After Dark/Aimer

標準

やはりこの方はクセのある作曲家と組んだ方が魅力がより発揮されやすいような気がする。

After Dark/Aimer

1stアルバム以降、『RE:I AM』等の何枚かのシングルを経て発表されたミニアルバム。新曲に加え既存曲のリアレンジ、ライブバージョンを含む全12曲。

※MP3による配信ではプロローグ含む1部の曲が未配信の模様。


先月のリリースの一枚だが、当初どうしたものかと迷った。
なぜなら、この方のアルバムやシングルを何曲か聞いてみて思ったのは、この方はある意味シンガーとしての魅力のところがすごく大きい。つまり声や表現力の部分。そこについては間違いなく素晴らしいと思っているのだが、逆に言うとその声や表現力を通して描かれる世界というのは、曲のほうに大きく左右されるような気がしていたので。

で、どうしようかなーと迷ってるときにこれを聞きまして、「ああ、これならぜひ聴きたい」と思いamazonでぽちっとな。

この曲は阿部真央氏の提供らしいんだが、この人も知らなかったがwikiを見る限りかなりの実力派の模様。

先にも書いたが、『RE:IAM』のときの澤野弘之氏といい、この方は内製チーム的なスタッフより外部のクセのある作曲家と組んだ方が魅力がより発揮されるタイプのように思う。

なんと言ってもその理由は、この声と表現力にあって、スタジオ録音とLive双方が収録されているこのアルバムは、実はそれが非常によくわかるようになっている一枚だ。

Liveテイクを聴けばその声と表現力の部分がスタジオテイクより非常によくわかる。
逆に面白かったのは、スタジオテイクでもいわゆるフツーの女性ポップシンガーがよく歌いそうな曲が1曲あって(AfterRain)、おそらく普通のシンガーが歌っていたら凡庸な1曲になりかねないのが、この方が歌うとやはり独特の色になるということ。

そういう意味で、これからの広義の女性ポップシンガーというのは、この方ぐらいの個性がある意味最低ラインになるのではないか?

これは貶めて書いているわけではなくて、これだけCDが売れない、かつネット系のシンガーでもある程度歌える人がたくさんいるなかで、いわゆるメジャーシーンで商業ベースに乗せる、ということを考えた時、少なくともこれぐらいはっきりとわかる”色”を持っていないと、歌を看板に掲げるソロ・シンガーとしては立ち行かないように思う。

少なくとも、この方の声はおそらくここ十年やそこらではボカロなどの技術が代替できるタイプの声ではない。

ある意味、この商業音楽が過酷な時代に生き残る正統派のシンガーの一人になると思う。

特にこのアルバムはその全体像がよくわかる一枚なので、興味のある方はぜひ手に取ってみることをお勧めする。

コメントを残す