【レビュー】『ソラミちゃんの唄』ノッツ

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ふー、これもかなり遅れてのレビュー。
いまも音楽活動は継続しているようだが、いまやすっかり立派なマンガ家さんになってしまったノッツ氏最新作。
しかしノッツさん、いつのまに23歳Dカップ女子大生になってんすか!?(表紙帯裏著者プロフィール参照:笑)
これはやっぱり「センチメンタルだった」から?(爆笑)

『ソラミちゃんの唄 1巻 (まんがタイムKRコミックス)』



ミュージシャンだった父の血をひいて、宅録大好きなソラミちゃんは今日も絶賛引きこもり中。しかし彼女の周りには幼なじみのさっこ、マンガ家志望のフミリン、ストーカーっチックなソラミちゃんファンのネモちゃんたちがいて、いつもにぎやか。
しかし、なぜか母子ふたりだというのにお互い顔を合わせるのに照れるお母さんとは壁越しにしか話せない。そして大学浪人という立場なのに今日も作曲は絶好調!


すっかり立派なマンガ家になってしまった(笑)ノッツ氏の最新作。

”ひきこもりコミュ障”の女の子が主人公だが、一般的にそういった言葉から受ける印象とは異なる―というか、本質的に「ひきこもり」という言葉で括られるストーリーではなく、あくまでも設定上のゆるーい制約ととったほうがいいだろう。
大体が4コマのギャグマンガであるので当然といえば当然なんだが(笑)。

大学に入るために浪人しているが、ついつい趣味の宅録にのめりこんでしまい、幼なじみのさっこにいつもどやされる、というある意味予備校モノというかモラトリアルもののスタイルの作品だが、やはりこの”宅録”の部分が本作の特色だろう。
実はこの”宅録”というか”音楽”の部分が物語全体を貫くバックボーンにもなっていて、この”音楽”の部分がソラミちゃんの家族、そして3人の親友たちをそれぞれつないでいるのだ。

基本的にはゆるーいギャグ4コマだが、ところどころで名曲『サボテンと蜃気楼』でも見せたリリカルさが覗く、絶妙のさじ加減。

それはソラミちゃんがひきこもりになった原因でもあるお父さんとの別れ、そしてそのお父さんとお母さんとの出会い、そして残された二人の間で伝えられる桜の思い出―。

何気にいのちをつないでいく、という家族の姿をさりげなく(恐らく御本人も意識せずに)描かれているのが個人的に素晴らしいと感じた。

1巻とあるので以後も続刊があると思われるが、これまでの例からするときちっと物語全体の抑揚もつけてこられると思うので、その辺りをどういう風に展開してゆくのか楽しみだ。
元々がミュージシャンの方なので、そのあたりの盛り上がり=というか曲でいえばサビの部分か―を意識せずにきっちり作れるんだろうな。

あと何気に作曲や創作のコツ的なものの真髄を、ポロっと作中で述べてる―読む人が読めば一撃でわかるだろうが、ある意味これも大サービスだよな(笑)。







※2022/06 標題の表記を統一、リンク切れを修正

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