気味というのも理由なのかもしれない)



おつぎはクオリティには定評のあるMMD空軍クラスタ。短いが次世代機っぽい変態挙動とかが見てて心地い。最後滑走路歩いているのを見てGメン’75思い出すのは昭和二桁故ですかそうですか(汗)。



続いては空軍クラスタではないが大空を行く爽快感が楽しめる一本。ゲームかなにかが元ネタなのかな?なにげにすいすい街中を行っているように見えるが、やってみたことある人はご存知のように実はこういう広域セットの中を自在に動かすというのはけっこう手間なはず。ほぼ固定視点なのでセットのほうを動かしている可能性高いと思うが、マネージメント大変だったはず。(MMDはカメラ周りの使い勝手が実はあまり良くない)



お次は物理クラスタ。これも上記動画と似たような雰囲気をもつが、例によって全部物理演算だよはっきりいってバカだよw(誉めことば)。試行錯誤とそれを踏まえてのパラメータ調整大変だったろうなあ。



つづいてはマインクラフト風ガンダム。ガンダムをはじめロボ系動画は実ははずれが多いんだが、これはそういったフォーマットから外れている事もあってか見ていてかわいらしいし楽しい。こういうゲームほんとに出たら楽しいだろうなあ。なにげにこういうモデリングも自分でやっている・・・という事なのかな。だとしたらかなりの手間かかっていると思う。好きでやっているんだろうと思うが、これだけの種類は圧巻。



今度は本家マインクラフトのモブキャラ達による一本。何気にニコニコ動画のこの手の自主制作系勢力地図の解説にもなっている・・・のか?(笑)



こちらもある意味ゲームが元ネタ・・・なのか?まあこういう力技で押してくれる方がへんな気味悪いネタ動画よりよっぽどいいw



こちらはコンシューマゲームから。元のゲーム自体はやったことないので再現度は分からないが、単純に動画として見れるレベルになっている。今回少なかったドラマ系を埋める形として紹介しておく。



続いては昨今いちばん台頭著しい刀剣乱舞もの?艦これもこのMMD杯でネタになるだろうこと見こしてそのためにプレイし始めたんだが、場合によっちゃこれも触っとかんといかんのか?(泣)ただこのゲームご存知のように女子ターゲットなのだがMMDでも女性MMDerとかMMDモデラー徐々に増えてきていると数値付きの記事を読んだことがあるので、とうらぶ題材の作品というのは増えていく可能性は大なんだよな・・・。



そういうのと反してこういうアホな動画は落ち着くわ~w元は海外のSWネタのMAD、そのトレースですな。モデルが不審者モデルとしては確固たる地位を築いている香港映画Pモデルと相手方は存じ上げなかったんだが演奏系の動画で著名らしいマスク・ザ・春原氏モデルということらしい。落ちは知っていてもその使っているモデルのチョイスで笑える。モーション配布とかあれば似たようなモノたくさん出てくるんじゃないかな。



トレースといえばこの方も毎回素晴らしい。前回は鞍馬だったが今回は床運動。ちょっとこのレベルでのトレースって不思議で、細かく正確にトレースすればこういう風に見えてくれるんだろうか?当然MMDモデルと実際の人体とでは骨格や関節の位置が違うわけで、さらに言うと裾的な部分の見え方も関係しているはず・・・ということは部分的に物理演算をうまく使っているという事なのかな。長くはないが見ごたえたっぷりの一本かと思う。



これもトレースモノ。それもある意味こういう体術系ではある種の頂点であるカンフー系の香港映画。バーチャファイターが話題になって以降、こういった映画の俳優さんたちが意地でそれを越えるような殺陣を見せてた時期があったが、確かこの元映画もその時期の作品ではなかったか。手足の長いTda式ミクさんの改変モデルを使っているので、動きがよりはえて見ていて楽しい。



続いて酔っ払いものを(苦笑)。この方も常連の方で、毎回独自のゲーム的世界観で作品を作ってらっしゃる方だったかと。個人的には昨今貴重なMEIKOさん出演動画なので、MEIKOユーザーとしてはそれだけで感涙(笑)。まあこういうネタキャラとして扱われているのもキャラの確立という点ではいいよね。



さてここから遅刻組みを2本続けて。
両方とも力作であるが、両方ともヘンだわwこれがテーマ女子力ですかそうですか(棒)。ただ遅刻しただけあって素晴らしいクオリティではあると思う。どうもこれも元ネタはゲームらしい。



さらに遅刻組を。なんどか言及したことあると思うが、基本的にこういうガチムチ系というかその手の動画は(いい悪いではなしに)見た目が汚らしいのできらいなのだが、これは突き抜けすぎてて思わず最後までみてしまった。BGMはどうも花の慶次かなんかのヤツらしい。そらヲ級ちゃんも走って逃げますわw



続いては進撃の巨人のパロディ。ライナーは原作でも若干そういう気があったがほんといいネタキャラだなあ(笑)。パロディではあるんだがちゃんと原作のキャラクターたちの性格からの延長線を感じられる動画になっているのがいい。落ちはありきたりだが、原作ファンから見るとかなり笑える一本になっていると思う。



続いては数少ないオリジナル系の作品。加えて独特の世界観とかなり高度な技術と演出力な一本である。個人的にはネタ動画もいいが、こういう作品がもっと増えてほしいともう。どうも断片的な部分を見るとこの作品世界にはまだまだ見えていない部分がたくさんありそうだ。同じ作者の方が次回大会も参加してくれると良いのだが。

さてここらでやっとMMD杯らしさの象徴であるMMDオールスター系を続けて。

これは例によって集団ランニング系の動画。当然ツールによって生成されているようだが(ツール配布もあった模様)、それにしても凄い。そしてそういったツールの凄さを活かすのがここまでのこれだけ蓄積され続けてきた大量のモデルの数々だろう。ここを走るモデルたちが今後もどんどんと増えていくことを願ってやまない。



これは数あるMMDオールスター系の中でもこれまでのアプローチと違っていて、当然手間のかかり方もかなり違っていると思う。確認するとHALFBYの楽曲PVが元ネタらしいが、それにしても自由に動かすのではなくこういう縛りがあって動かすというのは根気と熱意がないとできないと思う。結果それに見合ったMMDらしい素晴らしくハッピーな一本になっていると思う。今大会で自分の中では三本指に入る一本。



そしてオールスター系はオールスター系でも・・・(笑)。この幅の広さがMMD杯の懐の広さだと思う。ぜひご覧いただきたいw



今大会で自分の中ではいちばんだった動画。こういうのがぽこっと出てくるのでいくらネタ動画であふれようとも、内輪のオナニーのような動画見せられてもMMD杯見るのやめられないんだよなあ・・・。



上の作品は動画も良かったが音楽のチョイスも良かったかと思う。そういう意味ではこれも音楽の勝利。そしてある意味オールスター系であり、題名通りHappyな一本だと思う。モーションは既存の配布されたものの流用がほとんどかと思うが、それをこういう形で使えたというのはセンスもあると思うが音楽の力も大きい。もちろんその音楽を選択するところからしてがセンスそのものではあるのだが。



〆は例によって鉄道クラスタ2本続けて。
艦これの北方凄姫の愛称である「ほっぽちゃん」と鉄道員(ぽっぽや)を掛けたかと思うが、そのディティールはまぎれもなく鉄道クラスタのもの。こういう景色に旅情を感じるというのが日本人という事なんだろうかな。天候があまりすっきりしなかったせいで今期の18きっぷを買わなかったことが悔やまれる・・・。



こちらは艦これとか無しの正統派。なぜこういう廃路や廃線が良くテーマにされそこにドラマを感じるかというと、やはりそこには日々の生活の積み重ねがあり、それは小さな記憶や思い出の積み重ねでもあるからなんだろうな。そういう事を考えさせてくれる一本だった。



とまあ駆け足ではあるが今大会で気になったものをまとめてみました。
ちょっと今回はあまり枝葉末節まで追いかけられなかった感があるので、撃ち漏らしている動画もあるような気はする。そのうちまたちょっと余裕が出来たら大会の結果発表動画は見ておくか。

ということでそろそろ季節も春・新年度。

そんな皆様にもってこいの動画を最後に(笑)。

次回はもっとドラマ系増えてほしいなあ・・・。

第14回MMD杯・私的選集」への3件のフィードバック

  1. 飲マスク

    件の弁護士の人の件を見ると、どうもネット上に「学校裏サイト」的な、内輪かつ陰湿で不愉快なノリを持ち出して当たり前の人間が増えた気がしますね・・・
    私なんかは学生時代に学校裏サイトなんてなかったので、正直そんな気持ち悪いノリ表に持ち込んで何が楽しいのとしか思えないのですが、これも新世代の人間がネットに流れ込んできてしまったことによる弊害と言うことなのか。

  2. niseikkyu

    コメントありがとうございます。
    おそらく一部の人間・・・いわゆる「ノイジーマイノリティ」が当初おもちゃにしていたんでしょうが、その”動き”自体が一つのネタというかムーブメントになってしまい、こういういちばん醜悪な形で結実してしまったんでしょうね。
    正直なところ、マイリストしていた全員がそういう根底のところまで理解してアクションをしたとは思いたくないです。(ご存知のように大会の公式順位はマイリスト数で決まります)

    あとこういう暗いうっ憤の原氏方というのは、世代的なものではなくてある種の人間の持ってる部分のひとつだと個人的には思いますね。

    幸か不幸か自分や飲マスクさんのようなおっさん世代(失礼)の時代にはたまたまネットという良くも悪くも「便利」な道具がなかっただけで、そらこんな便利に卑怯に立ち回れる道具を前にして自分の心の中の暗い焔を燃やさずにいることのできる若い人というのはなかなか少ないと思います。

    良くも悪くも人間の本性が暴かれやすい時代という事なんでしょうね。
    そういう時代には「名こそ惜しめ」という言葉を思い起こすしかないんだろうなという気がしています。

  3. 飲マスク

    ご返答ありがとうございます。

    そして全体・一般論ではなく特定の事象への各論になってしまいますが、
    例の弁護士の人周りは実はまだマシでして(ご本人がちょっと、まぁ、アレなのもありましてw)、そこから派生した連中がもっとタチ悪く、無実の個人の個人情報を勝手に漁って拡散とかしてます。
    昔はそういうのはもっとアングラだったと思うのですが、今は「一つのジャンル全体で」なおかつ「表立って」やるようになったと思います。
    ネットに限らずですが、人間というのは仰るような「鬱積晴らし」の対象として、変だったり何かしらやらかした人を程度の差こそあれ笑い者にしてしまうものですが、
    件の集団は「お前たちも変な奴を嘲笑ってきたのだから、自分たちのやってる個人情報漁りもそれと同じだ」というサイコパスじみたことを、煽りもありますが本気で思っています。

    ぶっちゃけ私もネットを知ったばかりの頃に田代まさしのタイーホ(死語)や同時期の某大学野球投手のホモビデオ出演を弄りまくってましたが(苦笑)、
    同じ胡散臭いムーブメントでも今の世代がやってることは「超えちゃいけないライン」というのが分かってないと思ってしまうワケです。
    ネタにするのが目的ではなく、無名かつ無実の個人対象の個人情報漁りのような嫌がらせ・犯罪自体が主目的になるのはアカンわ、と。

    この「個人情報漁り集団」の中には30代以上もいるそうですが、表だってこういうことをやるようになったのは割合最近のことに感じますし、
    中心かつ大多数なのは、学生時代に学校裏サイトとかがあった世代で、彼らが社会(ネット・実社会両面で)に出てもそのノリを表に持ち込んでしまってるのではないかと思った次第です。

    まあこれも「最近の若い者は」的感想になってしまうかもしれませんが・・・

コメントを残す