ちょうど半年ほど前にみた前回の名古屋での公演が非常によかったので、今回都内で凱旋公演あると聞きき申しこんでいたのを、今回観にいった。
結論から言うと、期待が大きかったせいか非常に微妙な感じで、楽しみにしてただけにちょっと残念な印象を受けた。
以下、一応レビューしておく。
東京芸術劇場(池袋)は今回初めてだったが、名前からもわかるように非常にしっかりとした施設で、コンサートホールもかなり立派なもの。
チケットは完売とのことだったので、約2000人の客席にフルに客入ってたということだろうな。事実空席などは見当たらなかった。
ステージは、あくまでも自分の目視での印象だが、名古屋の時のそれにくらべ若干おおきいように見える。これは前回名古屋は1階席、今回は2階席だったという違いはあるかも。
※調べてみるとここが客席2000に対して名古屋は1800らしい。
例によってグッズの販売などもあったようだが、今回は施設外で別途販売があるとのことでパンフだけほしかった自分のような人間は並ばなくて済むかな~?と思ったがやっぱり並ばされましたよ15分ほど(嘆)。
それでもパンフだけの列作ってくれていたのでこの程度で済んだようだけど、このあたりどうなんだろうねえ。
客層は名古屋の時と違って、圧倒的にいわゆるオタク的な感じを受ける人が多い。
これは追加公演ということで、そういう客層がいちはやく反応したのか、東京と名古屋のちがいなのかはわからない。
個人的には名古屋のほうがいわゆる”普通の人”が老若男女、音楽が好きで来ているような雰囲気だったのでいいかんじだった。今回は音楽よりも”作品が好きな人”が多かったのかも。
場内は撮影禁止・・・だがけっこう皆さんパシャパシャとっては係りのお姉さんがすっとんできてましたな(笑)。
自分は最初にお聞きしてNGと聞いていたので、今回は一切撮りませんでした。
ステージにはこの手のコンサートにありがちなスクリーンもなく、好感が持てる。前回にも書いたが、自分はまず音を聴ききたくてきているの人間なので、あまりそういうものはいらないと思っている。
(ここはあくまでも個人的な意見です)
そうこうしているうちにオーケストラ入場。
オケの構成は前回と大きく変わってはいない・・・のかな?パンフレットを前回のものとみ比べてみると、ソプラノ、ピアノ、ドラム、キーボード、コーラスなどは前回の公演と同じ方々の模様。
管弦楽が東京室内管弦楽団ということで、名古屋で聴いた時のものとは変わっている。
で、本編。
前回と同じく前・後篇の二部構成。
最初にん?と思ったのはコンサートマスター?(オケの第一バイオリンの方?)が全体のチューニングを取るのがあると思うんだが、この時の合わせがなんか「あれ、意外に銘々やるのね?」という感じだった。
※ここでひとつ訂正。
twitterで公演直後に書いてた内容で指揮者のことを指してコンマスと書いてしまっていたが、コンサートマスターというのはこのオケ第一人者のことを指すようです。はずかしーw
で、肝心の演奏なんだが、んーなんか全体的に不安定ですごく音が走ってる感じというか・・・速く聞こえる。
(気のせいか指揮者のタクトの振りと演者のうごきあってないようにも見えるんだが・・・)
もともと前回聴いたときにここのある意味弱点というか、一番違和感を感じるのはコーラスと打楽器系だと思ってたんだが(これは不可抗力的なところもあるというのも認識している)、今回さらにコーラスの立ち上がり独特の不安定感、とういうか揺れに加えて、そういう本来ゆったりした印象を持っている曲が走って聞こえるので「ありゃー?」というところになにかメインメロディをとる恐らくフルートがものすごい不安定な感じ。
おまけに時々そういうリード取る系の楽器が何箇所かびみょーに違う音吹いてたような気がするのは気のせいか?
もちろんそれがカッコよく聞こえれば逆にオーケストラ素人な自分のような客には万々歳というもんだが、なんかこう不安定な感じにしか聴こえなかった。
そしてもう一点。
さきほど名古屋の時と比べてやや会場広いかも、と書いたが、そのせいなのか弦楽器がほかの音量大きめの楽器が増えてくるとその中に埋もれてしまう感じがした。
逆にそういう大きな音の楽器が抜けた、弦だけの曲では非常に音がきれいに抜けて、ホールの音響の良さというのは良くわかったのだが、オケ全体を考えると弦モノのパワーか枚数、そのどちらかが足りてないということじゃないのかな?(このあたりあくまでも素人判断ですが)
名古屋の時は逆にここが非常にいいバランスで弦が聴こえただけに非常に気になった。
今回は前回と違って二階席だったので、そういう聴いている位置の違いもあるのかと思い、終演後ホール案内のお姉さんに席種で音の違いというのは大きくあるんでしょうか?と聞いてみたんだが、抜けのいいホールだと思うので大きな違いはないと思いますが・・・とのことだった。
逆に前回音の大きさが気になったドラムなどは、エレドラに変えていたということもあるのか、非常にオケに溶け込んでいていい感じ。効果音的に使われているおおきな円形の胴を回す楽器(名前不明) なども前回よりははるかに違和感が少なかった。あとティンパニー・・・かな?とか生の打楽器系は最初やや強すぎるかな、という感じだったんだがそこは徐々になじんできた模様。
ただこのあたりやはり金属系の打楽器は音の通りがいいだけに、強弱の加減でオケへのなじみ方がものすごくシビアに変わるように思う。(トライアングル、シンバル、あと一番ステージ向かって左端の鉄琴?らしき楽器等)
んーそんな感じがあって、全体的になにか聴いていてすごくしっくりこない。
前半で唯一「お?」と思ったのは、今回の公演で追加となった『deep in grief』。これは自分も一二を争う好きな曲だったので、この曲だけは違和感なく聴けたのは救いだった。(走ってる感じもなかった)
しかしある意味前半の満足感を決めるはずの楽曲『she is a witch』もコーラスのパワーが足りなく感じるのと、ここまで書いてきた不安定さのようなものが重なって非常に微妙・・・。ここでいったん休憩となるが、前半終えての正直な感想が
「こら、アカンやろ?」
だった。あえて書かせて頂くと。
前回聴いたのがある意味ツアー公演の中盤ということで、調子が乗ってきたところ・・・と普通のバンドのライブなら言えるところだが、これはオーケストラ公演。つまり公演ごとによって管弦楽のパートは違った人たちなわけで。これ、あくまでも素人な自分の耳を信用しての話になるのを承知の上でいうんだが、それでいくとコレ
この東京公演での管弦楽がダメだったっちゅう話よね?
オケによって演奏変わるというのは以前聞いたことがあったが、今回のこの経験でこの言葉が本当だというのは身をもって実感した。いい勉強になった。
で、後半戦はそういうところを意識したのか、或いはこっちの耳が単に慣れただけなのか、前半よりははるかにましだった。弦モノの埋もれ具合とか、コーラスの弱さ的なものは(これらは会場の広さとのマッチングという物理的な部分かと思うので)変わりなかったのは仕方ない。
しかし走り気味・・・というのは変わらなかったような気がするなー、このあたりは個人個人の体調によって聞こえ方というのはもちろん違ってくるとは思うんだが。
一つそれを強く感じたのは、実はピアノソロ。
パンフレットを調べてみると、自分が名古屋でみた時とソロは同じ方がとってらっしゃるらしい。
しかしなー、すごい急かして弾いてるように聞こえるのよ。名古屋の時はそれはもう優雅にじっくりと(ある意味じらされるぎりぎりのところまで)間を取って弾いてらっしゃったので「ああ、さすがソロとるだけあって凄いな~」と思って聴いていたのが印象にあったからかもしれないのだが。
で、今回もバイオリンソロによるアヴェ・マリアあったんだけど、これも名古屋公演のカンフーお姉さん(笑:前回記事参照)のほうが個人的には力強さを感じて好みであった。
前回公演の感想をどこかのスレッドでみたのだが、名古屋の時のこのバイオリンのお姉さんは演奏中の待機時に落ち着きがない(笑)と一部の方に不評だったようだが、なんというか圧倒的にその演奏はパワフルだったのだな。
今回の方も当然うまいのだが、なんか一か所音ひっくりかえってたような気がするし、前述の会場の広さのこともあってか音が凄くか細く聞こえた。
なんというか比べていうと深窓のお嬢様vs体育会系の演武の違いみたいな(笑)。
このあたりは当然好みの違いかと思うんだが、自分はああいうコンマス的な立ち位置の人というのは、ある種強靭な意志というかエゴ的なものがあったほうがいいように思うので、名古屋公演の時のそれのほうが好み。
ある意味そういった違いが、それぞれの地域のオケの性格にも反映されるのかもしれないな、今回の公演内容を考えてみるに。
ということでこうは書いてきたが、全演奏終えると会場の一部でスタンディングオベーション出てたので、こういう感想を持った自分のような人間は、ひょっとすると少数派なのかもしれない。
その辺りは聴きにいった人それぞれに聞いてみないとわからないですね。
最後に全プログラム終えて、ここまで司会と要所要所でのナレーションをされていたキュウべえ役の加藤さんの口から新編・叛逆の物語版の公演も10月に開催が決定、とサプライズ的に伝えられたんだけれども、自分としてはこういう感想をもった公演後だったのでびみょー、非常に悩ましい。
正直このレベルの演奏をまた聴くことになるのならあまり積極的には行きたくないかな、とも思うんだけれども、こういったオケは生モノだしなあ・・・。
どうも都内はまたこの東京管弦楽団がやることになりそうなので、正直なところそれだと二の足を踏むのは事実。
なのでなぜか申し込んである来月のガンダムUCオーケストラコンサートのオケと比較してきてから考えますw(ぇ
※追記
あと今回のパンフレット・・・というかプログラムかな?は作品関係者の情報やコメントが少なくてご不満な方も一部ではいらっしゃるようだが、個人的にはのっていた二本のコラムがそれぞれ素晴らしかった。
とくに高野麻衣さんという方のそれは、個人的に非常に読み応えがあったことを付け加えておく。