ローン・レンジャー

標準

これもずいぶん遅くなったが個人的に凄くツボだったので、さぼらずに紹介しておく。
本国アメリカでは苦戦だったそうだが、どうしてどうして!
終映も近そうな感じだったので、9月末にあわてて行ってきました@新宿ピカデリー。



以前にもちらと書いたことあるが、昔からなんとなーく西部劇で頭の中で妄想しているお話があって。
前評判からすると「どうなんかなー?」という感じだったが、その参考になれば儲けもんか、ぐらいの気持ちで行ってきた。

そしたらこれが大当たりの一本ですよ!?

こういうシリアスさとおバカ具合が絶妙に入り混じって、盛り上がるところはちゃんと盛り上がるという、いわば”王道”の映画は、実はけっこう好きなのだ(照)。
というか、リズム感というかエンターテイメントさというか―話のメリハリがきちっとあって、それに気持ちよくのせてくれるタイプの映画と言えばよいだろうか。

ハリウッド映画というのは、そういったティピカルな部分がかっちりシステム化されていて、それが却って揶揄の対象にもなるのだが、本作はそういったシステマチックな部分がうまくはまっているタイプの典型だろう。さすがブラッカイマー。

話の骨子としては、杓子定規な頭の固い法務官・ジョンリード(アーミー・ハマー)が兄をならず者に殺され、昔恋仲だった兄嫁の危機を救うためならず者たちを追う―そこに同じくそのならず者たちを”悪霊”として追う、謎のネイティヴアメリカン・トントが絡んでくる、といった体裁だが、このトント(ジョニー・デップ)が彼にとってのメンターとなる=ビルドゥングスロマンの物語であり、またトント自身も過去の幼かったが故の過ちを償うための復讐の物語でもある。
(そしてこういう物語性を、非常にスタイリッシュでキャラクターの立っている悪役たちの存在が、より一層引き立てている)
そういう物語としての王道の骨子を持たせながら、パイレーツオブカリビアンでも見せたところどころコミカルな展開をはさみ、軽快な物語に仕上げているのはハリウッドシステムならではの脚本ゆえだろう。

しかしなんと言っても圧巻なのはラスト―ウィリアムテル序曲をバックに繰り広げられる、並行して走る二本の大陸横断鉄道上で繰り広げられる、練りに練られたスタントアクション!

いやー、もうこのシーンだけでも映画館で観た価値があったというか、心の中でやんや!やんや!の拍手大喝采ですよ!?(笑)

まさに”エンターテイメント”としての映画の面目躍如というか、凄く楽しかった。

そして、アメリカに入植した白人たちの残酷さを認識したうえで、やはり彼らにとって「馬」が特別な存在なんだなあ、というのが全編通したうえで、なおかつこのシーンでさらによくわかるというか。
(そう、”謎の白馬(笑)”シルバーのなんと存在感のあることよ:苦笑)

作品としては『ローンレンジャー/誕生編』とでもいうべき内容だが、ところどころシーンのつなぎとして出てくる老いたトントの姿とラストシーン、さらに一本としてのまとまりを考えると、残念ながら続編はなさそうだ。

もし続編が作られたとしても、ここまで爽快な一本になるかどうかは不確定要素が多すぎるので、むつかしいところではあると思う。

しかしこのパワーをさらに上乗せした続編が見られるのなら、ぜひ見てみたいというのも正直なところ。

というかDVDやBDでなく、ぜひ大きなスクリーンで見てほしい一本。どっかで再映してくれんかなー!?

あと、個人的にはヘレナ・ボナム・カーター演じる娼館の女主人の”美脚”がすごくツボだった。
(あれは反則やw)

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