GODZILLA/ギャレス・エドワーズ

標準

そろそろ観にいっとかんと終わりそうだったので行ってきた@新宿ピカデリーにて字幕2D版を。

公開前後はすごく盛り上がって話題になってたのに、その後順調に公開が続いている割には評価はあんまり聞こえてこないな~と思ってた。

で、見て納得。

これ、決して悪い映画じゃなく、スケール感とかそういったところでは本当によく出来てる。
そして、ある意味すごくオリジナル作品と、日本の怪獣映画に対するリスペクトをしてくれている。

そう、すごく”まっとうな怪獣映画”なわけだ。

だからなのよ。エンターテイメント=この世ならざるものを観るのを楽しむ、という点ではすごく良く出来ている映画なんだが、なにかテーマを伝えるための「作品」としてはすごく弱い、とでも言えるだろうか。

いちおう主人公のブロディ親子とその家族の間で描かれる家族の物語的なものはあるんだけれども、父親のほうが途中退場してしまい、残された息子一家のほうに話は移るんだがその家族と父親のつながりの描写がほとんどないため、世代を越えたダイナミクスのようなものが薄くなってしまっている。手札はそろってたのにここはちょっともったいなかったな。

また渡辺謙演じる芹沢猪四郎博士も描写が薄くてここももったいなかった―申し訳程度に被爆二世らしきことは語られるんだが、あまりそのキャラクターがどういうものなのかというのが見えてこないのだ。
マッドサイエンティストでもなく、正義の科学者というのにも薄い。初代ゴジラでの芹沢博士のような科学者としての業や正義との板挟みがあるわけでもない。謙さんの存在感で救われている部分あるので余計もったいなく感じた。

ただこうは書いたが、ちゃんと2時間ばっちりダレずに最後まで観させるというのはさすがというべき―ある意味パニック映画的な側面があるからだろうな。

特にコジラ自体の見せ方=演出は絶品で、あえて序盤ではあまり全体像を映さず、遠景や尻尾だけのカットで米艦艇と対比させ、その巨大さをこれでもかと強調しているのはホントうまかった―まあこのあたりがこの映画の最大の見どころと言ってもよいだろう。

また敵役となるムートーというモンスターの描写や、ゴジラとの関係性がなんとなく平成ガメラ三部作を踏襲、或いはオマージュしているように見えてこのあたりはなかなかニヤッとさせられた。
(ゴジラがけっこう劣勢になるシーンが多いのもある種のオマージュなんかな―もちろん考証的にもあまり矛盾なさそうだが)

加えて本稿書くにあたってちょっと調べてみると実は本作、けっこう若い監督さんでおまけにこれがなんと2作目の映画なんだな!?

それを考えるとこれは十分良くやったほうだと言えると思う。
(オリジナルへのリスペクトもちゃんとしてくれているようなので、その点も好印象)

で、なんだかんだいってけっこう興行収入は良かったようで続編制作は決定しているっぽいんだが、できれば続編はゴジラ本来のもっていた社会的な意味性を、なんとか物語の上に乗っけてあげてほしいな。

自分は確か二十代になってから初代ゴジラはみたんだが(確か友だちに借りたビデオか何かだったかと思う)、今のそれと比べるとはるかに劣る当時のフィルムにも関わらず、ストーリーのもつある種の感情・雰囲気というのは、今もちゃんと残っている。

画作りでは本作はちゃんと21世紀の”怪獣王”にふさわしい堂々としたゴージャスなものを作り上げている。

あとはその器に、初代に匹敵しないまでもそれなりの魂を是非こめてやってほしいと思う。

GODZILLA/ギャレス・エドワーズ」への1件のフィードバック

  1. 匿名

    こんにちは。
    あちきはムートー夫妻のバカップルぶりが好きでした(笑)。
    (因みにゴジラファン歴は24年です)。

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