ちょくちょく日本にも来てくれている彼らだが、ほとんどがフェス等で、単独公演はほんと久しぶり。
ならば行かずばなるまい―?と行ってきました2/26@新木場STUDIO COAST。
前回の単独の時も確かこのSTUDIO COASTで、単独の際はこれまでなんだかんだで必ず観には行っている。(twitterで時々お話させて頂いているNINガチヲタのcloudさんのように全日程皆勤ではないがw)
なので前回と比較が出来たのだが、まず目についたのは客層の平均年齢も上がってるな~、ということ。
もちろん、若い人たちも半分ぐらいの割合で交じっているのだが、おっさん・おばはんが多いwそう、なんだかんだいってもNINももう四半世紀のキャリアのバンド。全盛期のファン層がそのままシフトしていれば、これも当然の話だ。
加えて東京ならでは+バンドの性格からかもしれないが、けっこうな比率で外国の方の姿が見られたのが印象的だった。
また前回の時は建ってからそう時間を経てなかったのかピカピカだったSTUDIO COASTも、いい具合に渋みが出てきている。数年ぶりに入ってみて思ったのが「あれ、こんなに狭かったかな」ということ。ちょっと意外だった。
(横にすごく広い印象があったのだが、全体的に受ける印象は小さくなっていた)
しかしおそらく二千人強は入るであろう会場は、開演前にはほぼ満席。
面白いのは、女性客―それも普段こういうラウド系を聴きそうにないようなファッションの方がけっこういらっしゃったこと。男性客にはそういう印象あまり受けないのだが(自分の近くの二人連れの野郎どもなど内輪の業界人アピール会話が頭悪そうでうざかった)、女性ファンはけっこう知的水準高そうな感じの方が多かった。
で、時代の流れを感じるのが場内アナウンス。
カメラ・録音等の禁止が流れるのだが「”業務用”と思しきものは禁止」という「じゃあそれ以外はええんかい!?」という一昔前には考えられないアナウンス。時代ですのう。
(事実ステージ中もバンバカ皆さま撮ってらっしゃいました)
19:00時の開演を少し過ぎてオープニングアクト?らしきものが始まる。打ち込み、というかシンセのリアルタイムでの入力+パターンホールドのような即興演奏で、これはこれで雰囲気があって面白かった。
そしてそれを終えるとほとんど間をおかずに本編開始!
確か1曲目が『SomewhatDamaged』。けっこうアレンジを変えてあったので最初なかなか曲名が浮かばなかった。続けて『10000』とつかみはばっちり。
今回は自分の大好きな『TheFragile』からの曲が多めで嬉しかった。それに加え、比較的これまでのアルバム全般から代表曲的なものを全体的に演奏しており、けっこうベスト版のようなセットリスト。『Terrible Lie』『Burn』そしてLiveでははずせない『Wish』や『March of Pigs』なども。
アルバムとしては『withTeeth』よりもはるかに出来がいいと思うんだが、なぜか印象薄い扱いの『YearZero』からも『Survivalism』などもやった。
とにかく曲間の間をほとんどおかずにどんどん演奏するんだが、恐ろしいのがこれだけ激しい曲を次々とやっても、演奏の解像度がすごく高いままということ。これは演奏の技量ということはもちろんあるんだが、音響周りのセッティングの素晴らしさもあるんだろう。また今回は例のLEDセットの照明演出もあって凄くハイレゾな感じのステージだった。
そして面白いのが、かつてはインダストリアル・メタル或いはロックの代名詞と言われたバンドであるので、当然演奏において打ち込み等マシーナリーな部分が占める重要性が高いにもかかわらず、凄く”バンド”なサウンドなのだ。このあたりはさすがに後半のほうで演奏側も若干バテてきてすこしミスっぽいところが見えたが、逆にそこでよりそういう”生っぽさ”がありありと見えた。
この”生っぽさ”の鍵はこれの冒頭あたりのその場でプログラミングではないが、現場で生のドラムに合わせてタップテンポでBPM拾ってループや打ち込みを回すとかを、ひょっとするとやっているのかもしれない。
ただこうは書いたが、実は聴いている分にはとにかくそういったテクニカル的なことを全く感じさせない分厚いバンドサウンドそのもので、このあたりはさすがというか、さすが世界的にトップクラスなバンドの一つだけあるわ、というか。おまけに上述のようにベスト版のようなセットリスト、もう頭振るしかなーいーでーすーよーねー?みたいな(笑)。
しかしこういうふうに凄く楽しませてもらった反面、(一部は大胆なアレンジが加えてるとはいえ)これら知った曲・定番の曲・・・というのはある意味”懐メロ”でもあるわけで。
そういったものを全否定するのではなく、感謝はしつつも、やはりこれまで苦しんで苦しんで音楽をつくってきた彼には、ようやく諸々のことがふっきれたっぽい今、もっといまの時代ならではの音も作っていってほしいよな、という老婆心のようなものもある。
これは自分自身も、懐メロをありがたがるような音楽的なジジイにはまだまだなりたくない、というのもある。
上記にも書いたが、彼らも25年近くやってるわけだ、当時の曲の良さは良さで―それらはたぶん自分がこのあと一生持っていく音であるにしても―やはりそれらは”昔の音”でもあるわけだ。正直彼らにはそれだけで終わってほしくない。
そういう意味ではラスト前、女性ボーカルをフィーチャーした別ユニットであるHowToDestroyAngels(以下HTDA)からの曲と思しき曲を2曲やったが、そのあたりだけに新しい要素が見て取れたというのは、若干複雑ではあった。
(確かこのボーカルはトレントの奥様だよな?ヒアリングできるわけではないので雰囲気なんだが、ユニットの紹介のMCがなんとなく含羞を感じさせるアナウンスだったのが微笑ましかった)
ただこのあたりは最新作『Hesitation Marks』で、これまでを知ってる人間からすると良くも悪くもひっくりかえるような明るさを聴かせてくれた『Everything』のような曲も作れてるわけだ(笑)、まだまだ彼らには更なる音楽的進化を遂げてくれる可能性を残している。
これまで長々と付き合ってきた以上、ここはそれを信じて”次の音”が届けられるのを待つだけだ。
そして彼らならきっとそれをやってくれると信じている。
残るは本日2/28の追加公演のみ。
最終日の今日はどんなセットになるんだろうかなあ。
先立つものがあればいってたんだが、さすがに1回1マンエンのライブは2回は行ケヌ(T△T)
行かれる方は是非楽しんできて下さい。