第13回MMD杯・私的選集

標準

今夏の大会も数週間前に結果発表あったようなので、例によって遅くなったけどもまとめておく。
例によってこちらから(笑)。

毎回まとめが遅くなるのは、結果発表動画で初めて知る名作もあったりするので、なにせこれはという作品を見逃さないようにするのが至難の業。
今回も順調に作品総数は増えてそのかずなんと864本!四捨五入ではなく実数で千本マジで視野に入ってきましたな・・・。

大会結果自体はこれとかこれをを参考にして頂きたいが、ほどほど尺があるのでご注意を。
あと例によって動画のリンクを大量に含むので、回線やマシンパワーご留意の上ごらんくださいませ。






今回は前回より続いている艦これ勢の比率の急激な上昇と、それに伴うボカロ勢の相対的な縮小傾向はよりはっきりしている。
ただ艦これ勢が増えると若干つらいな、と思うのは”彼女”らは艤装という大きなものをしょっていたり、史実という背景があるので、その辺りがわかっていないと見ていてもなにが面白いのかわからないだろう動画がけっこうな比率である、ということ。

これが内輪ネタの盛り上がりということでは面白さがあることは認めつつも、やはりMMDというせっかくここまで大きく広がってきた文化の間口を狭めてしまうかもしれない―その点に一抹の不安を抱かざるを得ないというのは正直なところ。

今回もなるべくそういった内輪ネタがわからずとも面白く観れそうなものを選んでみたつもりだが、そうするとぐっと幅が狭まるのは明白だった。
なので中にはそういった内輪ネタ的なものとわかったうえでも取り上げざるを得なかったものもいくつか含まれていることは最初にお断りしておく。
また艦これ勢に限らず、これはと思ったものでもあえて外した動画もけっこうあるのでその点ご留意頂けるとこれ幸い。

ではいってみましょうか―まずはその艦これ勢のヤツから。


これは例によってへちょモデルとかCHANxCO式と呼ばれる2頭身モデルの一本。なにかのアニメのオープニングのパロディ・・・なのかな?
かわいらしい、というのもあるがもうすでにこれだけのバリエーションのモデルがそろっているというのが凄い。





これは以前から投稿されている常連の方―例の角煮の動画の方ですな。食にこだわられている方なので、ここでも定番の赤城さん大食いがネタに―ただ実際のゲーム上ではもっと消費量の激しいキャラが多数登場して、現在では相対的に大食いではないそうだが、初期イメージとは恐ろしいもんです(苦笑)。





これはゲーム内に実装されているセリフだけで一本破綻なくまとめたという力作。この連装砲ちゃんの視点をブラさず、他のキャラクターたちを正面切って映していないのがとてもセンスがよい。





もうGLAYもある意味おっさんホイホイなんだろうなあ、有名曲とはいえ、この原曲いまどれぐらいの人がわかるんだろうか?元の替え歌?のレベルの高さもあるが、ここまでしっくりまとめられると違和感仕事しろの一言も言いたくなる(笑)。





これはいわゆる同人音楽としてこの曲があり、そのPVとして存在しているらしい・・・ということで、ある意味当初MMDにおいて想定されていたいちばん正統派な使い方と言える。曲が非常によい、というのもあるがPVも小ネタに凝ってキャラクターたちも生き生きしているのがよい。今回は「かわいらしい」ということばでくくれる作品多かったが、本作はその筆頭だろう。入賞も納得の出来だと思う。





これは本編部分がネタで、エンディング部分がむしろ本編だろう。こういう雰囲気を出せるというのがMMDの素晴らしいところ。





そういう上のほのぼのとした動画の裏で、艦これ勢というのはどうしてもこういう背景が付きまとう。MMDに限らずpixivでネタにしたりはともかく、酷いのになるとエロ同人誌などもあるようだが、いい悪いは抜きにして自分には理解できないなあ―どうしてもその先にいる亡くなられた方のことを想像してしまうので。ただそういったものもひとつの供養の姿なのかもしれない。故郷を守ろうと沈んでいった船とそこに乗っていた御先祖様たちはそれらを見てどう思われるのだろうか・・・。





とシリアスに艦これモノを〆ようかと思ったが、まあ辛気臭くなっても仕方ないのでこれを。
いちおう自分もこういったMMD作品観たときにわかる用に艦これはじめて、なんだかんだで続けているわけですが(苦笑)、ウチの旗艦の霧島さんが頭脳派と自称しつつも武闘派なのは最近知りました(笑)。
ただこれも史実がネタなわけですけどもね。





これはともかく凄い。MMDのいいところは自分が愛情を持っているジャンルをMMD内で再現すると、ちゃんとその愛情の深さが作品にはっきりと現われてくるところ。鉄道クラスタと並んでMMD空軍クラスタの真骨頂を発揮した一本だと思う。観客のカットインも憎い。個人的には今大会3本指に入るウチの一本。





これは懐かしい元ネタ!そして再現度が素晴らしい。シナリオ・演出は再現動画なので当然借り物だが、もうこのレベルの動画なら気力と根気があれば我々にも技術的には作り得るところまで来ているというのをよく示してくれている。





つづいてはMMD物理演算組。MMDは多くのCGソフトと同じように物理演算も使えるようになっている。こういった物理演算系の動画はそのアイディアとある種パズルを解くようなセンスと根気強さの勝負。これは見ていて派手で面白い。





同じく物理演算モノ。画的にはそっけないが、こちらのほうが物理演算どうがらしいっちゃらしいか―なにげにゆる~い感じがいい味出してる。これもラストがいいですな。





物理クラスタで箸休めのあとはMMD自動車クラスタ。これはゲームのムービー再現ということだと思うがここまでできるんだなあ。車種もどんどん増えてきていることがこういった動画を支えていると思うが、それに報いるようなセンスのいいエンドロールが素敵。ここはいいアイディアだと思う。





上記のようなMMD自動車クラスタの中で次々とモデルを発表されているカーグラP氏の作品。これもなあ・・・・・どこまでやるんですか!?先生!?みたいなレベル。コメントで実写のPVにしちまえ的なのあったがホントそれでも通用するんじゃないかと思えるレベル。





自動車クラスタと来たので自転車クラスタを(違)。このモデルは香港映画P氏の自分モデル。一発ネタですが腹抱えて笑ったわ。こういうサービス精神のある方はやはりどんな小品でも参加作品があると嬉しい。





さあ、このあたりまで来てようやくボカロ・UTAUクラスタ。この曲はコミケの大ボス・小林幸子様によるカバーでも有名になりましたな。MMDはこういった和風モデルもけっこう充実している。花畑でほほえむテトさん31歳が美しい。





正統派なPV系の一本。GUMI(めぐっぽいど)は元となったゆうきまさみ氏のデザインよりももうこのままま式のモデルがオフィシャルアバターのようなイメージだなあ。本作ではまつ毛ガン盛りでめいっぱい飾ってもらっている。総じて背景や色彩。服飾などにセンスを感じる一本。





続いてPV系を。これは東方のキャラなのかな?けっして技術的に難しいことはやってなさそうだが、センスの良さでみせ切る一本。色彩もいい。





おなじく技術的なものでみせるのではなく、かわいらしさや色彩のセンスで魅せる一本。今回はここまでのPV系でも見られたように色彩がきれいな作品が多いのが印象的だった。





PV系が続くが、今回が夏期大会だったということもあって出されていたテーマ「ホラー」との掛け合わせ。曲はオリジナル曲らしいいが、曲世界とPVが非常にマッチしていて都市伝説的恐怖をうまく演出している。非常にレベルの高い一本だと思う。個人的にはキーボードの連弾がステキw





上記と同系統と思われるが、こちらはコミカルかつハートフルな落ちがつく素敵な一本。本視聴時見逃していて結果発表の動画であやうく拾えた動画。今回ドラマ系が少なかったのでそれを埋めてくれた感じ。こういうの大好きだ。





おなじくストーリーが力強いPV系の一本。いや~いかんでしょ、こういう機械ががんばる系は反則だって(涙)。ちょっと火の鳥とかを思い出すが、元ネタはコメントを見る限りだとクロノトリガー(ゲーム)とかなのかな?なんにせよこういう魂のないものに魂が宿る、というのは日本独自のソフトアニミズム精神の真骨頂かと思う。





PV系最後の一本。前回のミクさんにつづき今回もやってくれました!すっごいわ・・・この指の動き・・・。トレースだということだが元があるにしてもこのなめらかな動きの背後には膨大な労力がかかっていることが明白なので、ちょっと想像しただけで頭くらくらする。弦までゆれてるわけでな!?加えて動画としての演出のセンスもよい。個人的に今大会3本指に入る一本。しかし特別賞の賞名が「スパッツ>ギター賞」てwいや、ある意味その通りですけどw





で、よーやくこれまでの大会的な動画を。本作品は毎回楽しみにしているエコデレP氏の作品。もうこの方は完全に作家性と作中のキャラクターが確立しているので毎回安心して楽しめる。そしてこの方の特徴はその全体的な品の良さと「走り」!今回やや控えめだが走るシーンが復活してて嬉しい。ほんでこの方のルカさんは珍しく作中ではっきりキャラクター性確立している貴重な例だと思う。まあ巨乳ガチレズアダルトお姉さん的なキャラらしいんですけどな(苦笑)。





このかたも常連で、毎回ゲーム世界的なものをテーマにコンスタントに発表されてる方。独特のリズム感に作家性というか個性が感じられる。レトロゲーム調のテーマが多いんだけれども、逆にいうとそういった昔のゲームのほうがはっきりとした個性がゲーム自体にあったということなのかもしれないな。





この方も常連・・・というかシリーズですよね(笑)。ボカロ系に限らずMMDではキャラクター同士をつかって家族性を感じさせる動画のほうが強いと思うが、このシリーズもその代表的な一本と言えるか。ゲーム『大神』のアマ公がすっかり飼い犬状態なのが(笑)。





いわゆるゲキド街モノですな。リンとレンはなんだかんだで出演作多いように思うんだけど、二人が双子である、というところをうまく使った作品は久しぶりかも。古典的なアイディアではあるが、ラストのほうはタイトル通りもう誰が誰で!?のカオスな状態。こういう混沌投げっぱなしみたいなのも本大会ならではかな(苦笑)。





辻真先先生賞受賞とのことだが、それも納得。凄くスタンダードな作劇をしていて派手さはないが演出的な基本がしっかりしているのは素人目にもわかる。辻先生がおっしゃるように作品の先には視聴者がいるという意識は大切だよなあ。それがないのなら自宅のPCの中でだけ再生して悦に入っていればいいわけで、公表する・したい、ということはその時点ですでに他者とのコミュニケーションが発生しているわけで。そこでは先生のおっしゃることは大切な基本だと思う。





ドラマ系ラストはこれで。いわゆるモブ子さん系統のキャラを使った日常系・・・とでも言えばよいか。たんたんと日常的なシーンを切り取っているが、けっこうこの手の動画はセンスが必要かと思う。アイキャッチを入れてエピソードを区切るのもセンスいい。こういったプレーンな感じの作品もキャラモノと併存できるのもMMD界隈の裾野の広さ故かと思う。





なにげに好きなMMD漫才クラスタ。ただボカロはしゃべりが基本的にできないので結果的に母数が少ないために大きく広がってゆくのが難しいジャンルでもある。普段あまりお笑いを必要としない自分がなぜこのクラスタだと普通に見れるのか?と考えると、その動画の作成プロセスから勢いや思い付きだけではネタを成立させられない=結果的にしっかりとネタを構築して臨まざるを得ない=丁寧に作られたネタになる可能性が高い、ということだからだろうな。
誰かが言っていたけど、いま日本のTVやバラエティではやる傾向にある笑いというのは、その場の空気や状況といった「前提条件」を知らないと笑えない、感性に大きく依存したお笑いが主流なんだそうな。だから論理的に翻訳できない一発ネタ的なものが幅を利かせる結果になっている、というのを思い出した。





とはいえ、こういった動画文化も独特の前提条件を知ってないと笑えないという部分も当然あるわけで、本作はある意味その最たるものかな(笑)。しかし転載の問題って実際どうなんでしょうね。拡散されるという意味では作者にとってもあまりデメリットはないようにも思うんだけれども、やはりコントロールできないところで拡散されて、自分に一銭も入らないアフィリエイトのネタにされるのは不愉快、ということなんだろうかな。





さて、ここからは技術系。まずはその筆頭・・・というかこの方がいなければMMD界隈はここまでの発展はなかったんじゃなかろうか?と思われるエフェクト作成の大家・ビームマンPのエフェクト集。言葉はいらない、タイトル通りだ、ビームド―――(゚д゚)―――ン!
※ちなみにループ動画なのでお気を付けをw





これは残念ながら遅刻組だが、あえて紹介しておく。いわゆるセルルックなシェーダーを使った作品ということかと思うが、ここまでできるのなら、20年前ぐらいのレベルのテレビ放映レベルのアニメーションなら余裕で作れるのではないか?と思わせてくれるレベル。数回前の大会からちらほらその萌芽と思しき作品はあったが、今後けっこうな数出てきそうな気がする。





これは技術系は技術系でもMMD内部におさまるそれではなく、MMDをつかってリアル=3次元での表現を行う可能性を示した一本。MMD界隈はこういう技術を育てる母体にもなっているのは頭に入れておく必要があると思う。で、そのうちこういった技術が拡散し、また新たなアイディアが誰かによって付け加えられ、MMDというエコシステムはさらに豊饒の大地となってゆくという・・・。





で、まさにそんな状況を見せつけるかのような、非常によい実例がタイミングよく上がっていたので。凄いぞ・・・・・これ・・・・。
こういうものまで出てくる、発想させる環境、それも有志たちによる自発的なものとして、というのはなかなかないと思うぞ?





技術系最後はオールスター系のそれで。これも自前でツール作っているっちゅうことなんかなあ・・・。細かなところはともかくその数と動きに圧倒される。駅伝の「再現」動画などに使うのは難しいだろうけど、そういったシーンを新たに作ろうとする場合は非常に強力な技術がまた出てきた、ということになる。





オールスターが出てきたのでオールスターをもう一つ。これは曲のリズムの良さがかなり味方してくれていて、演出もうまいと思うがもうちょっと詰められたようにも思う。肯定的な意味でちょっとおしかった一本。





まあ上記動画のようなコメントも、他にこのレベルの演出力の動画が同じ大会内で存在しているから故でしてな・・・ほんとハードルが高くなっているとは思う、凄い。
こういった動画を作っている人は好きで好きで見まくっているんだろうなあ。そうじゃないとこのレベルの演出力は出せないと思う。ちなみに1分15秒からが本編なのでそこまでは我慢してみるようにw





最後は鉄道クラスタ。ニクさんが主演のようなので、前回大会も参加されていた方かと思うが、相変わらず細かいところのこだわりが凄い。しかしみんな太ましいなあw個人的には冷凍みかんがツボでした。





そしてMMD鉄道クラスタx震災テーマが今回も。テーマはいいし、感動の一本。ただ不可抗力とはいえタイトルにもなっている”ラストラン”の部分は緑豊かな東北の景色の中を走らせてあげてほしかった、というのは贅沢か・・・。





さて、ラストを何で〆ようかと当初悩んでいたんだけれども、結果発表動画にて見逃していた素晴らしい一本があったので、これにて〆にしたいと思う。
このただよう幸せな空気感―ここまでいろんな動画を紹介してきたが、こういったありふれた景色の中に幸せを表現することが出来るポテンシャル―それがこのMMDというジャンルの素晴らしさだと思う。
時間のある方はぜひご覧になってみてください。




冒頭にも述べたが、今回も艦これ勢の伸長著しくて、正直なかなかそのほかの良い動画をスクリーニングの中から見つけ出すのが難しかった。
今回はけっこう結果発表動画に助けてもらったところ多かったように思う―それぐらい漏れが大きかった印象。
艦これ勢の台頭自体は決して悪事ではないのだが、いま現在のところ若干バランス欠く結果につながっているところは否めないかな。
まあこのあたりも徐々に落ち着いてくるだろうとは思うけれども、それに加えて投稿作品数が毎大会ごとに確実に上がってきている。
この稿も無理やり一記事にしてまとめてあるけれども、次回以降もこの増加傾向が続くのなら、何らかの形で(ジャンルやテーマごととかで)分けたほうがいいのかも知れんね。
少し前に凍結宣言が出ていた本体のソフトもがんがんバージョン上がっているようだし、まだまだMMDの世界に広がる裾野は広いと思う。

さて次回大会はどんな名作が出てくるのか・・・・・いまから楽しみだ。



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