沈黙/遠藤周作

標準

ハリウッドで映画化が進行中のようだが、某女優さん監督のとんちんかん映画に絡んでネトウヨな皆様が「すわ、また反日か!?」と騒いでらっしゃったのでwikiを確認してみると非常に興味深いストーリー。
そういった外野の雑音に惑わされない+映像化されたときに真贋確かめられればと思い、さっそく読んでみた。

沈黙 (新潮文庫)
沈黙 (新潮文庫)

posted with amazlet at 15.02.03
遠藤 周作
新潮社
売り上げランキング: 1,870

かつて自分が師事していた慈愛深きフェレイラ師が”転んだ―”その信じられない一報を聞き、ポルトガルの司祭・ロドリゴは鎖国・禁教へと急激に舵を切る島原の乱直後の日本への渡航を決意する。厳しい航海を経て日本に潜入したロドリゴたちであったが、苦しい潜伏生活の果てについに捕まってしまう。拷問の末の処刑を覚悟し、そこにイエスと同じ道をたどるという一抹の恍惚を頼りに護送されていく彼を待っていたのは、いまや沢野忠庵と名乗るかつての師、クリストヴァン・フェレイラ教父であった―。

続きを読む

私的・後期平井和正作品ガイド

標準

平井先生の作品を最近取り上げているブログも少ないのか、うちのような素人の零細ブログにも訃報のあった週末をはさんでけっこうなアクセスがあった。
そういった方や、これを機に興味を持たれた方へのガイドとして、簡単なガイドを作っておこうと思う。

今後少しでも平井作品を読んで下さる方が増えることを願って。

続きを読む

平井和正先生ご逝去

標準

小学校の頃に角川文庫版の幻魔大戦読んで以降、自分の人格形成に大きな影響を与えて下さった偉大な作家でした。

もうその新作が読めないかと思うと本当にさびしいなあ・・・。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

ウィキペディア-平井和正


deep_tortech
※写真は自分が把握している限りでは、おそらくこれが最後の作品―『幻魔大戦deepトルテック』。
おもえば幻魔、ウルフガイ、アブダクションほか幾多のシリーズが交錯する集大成的な作品だった。



信長と信忠/鈴木 輝一郎

標準

先日読んだ『金ヶ崎の四人』の各キャラクターの切り口が新鮮だったので、続けて電書版で読んでみた。

信長と信忠
信長と信忠

posted with amazlet at 14.10.25
鈴木 輝一郎
毎日新聞社
売り上げランキング: 567,719

天下布武を目指し着々と全国へその覇を広めんとする織田信長。しかしその彼生い立ち―その多くは血のつながった肉親との血みどろの争いだった。そんな彼が息子たちを持ち、親の立場となった時―そこには、それぞれの息子たちの将器を見、時に失望し時に嫉妬する―その自身の葛藤にすら気付かず翻弄される信長がいた。

続きを読む

金ヶ崎の四人 信長、秀吉、光秀、家康/鈴木 輝一郎

標準

最初は史料を元にした新説の一冊かな、と思って購入したが小説。その時点で「あ、こりゃはずしたかも」と思ったらさにあらず。

たぶん信長や秀吉、光秀を追っかけるなら必ず出てくるいわゆる”金ヶ崎の退き口”を新規な切り口で描いた非常に面白い一冊だった。

金ヶ崎の四人 信長、秀吉、光秀、家康
鈴木 輝一郎
毎日新聞社
売り上げランキング: 70,234

京に入り足利将軍を擁したとはいえ、いまだ天下布武の道半ばにある信長は、京の目の上のたんこぶとも言える越前・朝倉勢を攻めようとする。しかしその攻略の必須条件は北近江・浅井勢の同調―それがないと北上する軍勢の横っぱらを浅井が突くことになるからだ。いまだ武勲はないがその交渉力で対浅井の調略を行っていた秀吉、味方でありつつも信長を疎ましく思い暗躍する足利将軍の名代・光秀、そして織田の最大の同盟の盟主とも言える家康―信長の「浅井は敵対せぬ」との観に背き、彼らの側面を浅井勢が襲う。その報を受けて信長は全ての兵を捨て、単騎京へと脱出する。結果、後に天下を順に治めることになる三者は残された寡兵をもって襲い掛かる浅井・朝倉勢相手の壮絶な撤退戦を開始した―。

続きを読む