他者によるオーケストラ演奏は何度か聞きにいったが、御本人の演奏はそういえば聞いたことないな、という事で観に行ってきた。(7DAYS3日目・金曜夜のサントラ縛り回)
澤野弘之氏のライブも楽しいライブだったが、それと同じか―キャリアの分さらに余裕があるためか―もっと楽しかったかもしれん。
Yuki Kajiura LIVE vol.#12 DAY3 Sound Track Special
まず何よりびっくりしたのはその音響の良さ。
会場は東京国際フォーラムCホール。センター気味とはいえ3階席だしどうかな~とおもったらなんのなんの!抜群の音響ですよ。SoundTrack縛りで静かに聞かせるいうこともあるんだろうが、もの凄くクリア。
(これはこの国際フォーラムの作りの良さというところもあると思うんだが、そういうところ狙って会場を選んでるように思う)
冒頭テラスを思わせるバックセットの上段にスポットライト浴びたアコーディオンのソロからはじまったが、もうここからして耳が幸せタイムw
続けて、今回その存在を初めて知った=当然生で観るの初めてのイーリアン・パイプをメインにフィーチャーした数曲。いや~これがまた輪を掛けて耳が幸せwww
この楽器のこと知れただけでも来た甲斐あったな~と思ってたら、Sound Track Specialということなのか、MCがクソ面白いのに楽器さわってる人間にとってはめっちゃくちゃためになる内容ってこれどういう事ですか!?
「楽器が増えると音が絞れてくる」というのは言われてみればそうなんだが、こういう懇切丁寧な説明をしてもらえて初めてすとんと腑に落ちたなあ、凄いや・・・。
しかし作曲家・・・とくに劇伴作家の方というのは、やはり膨大なイマジネーションの海を泳がれることが常なのか、頭の中にいろんなものがいっぱい詰まってるんだろうな、澤野氏といい今回の梶浦氏といいほんとにMCで良くしゃべってくれる、そしてそれが陽性の楽しさというのがいい。
今回は楽器隊が主役という事もあって、ドラム、パーカッション、ベース、ギター、フルート、バイオリン、アコーディオン、イーリアンパイプーそのそれぞれのプレイヤーの方に「あなたの楽器の美味しいところ」というテーマで事前に聞いていたことをMCで紹介、そのプレイヤーの皆さんの人となりを少しでも知ってもいたいとのことで、すごく楽しい進行。
是永功一氏がギターだとは知っていたけど、バンマスでもあったんですな―それにしてもやっぱり巧いわ・・・。
というか是永氏に限らず―当然ではあるんだけれど―全員凄い。静かだけど凄いプレイヤーたちばかりという印象。
冒頭は上述のようにアコーディオンやイーリアンパイプを使ったNHKの朝ドラ『花子とアン』からのものが中心だったらしく、いかにもサウンドトラックの王道らしく穏やかで雄大な感じの曲が多かったんだが、おそらく後半の折り返し以降でやったまどかマギカからのパートはSoundTrackというよりバンドエディションとでも言えるような激し目のアレンジ。そしてこれが流石というかやはりどんなアレンジであってもオリジネーターがやるのであのサウンドなんですよ!?すごいなあ・・・。
とにかく最初から最後まで耳幸福タイムなライブだったのであるが、梶浦氏に限らず劇伴系の作家さんに関して困るのは、その膨大な作品数だよなあ(笑)、こちらがピコーン!と来てもなかなか全部は追っかけられん。そしてこれはどの作品のどの曲!?というのがわからず、思わず「ぐぬぬw」となるという(苦笑)。
そんなライブであったので、本編終了後、観客席から激しいアンコールwというか今回の客席かなりノリが良かった、とてもボーカルレスのライブの客とは思えんw
(客層は例によって服の彩度の低い感じの皆様が半数以上を占めておられました・・・嘆)
そしてアンコールではなんとボーカル登場!
梶浦氏関連の女性ボーカルの方は人数が多いので、間違ってたら申し訳ないんだがMCからすると織田かおりさんなのかな?
演奏後、ここでも「あなたの楽器の強みは」を聞きつつたのしいMCを挟んで大ラスの演奏。
最後観客席スタンドオベーションですよ!?いやー、これはじぶんも自然に立ちあがってたな、すごいいい演奏だったもの。
そして記憶を頼りに書くので正確ではないと思うが「作曲家(譜面?)というのは妄想、その作曲家の妄想を具体的に形にしてくれるのがここにいる常に自分をストイックに磨き続けているプレイヤーさんたち、この彼らが居てくれるから私の妄想が”現実”化する、なのでスタジオに行くのが楽しくて仕方がない」的なお話をされてプレイヤーの皆さんに感謝の言葉を述べておられた―これも凄く納得のセリフで、会場もそのことばに拍手で応えていた。
そして観客にも今日来てくれた”あなた”、みなさんでなくひとりの”あなた”がここに足を運んでくれたので、今日はこの音になった、と謝意を述べられる。
そういってもらえると、仕事積み積みで行くのどうしようかな~クライアントさんからイヤミの一つでも言われるかもしれんな~と葛藤しつつも見に来たかいがございましたよ、ええ(泣)。
ということであまりにも素晴らしいライブだったので、買う予定のなかったパンフレット・・・といっていいのかハードカバーの洋書のようなパンフレットなんぞはじめてだ(笑)―を買い、会場を後にしましたとさ。
(どうも輸入雑貨系のデザインがお好きな模様)
いやー正直勢いでCDもなにかほしかったんだけど、前述のように作品数ありすぎてどれがどれだかわからんのよw
ということでwikiをひきつつAmazonで物色を始めつつ・・・という危険な兆候が出始めていることをお知らせ致します(笑)。
あと一つ思ったのは、こういう前向きな・・・というか楽しい、ポジティブな感じのステージを作れる、という性質というか傾向というか御本人のパーソナリティというのはすごく大切なんじゃないかなと感じた。
こういうポジティブさをもってご自身の仕事をされているので、いい作品が出来、いい作品が出来るからこそ社会的な評価もあがり、社会的な評価が上がるからこそより良い作品が生まれてくるというポジティブな循環というかな。
なんでもそうだけど、なにかを糊塗する後ろ向きな仕事でなく、こういう正々堂々と前を向くスタンスでやる仕事って大事よね。
いや~耳は幸せだわ、MCは勉強になるわ―めちゃくちゃいいライブでした。
こら来年も同系統の内容やるなら観に行きたいな~。