e of s EP/SawanoHiroyuki[nZK]

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今年の最後の記事はこれで。

以前とは違ってポップミュージックというジャンルに対するアンテナの貼り方が非常にむつかしい昨今だけども、この方の音楽を知って本当に良かった。でなければきっと昔を懐かしんで90年代とか自分のよく知っているころの音楽ばかりを聴く羽目になっていたかもしれない。ゲームやアニメーションのみならずNHK朝の連ドラの劇伴作家さんというのが表看板かと思うが、昨今のnzkとしての活動などを見るともう立派なポップ・ロックソングのヒットメーカーと言って差し支えないだろう。ご存知の無い方はなんらかの機会に名前を耳にした場合はぜひ一度その音楽を聴いてみられることをお勧めする。

e of s EP
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本作は澤野弘之のボーカルプロジェクトSawanoHiroyuki[nZk]としてのデジタル配信EP。ボーカルにmizukiを迎えたパワーバラードでセガのスマホゲーム「SOUL REVERSE ZERO」の主題歌。カップリングはAimerボーカルによる『ninelie』の別バージョン(cry-v version)。こちらは進撃の巨人を手がけたスタッフによる『甲鉄城のカバネリ』の再編集映画の主題歌に決定している模様。




まあ上の動画で聴いていただければわかると思うけれども、説明要らないよね―ほんとにメロディの素晴らしい良い曲。
ここ数年でこの澤野氏によるボーカルプロジェクトは一気にその規模もクオリティも拡大させてきた。確かにその最初の集大成ともいえる澤野弘之 BEST OF VOCAL WORKS[nZk]だとオリジナルのサントラ盤での各曲の存在感に比べるとそのインパクトは若干薄れるという向きもあるだろうが、普通に良曲ぞろい。

さらにその後にでたアルバム・・・というかnzk単独名義でのフルアルバムとしては初の作品となる『o1』などはそのメロディの良さに加え曲のバリエーションもさらに増加し、ここ数年の中では名盤の一つといってよいのではないだろうか。正直よくネタが尽きないことだと思う。
(※ただしこのあたり劇伴として作成されているボーカル楽曲は劇伴としてのメインのインストテーマとメロディのモチーフは同じだったりする―こりゃさすがにそうだわな、逆にそうでないなら人間の範疇越えとるw)

その『o1』以降はガンダムUCのTV放映版のリリースに伴いその主題歌として『into the sky』などが発表されたが、ほかにもデジタル配信として『CRYst-Alise』というシングルがリリースされている。
今回の『e of s』はその延長線上にある曲で上記『o1』以降ならではの作品だ。

今回のメインボーカルを務めるmizukiさんはこれまでも『aLIEz』や上記『o1』のタイトルソングも担当している。癖のない透明感のあるハイトーンが魅力的なボーカリストだ。
加えて上記『CRYst-Alise』もそうだが本作もアルバム『o1』前後からより明確に見られるようになった後半の分厚いコーラスがドラマチックで非常に盛り上がる。こういう1曲の中でのドラマチックな感情を盛り上げる構成というのはこの方ほんとにうまい。

カップリングはもともとAimerさんとEGOISTのChellyさんによる今年の春にリリースされたシングルだが、カバネリの総集編上映に合わせてリアレンジ+Aimerさんオンリーのボーカルとした<cry-v>バージョン。
この曲は原曲に比べてバスの四つ打ち的なリズムが強調されたアレンジ。ただこの『ninelie』という曲は個人的にはおそらく今年一番回してた曲の一つだったので、原曲のほうに慣れ過ぎてしまっていてどうしてもオリジナルに軍配を上げたくなる。(原曲はボーカル2枚による絶妙なハーモニーの美しさが売りでもあったのでそういう部分も影響しているんだろう)

なにはともあれ近年いちばんよく聴いているアーティストの新曲を最後に新しい年を迎えられるというのはなんとも幸せなことである。

ちなみに本デジタルシングルは来年5月に開催される予定の澤野氏劇伴作品オンリーでのオーケストラコンサートの先行申し込み権が特典として含まれている(※配信サイト「mora」のみらしいので注意)。
この曲も単独として素晴らしいのは言うまでもないが、そのあたりに興味のある方にもお勧めできるEPかと思う。

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